やらかし夫夫（ふうふ）、番（つがい）になる

やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

08ー雪斗Sideー

　
　一時的に発情ヒートしていただけなので、『番つがい』となった今…目覚めた時には綺麗サッパリ終わっていた。

　目覚めた瞬間、目の前に大志たいしの寝顔…しかもドアップがあり、声にならない悲鳴を上げたのは仕方ないと思う。
　僕が身動いだだけで直ぐに目を開けた大志たいしは物凄く焦ったように僕の事を心配していた。

　「顔が真っ赤だ！熱か？熱なのか？発情促進剤の副作用か？？大丈夫か？？いや、大丈夫ではないな…直ぐに医者の手配をしてー…」

　なんてパニックになっている姿を見て、逆に冷静になった。ワタワタとしている姿はなんだかアルファとは思えないくらいに可愛らしく見えた。
　もちろん、直ぐに止めた。

　「違うから！！落ち着いてよ！」

　そう言っても落ち着く気配がなくて、羞恥を捨てて抱きついてキスをしたらようやく止まってくれた…思考ごと…。

　その後、根掘り葉掘り理由を聞かれてかなり・・・恥ずかしい思いをしたんだけど…。
　その騒動も一件落着して、僕らは『番つがい』同士となった報告をする為に部屋を出た。
　まぁ、部屋の前には義輝よしき様の部下ー…『庇護鬼ひごおに』である泰虎やすとらさんと崇陽たかあき様の部下（名前は知らない人）が控えていた。

　僕のフェロモンの変化を感じ取り、さらにクッキリと項に残った『番つがい』の証。

　ソレを見て理解してくれたらしい…崇陽たかあき様の部下は報告に行く…そう言ってこの施設から出て行った。

　泰虎やすとらさんは「ついて来い」そう言って歩き出し…付いて行くと義輝よしき様の部屋へ通された。

　その後、僕らはこの施設を出る事となり、崇陽たかあき様が建てたあの・・高層マンションより買い物をする店舗が入っていない分、設備は劣るが…十分にオメガの安全を守れるセキュリティが搭載されているマンションへの引っ越しが決まった。

　ちなみにそのマンションは崇陽たかあき様のマンションから約１０分歩いた所にある。スーパーや雑貨屋さんもだいたいそれくらい歩いた所にある。崇陽たかあき様のマンションの反対に位置しているので、そのマンションは少々不便かもしれないが…第二の性を抜きにすれば十分に便利な所である事は確かである…。

　さらに付け足すと…崇陽たかあき様のマンションではない方のマンションは義輝よしき様のお父様が所有されているモノらしい…。

　そのマンションの一部屋を義輝よしき様の口添えにより、購入する事が決まった。

　流石は『鬼』クオリティというべきか…話が纏まったその日に全ての手続きが完了してガスや電気も使えるようになっていた。オール電化で使えるがガスにも切り替えられる優れものらしい。

　しかも、直ぐに入居できるという…

　泰虎やすとらさんが送ってくれる事になったが…その前に家具家電を扱っているお店に行く事になった。ちなみに『鬼』が経営しているらしい。
　購入手続き後、その日の内にマンションに届けてくれるらしい。
　到着後、大志たいしが「生活に必要な資金は俺が出す！！」なんてどこかウキウキとしたように僕の手を引いて店舗を歩き始めた。

　泰虎やすとらさんは経営をしているというより、この店舗を任されている『鬼』と共に少し離れた所から歩いてついてきている。

　なんだかんだで泰虎やすとらさんは最後まで付き合ってくれるみたいだ。義輝よしき様からの命令かもしれないが…ありがたい限りである…。
　
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