2 / 13
2.私の前世
しおりを挟む
東京丸の内
某有名メーカー勤務
ブランドスーツに身を包み33歳の大谷香織は今日も眉間に皺を寄せてとてつもない勢いでパソコンをカチカチカチカチ
「か・・課長、この資料の確認お願いします・・・」
ビクビクしている部下から書類を受け取り一瞬で目を通し
「まず提出締め切り1日オーバーですね。そして、5、8ページの数字が違うのと、14ページはロジックが成り立ってません。見直しを。2時間後にまた再提出でお願いします。」
怒りも見せず淡々と答えた。
ひそひそ・・・
「また大谷課長厳しいなー。」「仕事はすごいんだけど、サイボーグみたいだよなぁ」「独身だよね?だろうけど」「会社と結婚してるってかんじだよねー」
香織心の声
『くっそー!聞こえてんのよー!仕事に私情を持ち込まないのは当然でしょうが!』
私は、幼い時に両親が離婚し、母親に育てられた。母は学もなく、パートを複数掛け持ちしながら私を大変苦労して育ててくれた。
母の口癖は「男に頼らず生きることができる、強い女性になりなさい」だった。
その影響もあって、がむしゃらに勉強して一流企業に入社した。
母を楽にさせたいという思いも強かった。
そのおかげもあって、若くして管理職になって会社でも認められて、母からもとても喜んでくれた。
結婚?恋愛?そんなもの見向きもせず突き進んでいた。
そんな矢先に、母が癌で亡くなった。
私は生きる目的を失ったような気分だった。
趣味もなく友達もほぼいない、彼氏ももってのほかの状態で、本当に一人で立っていかなくてはいけなくなった。
より一層仕事人間になって、あだ名はサイボーグだ。。。。
あの日は雨だった。ミスの多い部下のケアに付き合って帰りが遅くなって、コンビニでビールとつまみを買って帰宅中。
濡れそぼった猫が赤信号の横断歩道に飛び出した。
「危ない!」
トラックが向かってきているのが見えて、咄嗟に私は飛び出した。トラックが来るまでに猫を抱きかかえ戻ってが可能な距離に思えたが、疲れていたのか読み間違えて、そのまま猫は救えたが自分は死んでしまったようだ。
なんかあっけないなぁ。。。何のために生きてたんだろう私。。
母が最後旅立つ時に私にかけた言葉が頭をよぎる
「香織、あなたは本当に立派な娘。だけど、大切な人と大切な時間を過ごすという幸せをもっと教えてあげたかった。。。ごめんね。香織、自分の人生を生きて。」
某有名メーカー勤務
ブランドスーツに身を包み33歳の大谷香織は今日も眉間に皺を寄せてとてつもない勢いでパソコンをカチカチカチカチ
「か・・課長、この資料の確認お願いします・・・」
ビクビクしている部下から書類を受け取り一瞬で目を通し
「まず提出締め切り1日オーバーですね。そして、5、8ページの数字が違うのと、14ページはロジックが成り立ってません。見直しを。2時間後にまた再提出でお願いします。」
怒りも見せず淡々と答えた。
ひそひそ・・・
「また大谷課長厳しいなー。」「仕事はすごいんだけど、サイボーグみたいだよなぁ」「独身だよね?だろうけど」「会社と結婚してるってかんじだよねー」
香織心の声
『くっそー!聞こえてんのよー!仕事に私情を持ち込まないのは当然でしょうが!』
私は、幼い時に両親が離婚し、母親に育てられた。母は学もなく、パートを複数掛け持ちしながら私を大変苦労して育ててくれた。
母の口癖は「男に頼らず生きることができる、強い女性になりなさい」だった。
その影響もあって、がむしゃらに勉強して一流企業に入社した。
母を楽にさせたいという思いも強かった。
そのおかげもあって、若くして管理職になって会社でも認められて、母からもとても喜んでくれた。
結婚?恋愛?そんなもの見向きもせず突き進んでいた。
そんな矢先に、母が癌で亡くなった。
私は生きる目的を失ったような気分だった。
趣味もなく友達もほぼいない、彼氏ももってのほかの状態で、本当に一人で立っていかなくてはいけなくなった。
より一層仕事人間になって、あだ名はサイボーグだ。。。。
あの日は雨だった。ミスの多い部下のケアに付き合って帰りが遅くなって、コンビニでビールとつまみを買って帰宅中。
濡れそぼった猫が赤信号の横断歩道に飛び出した。
「危ない!」
トラックが向かってきているのが見えて、咄嗟に私は飛び出した。トラックが来るまでに猫を抱きかかえ戻ってが可能な距離に思えたが、疲れていたのか読み間違えて、そのまま猫は救えたが自分は死んでしまったようだ。
なんかあっけないなぁ。。。何のために生きてたんだろう私。。
母が最後旅立つ時に私にかけた言葉が頭をよぎる
「香織、あなたは本当に立派な娘。だけど、大切な人と大切な時間を過ごすという幸せをもっと教えてあげたかった。。。ごめんね。香織、自分の人生を生きて。」
10
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる