僕の可愛いアルファ君。／俺のイケてるオメガ様。

俺のイケてるオメガ様｡

07

　
　婚約者に勃たなかった俺だが…やはり、対象が雅輝だったら俺のモノは光の速さで反応する。
　なんらかの拍子に鼠径部そけいぶが見えたあかつきには…、少しでも目に焼き付けておこうとガン見してしまう。

　俺は父みたいなヘマをしてはいけないと気を引き締めるが…アレは冤罪…濡れ衣で被害者なんだけど…
　まぁ、良いよな…これくらい…父みたいな事をしてくれなかったし…というか…なんなら、今もしてくれてねーし…

　そんな感じで婚約者らしい事をしていない俺は上司と共に出張先へ旅立った。
　帰ったのなんて雅輝に会うためだけに帰ったようなものだ…。正直、婚約者の事なんて忘れていたくらいだ。

　寧ろ、俺は元・雅輝の『番つがい』の事の方が気になっていた。

　『鬼』の力も借りて漸く見つけたソイツらは…まぁ、普通に暮らしていたが…そのアルファの『運命』とやらがアホすぎてアホすぎて…借金地獄から抜け出せずに居るようだ。

　やれホストだ、やれ投資だ、一級品である骨董品だのなんだのと…骨董品に関しては全て・・偽物だ。投資は失敗もしくは詐欺…。

　しかも、しまいにはアルファが稼いでくるお金ではお小遣いが足りなかったのだろう…闇金にまで手を出したアホだ。

　お小遣いが少ないのは借金返済に給与の殆どを注ぎ込んでいたからだし、贅沢をしなければ普通に暮らせているくらいには、アルファが頑張っていた。

　俺が手を出すまでもなく自滅してくれそうなので放って置く事にした。
　ま、１つだけやった…。絶対に騙されたりしないだろうと思ってとある・・・者に頼み…

　「置いておくだけで、お金が増える壷です」

　なんて言って『幸せになれる壷』なるものをやってみてもらった。金額は５０万円にしてみた。

　ありそうでなさそうなエピソードを添えて…である…。

　明らかに胡散臭いが、そのオメガは直ぐに飛びついて借金を作った…しかも、アルファの名義だ…。

　その壷…３００円…。そして、よく分からん理由をつらつらと述べて３００円を頭金として頂いた。

　ちなみにその金融会社役は見てくれがピッタリな『鬼』にやってもらった…。全てが様になっているので配役はバッチリなのではなかろうか…。

　付け足すと借用書は偽物である。

　３００円の壷を抱えてルンルンで去っていったオメガの後ろ姿を見送り、俺は２人と合流した…。

　「アレはヤバいだろう」
　「ふふ、僕もあそこまでバカな子は初めて見たよ」
　「まさか…騙されるとは…」

　サングラスをクイッと上げて一番最初に言葉を発したのは泰虎やすとらで、次に五十嵐いがらし 義輝よしき。俺の友人である…もちろん『鬼』だ。

　義輝よしきはビジネスパートナーでもある。神無月かんなづき様の後釜というべきか…
　俺が引き継いで、プロジェクトを進行している。

　ちなみに、俺の性癖を知っている数少ない奴らでもある…。
　口が軽そうに見える義輝よしきだがー…全くそんな事はなかった。
　『面白いから』とか『暇つぶし』という名目でいろいろと・・・・・手助けをしてくれたりとかなり・・・頼りになる。

　まぁ、言葉の通り楽しんでるんだろうけど…。
　
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