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Main Story〜アルファな彼とオメガな僕。〜
08
しおりを挟む意識が浮上する。身体がダルく力が入らない手を動かすと暖かい何かに触れた。
その温もりに安心した僕は暖かいものに擦り寄った。そして、ギュッとしがみつく。
すると、背中に回った暖かいナニかに優しく背中を撫でられる…
ー撫でられる?…
ハッとして目を開けると眼前に肌色が広がった。誰かにしがみつき尚かつ、抱きしめられている現状に急激に恥ずかしくなった。
二人とも裸だった。顔を離し見上げると、泣きそうになった…だって怖い人…
ジッと僕を見ている彼から目が離せずに居ると、先に目線を外したのは怖いアルファの男の人だった。若干、気まずそうに見えたのは気のせいだと思う。
ビクビクとしていると、スルリと腕を離して身体を起こした。そして、ベッドから降りてしまった。
なんとなく寂しく感じた僕は温もりの残るその場所へノソノソと擦り寄った。
てっきり部屋を出ていくのだと思っていたのに、出ていく気配はなく、ガサゴソと何かをしたと思ったら戻ってきた。
そして、僕の顔を覗き込むと腕を伸ばしてくる。ビクッとなり身を固くして居ると躊躇いがちに撫でられた。
その手はまるで怖くないよと言っているようだった…
見かけほど怖くはないのかもしれないと思って目を開けると、相変わらず険しい表情でこちらを見ていた…
ーやっぱり、怖い…
気まずそうに視線を外すと水のラベルが付いたペットボトルを差し出してきた。どうやら飲めという事らしい…
意図を察した僕は起き上がる為に腕に力を入れようとするが全く入らず、崩れ落ちそうになったが…すかさず腕を滑り込ませてきて支えてくれた。
また口移しされるのかと思いきや、普通に片腕で身体を支えられ、蓋の開いたペットボトルを口元に持ってくる。
その手に自分の手を添えるとグビグビと飲み喉を潤わした。
満足するまで飲んだ後、もう要らないという意味を込めて神無月様の腕を遠退けようとする動作をすると…スッと引いて行った。
正確にこちらの意図を察してくれるのは素直にありがたい…
そのペットボトルを今度は自分の口へと持っていきゴクゴクと飲んでいる。
その姿がなんだか凄く色っぽい。ジッと見ていると飲んでいる神無月様と目が合う。
ペットボトルから口を外すと不思議そうに首を傾げている姿は可愛く見えた。怖すぎて本人には言えないけれど…
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