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模倣の精霊
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「早く開けなさいよ!」
「何が入ってるんでしょうか...」
「よっしゃ開けるぜ!」
「一応気をつけろよ...」
そうして四人はワクワクしながらウィリアムが宝箱を開ける。
「あれ?」
中には何も入ってなく四人は呆気に取られる。
「え!? 何も入ってないの!?」
フェイルは動揺を隠せずつい声を荒げる。
「まあボロボロですし...それに金貨があっただけよかったじゃないですか...」
フォルトはガッカリしながらも自分を納得させつつ立ち上がる。
「まあ何もなくてよかったんじゃないか?」
ヒューズは相変わらず焦ることなく言う
「はぁ、期待した分損じゃ———」
ウィリアムがそう言った瞬間に頭の中に声が流れる。
(我の声が聞こえるか、人の子よ)
「なんだ....頭に直接....」
ほかの皆は聞こえてる感じではなく自分だけに聞こえてることを理解すると深呼吸をしようとした次の瞬間に何もない亜空間のような場所にウィリアムはいた。
「え!? ここは!?」
(我の名はミメーシス、模倣の精霊というものだ)
初めて聞く単語にウィリアムは困惑する。
「セイレイ? セイレイってなんだ?」
(精霊を知らないとは、どれほどの刻が過ぎたのかはわからぬがまあいい、我と取引をしないか?)
亜空間の中に一人、声もどこからするのかわからない、そのはずなのに[そこ]にいることがわかる
「取引? そもそもお前は何なんだ」
動揺を落ち着かせ、それっぽい不敵な笑みで余裕をあらわそうとする。
(我は精霊という種族である、上位者というものだと思って頂こう)
「へえ....そのセイレイさんは何を求めているんだ?」
顔を不敵に笑わせ恐怖してないようにウィリアムは見せるが精霊は続けて話す。
(精霊信仰を復活させてほしい)
「セイレイ信仰? なんだそりゃ?」
(かつて、精霊というものが存在した、精霊は魔法や奇術に匹敵する力を持っていた、人々の多くが精霊を信仰していたのだ、しかしある時、我らの存在が見つかってしまったのだ)
「どういうことだ? 信仰してたんなら存在してたのを知ってるんじゃないのか?」
(神とはこの世界を造った存在などではない、人々が作り出したものであり、実際は存在などしないのだ)
「しかし聖職者は実際に奇術を使っているぞ、あれが神の力じゃないのなら一体....」
(奇術は人々の信じる力、それ自体が力となる、だからこそ聖職者になればどの人間でも奇術を使える、しかし精霊は違った)
「違った?」
(精霊とは実際に存在するものであり、本当に精霊が力を貸していたのだ)
「それの何が問題になるんだ?」
(宗教というのは虚言である、王族などが民衆を操作するために生まれたものなのだ、だからこそ実際に存在して困るのだ)
「....つまり、精霊が存在するとなると人が操作出来なくなってしまう、そうなったら民衆を操作できなくなって上の汚職などが明るみになる可能性があるってことでいいのか?」
(その通りだ、だから我ら精霊はダンジョンなどに封印され、存在を消されたのだ、我らは人の信仰により強くなっていく、精霊信仰を復活させてほしいのだ)
「それで、俺はどうすれば?」
(旅をし、精霊術を教えろ、そうすれば精霊の存在を信じ、信仰を深め、我らを復活させてほしいのだ)
「それで俺はどんなメリットがあるっていうんだ?」
(精霊の力は人の信仰により、精霊に力が集まっていく、我は其方に力を貸す、そうすれば其方もより強くなれるということだ)
「なるほどね、ひとつ聞きたいんだけど」
(なんだ?)
「これって仲間には言っていいのか?この体験も含めて」
(別に問題ない、むしろ目的意識もハッキリさせず宗教の宣教なぞしてはおかしいやつだと思われるぞ)
「そんじゃ取引の内容はお前は俺に力を、俺はお前の存在を教える、それでいいんだな?」
(ああ、その通りだ)
「そういえばさっきからお前とか言ってるんだけど口調を直した方がいいか?」
(別に構わない、我とお前はパートナーなのだからな)
「そうか、そんじゃよろしく、精霊」
ウィリアムそう言った瞬間に視界が歪み元の場所へと戻る。
「どうしたウィリアム? さっさといくぞ」
(さて....どう説明したもんか......)
「なあ、俺、精霊信仰を復活させるぜ」
「「「は?」」」
「ウィリアムさん....? 大丈夫ですか?」
フォルトは心配そうに手を振ったりする。
「たしかに中身がなかったけど....ちゃんと意識を保ちなさいよ」
フェイルは頬を軽く叩きウィリアムを冷静にさせようとする。
「いやそうじゃなくって!」
そうしてさっきのことをウィリアムは皆に説明した。
「まずひとつ言いたいんだが.....勝手に了承するな」
「はい...」
「それが罠の可能性もあるだろ、それにそんな消された宗教なんかに関わったりなんかしたら国、場合によっては世界全体を敵に回すことになる、それをわかってるのか?」
「そうか...でもさ.....なんかこういうのってカッコいいじゃん、まさに物語の主人公って感じがしない?」
「はぁ....まあいいや、そもそもそれが妄想の範疇だしな....」
ヒューズは呆れて了承すると金貨を袋に入れ出す。
「セイレイかぁ...そんなもの聞いたことがなかったですね」
フォルトは精霊について考える素振りをする。
「そもそもウィリアムの妄想なんじゃないの? そんなもの考えても無駄よ」
そうして宝を集めると馬車に乗せて街に戻ることとした。
~馬車内~
「それでその精霊の恩恵は使えるのか?」
ヒューズは力について聞くとウィリアムは答える。
「ミメーシスは模倣の精霊ってやつで、相手の魔法を模倣して使えるらしい、ただし模倣には時間がかかるんだって」
「そりゃまた大層な力だ、んでどうするんだ? どう教えていくんだ?」
「うん、小さい村、それもできるだけ困っているところがいいかな、精霊信仰が無くなった理由って恩恵が無くなってしまったことが原因らしいから」
「それじゃあしばらく旅をするのか、宣教師様ってわけだ」
ヒューズは笑っているがしつつも目が全くと言っていいほど笑っておらず、少し心配していることがわかる。
「人って案外、現金なものだしね、恩恵がないと難しいんだよ」
僅かにウィリアムは人に対する淋しさを覚えながらも、自論を述べる。
そうして話しながらウィリアム達は王都へ戻った。
「何が入ってるんでしょうか...」
「よっしゃ開けるぜ!」
「一応気をつけろよ...」
そうして四人はワクワクしながらウィリアムが宝箱を開ける。
「あれ?」
中には何も入ってなく四人は呆気に取られる。
「え!? 何も入ってないの!?」
フェイルは動揺を隠せずつい声を荒げる。
「まあボロボロですし...それに金貨があっただけよかったじゃないですか...」
フォルトはガッカリしながらも自分を納得させつつ立ち上がる。
「まあ何もなくてよかったんじゃないか?」
ヒューズは相変わらず焦ることなく言う
「はぁ、期待した分損じゃ———」
ウィリアムがそう言った瞬間に頭の中に声が流れる。
(我の声が聞こえるか、人の子よ)
「なんだ....頭に直接....」
ほかの皆は聞こえてる感じではなく自分だけに聞こえてることを理解すると深呼吸をしようとした次の瞬間に何もない亜空間のような場所にウィリアムはいた。
「え!? ここは!?」
(我の名はミメーシス、模倣の精霊というものだ)
初めて聞く単語にウィリアムは困惑する。
「セイレイ? セイレイってなんだ?」
(精霊を知らないとは、どれほどの刻が過ぎたのかはわからぬがまあいい、我と取引をしないか?)
亜空間の中に一人、声もどこからするのかわからない、そのはずなのに[そこ]にいることがわかる
「取引? そもそもお前は何なんだ」
動揺を落ち着かせ、それっぽい不敵な笑みで余裕をあらわそうとする。
(我は精霊という種族である、上位者というものだと思って頂こう)
「へえ....そのセイレイさんは何を求めているんだ?」
顔を不敵に笑わせ恐怖してないようにウィリアムは見せるが精霊は続けて話す。
(精霊信仰を復活させてほしい)
「セイレイ信仰? なんだそりゃ?」
(かつて、精霊というものが存在した、精霊は魔法や奇術に匹敵する力を持っていた、人々の多くが精霊を信仰していたのだ、しかしある時、我らの存在が見つかってしまったのだ)
「どういうことだ? 信仰してたんなら存在してたのを知ってるんじゃないのか?」
(神とはこの世界を造った存在などではない、人々が作り出したものであり、実際は存在などしないのだ)
「しかし聖職者は実際に奇術を使っているぞ、あれが神の力じゃないのなら一体....」
(奇術は人々の信じる力、それ自体が力となる、だからこそ聖職者になればどの人間でも奇術を使える、しかし精霊は違った)
「違った?」
(精霊とは実際に存在するものであり、本当に精霊が力を貸していたのだ)
「それの何が問題になるんだ?」
(宗教というのは虚言である、王族などが民衆を操作するために生まれたものなのだ、だからこそ実際に存在して困るのだ)
「....つまり、精霊が存在するとなると人が操作出来なくなってしまう、そうなったら民衆を操作できなくなって上の汚職などが明るみになる可能性があるってことでいいのか?」
(その通りだ、だから我ら精霊はダンジョンなどに封印され、存在を消されたのだ、我らは人の信仰により強くなっていく、精霊信仰を復活させてほしいのだ)
「それで、俺はどうすれば?」
(旅をし、精霊術を教えろ、そうすれば精霊の存在を信じ、信仰を深め、我らを復活させてほしいのだ)
「それで俺はどんなメリットがあるっていうんだ?」
(精霊の力は人の信仰により、精霊に力が集まっていく、我は其方に力を貸す、そうすれば其方もより強くなれるということだ)
「なるほどね、ひとつ聞きたいんだけど」
(なんだ?)
「これって仲間には言っていいのか?この体験も含めて」
(別に問題ない、むしろ目的意識もハッキリさせず宗教の宣教なぞしてはおかしいやつだと思われるぞ)
「そんじゃ取引の内容はお前は俺に力を、俺はお前の存在を教える、それでいいんだな?」
(ああ、その通りだ)
「そういえばさっきからお前とか言ってるんだけど口調を直した方がいいか?」
(別に構わない、我とお前はパートナーなのだからな)
「そうか、そんじゃよろしく、精霊」
ウィリアムそう言った瞬間に視界が歪み元の場所へと戻る。
「どうしたウィリアム? さっさといくぞ」
(さて....どう説明したもんか......)
「なあ、俺、精霊信仰を復活させるぜ」
「「「は?」」」
「ウィリアムさん....? 大丈夫ですか?」
フォルトは心配そうに手を振ったりする。
「たしかに中身がなかったけど....ちゃんと意識を保ちなさいよ」
フェイルは頬を軽く叩きウィリアムを冷静にさせようとする。
「いやそうじゃなくって!」
そうしてさっきのことをウィリアムは皆に説明した。
「まずひとつ言いたいんだが.....勝手に了承するな」
「はい...」
「それが罠の可能性もあるだろ、それにそんな消された宗教なんかに関わったりなんかしたら国、場合によっては世界全体を敵に回すことになる、それをわかってるのか?」
「そうか...でもさ.....なんかこういうのってカッコいいじゃん、まさに物語の主人公って感じがしない?」
「はぁ....まあいいや、そもそもそれが妄想の範疇だしな....」
ヒューズは呆れて了承すると金貨を袋に入れ出す。
「セイレイかぁ...そんなもの聞いたことがなかったですね」
フォルトは精霊について考える素振りをする。
「そもそもウィリアムの妄想なんじゃないの? そんなもの考えても無駄よ」
そうして宝を集めると馬車に乗せて街に戻ることとした。
~馬車内~
「それでその精霊の恩恵は使えるのか?」
ヒューズは力について聞くとウィリアムは答える。
「ミメーシスは模倣の精霊ってやつで、相手の魔法を模倣して使えるらしい、ただし模倣には時間がかかるんだって」
「そりゃまた大層な力だ、んでどうするんだ? どう教えていくんだ?」
「うん、小さい村、それもできるだけ困っているところがいいかな、精霊信仰が無くなった理由って恩恵が無くなってしまったことが原因らしいから」
「それじゃあしばらく旅をするのか、宣教師様ってわけだ」
ヒューズは笑っているがしつつも目が全くと言っていいほど笑っておらず、少し心配していることがわかる。
「人って案外、現金なものだしね、恩恵がないと難しいんだよ」
僅かにウィリアムは人に対する淋しさを覚えながらも、自論を述べる。
そうして話しながらウィリアム達は王都へ戻った。
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