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エピソード.1 funny
1-9 作戦実行
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蕪木が図書室を出ていってから約一時間後、蕪木と仲直り? するための作戦が決行された。
作戦はとてもシンプルで図書準備室に蕪木を呼び出すというもの。土居原先生の名義で呼び出せば蕪木も来ずにはいられないだろうし、万が一にも他の生徒が来る心配がないので安心して話せるというのだ。
もちろん、蕪木がこの作戦を察知していないことが大前提となる。学年主席の蕪木さんのこと、少し頭を回せばバレることも考えられる。
心配から胸の鼓動が加速していく。しかし、その心配は杞憂に終わったようだ。
「どうやら、来られましたね」
自分と向かい合って座っている土居原先生が微笑む。
律儀にしっかりとドアを三回ノックし、蕪木が準備室の中へと入ってきたのだ。
「土居原先生、用事があると聞いて伺ったのですが……なぜあなたが居るのかしら、本多梅?」
「よ。元気にしているかね、蕪木くん」
掌を見せできるだけ明るく挨拶をしたつもりだったのだが、お気に召さなかったのか、蕪木の眉が吊り上がる。しかし、土居原先生がいる手前カッターを出すわけにもいかない。更には呼び出された以上出ていくわけにもいかず、蕪木は奥歯を噛むばかり。
ちょっとスカッとしましたね。はい。
「……騙したの?」
「いや、そうじゃなくてだな」
「私が勝手にお節介をやかせていただいたんです」
「土居原先生」
自分のことを睨みつけ明確に敵意を示した蕪木。しかし、土居原先生の姿を見つけ敵意を下げる。その蕪木に土居原先生は微笑み挨拶をすると、呼び出した目的を話し出した。
「理由は分かりませんが、なにやらけんかをされていたようなので、ちゃんと話す機会が作れたら。と思いまして」
「……心配りは感謝しますが、必要はありません。こんな奴の話は聞く価値もありませんから」
「あらあら。そんなこと言ってはいけませんよ。それに蕪木さんだって、本当は本多さんと気まずくはなりたくないでしょう?」
「…………」
蕪木は否定するようなそぶりを見せない。それが自分には意外だった。
たまたま自分の仕事に興味を示したため関わることになっただけで、自分のことは興味がないものとばかり思っていたからだ。
意外な状況に戸惑う自分に対し、話のペースを握った土居原先生は続けて蕪木に質問をする。
「蕪木さんは、ちゃんと本多さんのお話を聞いたんですか?」
「いえ……ですが、あまりにも話が現実離れしているものですから」
「あらあら。それはもったいなくはないですか」
「もったいない?」
「はい。だって、聞いてみるだけならタダではありませんか」
「タダ……」
土居原先生のまさかの発言に戸惑っているのだろう、蕪木はそう言って固まってしまう。
かく言う自分も土居原先生の言葉に戸惑いを隠せないわけだが、この流れなら話すことができるだろう。
「蕪木、土居原先生の言葉を借りて言えば、聞くだけは確かにタダだ。だから、もう一度おれに説明させてくれないか?」
「……ここまで土居原先生にさせておいて聞く気がないと言うのは、あまりにも不義理ね」
納得はしていないようで蕪木の顔は相変わらず不機嫌さを隠していない。しかし、聞く耳は持ってくれたようで自分の提案を受け入れてくれた。
「ふふふ。では、こちらの椅子へどうぞ。立ち話を続けては疲れますからね」
自らの作戦が上手くいったことが嬉しかったのか、土居原先生は今日一番の笑顔を見せ、蕪木を自らの隣の椅子へと誘う。
これで完全に蕪木は逃げられなくなったわけだが。 ……自分がまったく刃が立たなかった蕪木を、こうも簡単に操ってしまうとは。
「…………」
もしかすると、自分はかなりの策士に助言を受けたのではないだろうか?
そう思うと急に恐ろしいものに思えてきたが、今はただその作戦に乗っかることにした。
作戦はとてもシンプルで図書準備室に蕪木を呼び出すというもの。土居原先生の名義で呼び出せば蕪木も来ずにはいられないだろうし、万が一にも他の生徒が来る心配がないので安心して話せるというのだ。
もちろん、蕪木がこの作戦を察知していないことが大前提となる。学年主席の蕪木さんのこと、少し頭を回せばバレることも考えられる。
心配から胸の鼓動が加速していく。しかし、その心配は杞憂に終わったようだ。
「どうやら、来られましたね」
自分と向かい合って座っている土居原先生が微笑む。
律儀にしっかりとドアを三回ノックし、蕪木が準備室の中へと入ってきたのだ。
「土居原先生、用事があると聞いて伺ったのですが……なぜあなたが居るのかしら、本多梅?」
「よ。元気にしているかね、蕪木くん」
掌を見せできるだけ明るく挨拶をしたつもりだったのだが、お気に召さなかったのか、蕪木の眉が吊り上がる。しかし、土居原先生がいる手前カッターを出すわけにもいかない。更には呼び出された以上出ていくわけにもいかず、蕪木は奥歯を噛むばかり。
ちょっとスカッとしましたね。はい。
「……騙したの?」
「いや、そうじゃなくてだな」
「私が勝手にお節介をやかせていただいたんです」
「土居原先生」
自分のことを睨みつけ明確に敵意を示した蕪木。しかし、土居原先生の姿を見つけ敵意を下げる。その蕪木に土居原先生は微笑み挨拶をすると、呼び出した目的を話し出した。
「理由は分かりませんが、なにやらけんかをされていたようなので、ちゃんと話す機会が作れたら。と思いまして」
「……心配りは感謝しますが、必要はありません。こんな奴の話は聞く価値もありませんから」
「あらあら。そんなこと言ってはいけませんよ。それに蕪木さんだって、本当は本多さんと気まずくはなりたくないでしょう?」
「…………」
蕪木は否定するようなそぶりを見せない。それが自分には意外だった。
たまたま自分の仕事に興味を示したため関わることになっただけで、自分のことは興味がないものとばかり思っていたからだ。
意外な状況に戸惑う自分に対し、話のペースを握った土居原先生は続けて蕪木に質問をする。
「蕪木さんは、ちゃんと本多さんのお話を聞いたんですか?」
「いえ……ですが、あまりにも話が現実離れしているものですから」
「あらあら。それはもったいなくはないですか」
「もったいない?」
「はい。だって、聞いてみるだけならタダではありませんか」
「タダ……」
土居原先生のまさかの発言に戸惑っているのだろう、蕪木はそう言って固まってしまう。
かく言う自分も土居原先生の言葉に戸惑いを隠せないわけだが、この流れなら話すことができるだろう。
「蕪木、土居原先生の言葉を借りて言えば、聞くだけは確かにタダだ。だから、もう一度おれに説明させてくれないか?」
「……ここまで土居原先生にさせておいて聞く気がないと言うのは、あまりにも不義理ね」
納得はしていないようで蕪木の顔は相変わらず不機嫌さを隠していない。しかし、聞く耳は持ってくれたようで自分の提案を受け入れてくれた。
「ふふふ。では、こちらの椅子へどうぞ。立ち話を続けては疲れますからね」
自らの作戦が上手くいったことが嬉しかったのか、土居原先生は今日一番の笑顔を見せ、蕪木を自らの隣の椅子へと誘う。
これで完全に蕪木は逃げられなくなったわけだが。 ……自分がまったく刃が立たなかった蕪木を、こうも簡単に操ってしまうとは。
「…………」
もしかすると、自分はかなりの策士に助言を受けたのではないだろうか?
そう思うと急に恐ろしいものに思えてきたが、今はただその作戦に乗っかることにした。
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