やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

スメラギ

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やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

09ー大志Sideー

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 雪斗ゆきとと一緒に家具家電を選び、『鬼』の力を借りつつ新居へ引っ越して早数ヶ月…。
 俺は前の職場から崇陽たかあき様が率いる会社へ転職していた。ちなみに、崇陽たかあき様とは一悶着あった仲なので、本社勤務ではなく、支社勤務である…。

 『つがい』である雪斗ゆきととの生活を安定させ、尚且、雪斗ゆきとが安心安全に過ごせるようにと尽力した。
 その結果、いち社員から昇格して役職付きとなっていた。異例中の異例であるスピード出世…。

 周りからの反応が怖かったんだが…実力主義を謳っているだけあって、全く妬みとかはなく…寧ろ、周りの闘争心を煽った結果となった…。

 うかうかしていたら、直ぐに抜かされ、降格ー…なんて事になりかねないから全く気が抜けなかったりする…。
 雪斗ゆきとに苦労をさせるわけにはいかない。その一心で頑張った。

 多忙を極め、心身ともに疲れ切った俺の最大の癒やしとは…、言わずもがな…雪斗ゆきとである。

 笑みを浮かべて部屋の玄関で出迎えてくれたあかつきには1日の疲れも吹っ飛ぶというモノ…
 抱きつかれてキスされた時には別の意味・・・・で元気になった。ご飯の時間がズレ込んだのは仕方のない事だと思う…。

 俺の世界の中心となった雪斗ゆきとといえば…ガーデンルームのような造りをしてはいる…サンルームと呼べるべきものなのかは分からないが…特殊なガラスで全面覆われているベランダで簡易的な家庭菜園をしている。
 買い物に行きはするが…1人では絶対に行かせない。俺と一緒に行くか…もしくは俺が行く。

 過保護すぎと言われても仕方ないが…もう、失いたくはない…。雪斗ゆきともソレを分かってくれているのか…文句も言わず笑顔で受け入れてくれている。

 俺からすれば、まさに雪斗ゆきとは聖人のような人なのだ。

 そんな雪斗ゆきとでも笑顔が凍る事がある…崇陽たかあき様の名前が出た時だ。
 だから、雪斗ゆきとの前でその話題は禁句タブーとなっている。

 その禁を破るのは『鬼』くらいだ…。

 崇陽たかあき様とは部下を通じての接触はあるが…直接はない。その徹底ぶりには感服する。
 
 目まぐるしく変わった日常の変化だが…結翔ゆいとや元上司であるゲーム仲間は相変わらず付き合いがある。連絡の取り合いもするくらいなので関係は良好なままだろう…。

 そして、忙しい中でも唯一、合法的に雪斗ゆきとと居れるイベント…その期間は仕事含む全ての事が免除される。

 そう…『つがい』となって初めての発情期が迫っていた…。

 雪斗ゆきとと一緒に発情期の準備をしていると、フッと思う事がある…。

 人生は何が起きるのか分からないと…
 大切な者を亡くした俺が最愛と呼べる伴侶と番い、同じ時間ときを過ごしている…。

 出会うまでにいろいろと・・・・・やらかした俺たちではあるが…俺はこの『運命』に感謝したい…。

 何か1つでも違えば俺たちは出会えなかったかもしれない…
 今、そんな事を考えればゾッとする…。
 まさに、身を引き裂かれる思いだ…

 共に居る事が当たり前であり、毎日が幸せである…。
 この日常を守る為に俺は1日、1日を大切にし、そして、頑張る。

 そう、全ては俺と雪斗ゆきとの為である…。
 今では過去のバカな俺の事を褒めてあげたくなるくらいだ…。

 雪斗ゆきとが隣に居て、笑いかけてくれる時につくづく思う…。
 最大にやらかした夫夫ふうふではあるが…良いコンビなのではないのだろうか…なんて自分自身、思っていたりする…。

 これからの未来も幸せである事に違いはないだろう…。
 もちろん、雪斗ゆきとの事を不幸にしないー…というのが大前提ではあるが…

 俺は雪斗ゆきとが隣に居て、幸せそうに微笑んでくれるそれだけで最高の幸せを感じられる。

 2人なら昨日よりも今日、今日よりも明日…新しい1日を迎える度にもっと幸せになって、幸せの上書きをしていける…そんな気がする。

 2人で過ごす毎日を大切にしていこうと改めて誓った…。




 ちなみに、その発情期の時に最愛の家族が1人増える事になるのだが…その時の俺が知る由もなかった…。
 後にその子は凄く大物になるのだが…もちろん、俺は一切合切しらない…。


 
*ー大志SideーEND*
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