やらかし夫夫（ふうふ）、番（つがい）になる

やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

10ー雪斗Sideー

　
　新居へ引っ越してから数ヶ月が経った。大志たいしは相変わらず僕たちの生活の為に頑張ってくれている。
　僕は旧姓から新しい姓に変わって『神門みかど 雪斗ゆきと』になった。
　大志たいしの籍に入り、お嫁さんとなった。多忙を極めた夫を支える為に専業主夫となり、殆ど部屋から出ない生活をしている…。
　買い物は大志たいしがダメだと言ったから１人で行く事は絶対にしない。ムダに心配をかけたくないからね。
　２人で行くか…もしくは、凄く申し訳ないけれど…、仕事帰りに買って来てもらっている…。

　ちなみに、大志たいしは新しい会社でも、切磋琢磨するライバル的存在であり、良き話し相手もできたようで安心した。

　大志たいしが転職前に勤めていた会社の元同僚や上司も遊びに来てくれた。３人はゲーム仲間でもあるみたいだ。
　大志たいしは僕と番ってからゲームをしていない…。少しでも僕と一緒に居たいからという事らしい…。

　それで良いのか？と思わなくもないけれど、２人は気にしていないようだし、大志たいし自身もコレが当たり前だと言わんばかりなので、好きなようにしてもらっている…。

　「僕の事は気にしなくても大丈夫なんだよ？」なんて言っても笑って流された。
　大志たいしは何でも器用にこなすイメージがあったのだが…１つ苦手なモノがあったらしい…
　ソレはゲーム…。まるで才能がなかったのだと２人が笑いながら教えてくれた。
　大志たいしは気まずげにソレを見ていたが、僕がニコニコと笑っているのを見て静観を貫いていた…。

　２人はなんだかんだで大志たいしの事をとても心配していたようだ。
　いくら大志たいしが僕へ執着していようと、僕が最低最悪なオメガだった場合の事を考えて、僕がどういったオメガなのかを見に来たー…というのが、遊びに来た本当の理由らしい…。

　ある意味、納得である…。そして、僕を見て、僕と話をして大志たいしを任せられると思ってくれたようで、安心した。
　最終的に「大志コイツを頼みます」と言って帰って行った。たまに様子を見に来てくれる頼りになる２人だ…。
　その時にタコ焼きパーティーや鍋パーティーなんかもやった。ならばー…と２人の伴侶も誘って数人でした事もある。
　もちろん、周りに迷惑をかけない程度に抑えているので、今のところ苦情なんかはない…。
　いや、このマンション自体が防音もしっかりしているので、気にしなくても大丈夫なのかもしれないが…念の為である…。

　そんな２人とも交流をしつつ、大志たいしは生活の基盤を盤石な物としていった…。

　盛大にやらかした僕らは『番つがい』となって、入籍して本当・・の夫夫ふうふとなった。
　後悔ばかりの人生だったけれど…生きていれば、何が縁となり、人生がどう転ぶのかは分からないな…
　なんて思いつつも、この細やかな幸せが続いてくれるのを願っている。

　大志たいしと出会えたこの縁は間違いなく良縁と言える。

　今でも崇陽たかあき様の名前を聞いただけで、あの時の・・・・恐怖が蘇ってくるが…
　大志たいしもソレを理解してくれているので、大志たいしの口からその名前を聞く事はない。

　しかし、大志たいしは崇陽たかあき様に凄く感謝をしており、崇拝に近いが…尊敬をしている。
　大志たいし自身、言葉にしてはいなくても、なんとなくそう思っているという事は僕にも分かった…。

　確かにあの日・・・の事は人生最大のやらかしであり、一番後悔した出来事でもある…が、僕はやらかした事で大志たいしと出会って、愛し愛される喜びを知った。

　僕らの関係も崇陽たかあき様が作ったようなものなので、その辺りは感謝しているが…

　できればもう、崇陽たかあき様関係に関わりたくない…というのも紛う事なき僕の本心だ…。

　大志たいしとの幸せな生活を守る為に、今度は絶対にやらかしたりしないー…間違わない…そう心に誓った。
　

　遠くない未来、もう一人の最愛…愛息子が増えるのだがー…
　この時の僕が知る由もない…。
　
＊ー雪斗SideーEND＊