生きる世界と冒険譚

死と繋ぎ

　ヒューズの言葉にフランクは固まり戸惑いながらヒューズに分けを聞く。
　「そんな.....な、なぜ！？」
　「山賊が1人生きていた、報復によりショールは死んだんだ」
　ヒューズは淡々とことの顛末を要約して話すとフランクは深呼吸するがまだ少し動揺している。
　「それで...ショールは何か言い残しましたか....？　それにあいつには娘も......」

　「ショールはお前に娘を任せると言った、お前にしか頼めないと」
　「そんな...俺はそんなことできるような人間じゃない...親としての資格も、それにリスタルトだって受け入れられるか....」
　フランクは下を向き目を泳がせる。
　「俺はあくまで遺言を伝えることしかできない、親しくもないしな...」
　ヒューズは申し訳なさを持ちつつも冷静に話を進めていく、しばらく沈黙が続くとフランクは口を開く。
　
　「あいつじゃなくて俺だったら...俺が死んでいれば......なんでこんな...」
　フランクは頭を抱え考えているとヒューズはフランクの肩を掴む。
　「お前はあいつの意思を繋いでいくしかないんだ、例え辛くとも、申し訳なくとも、ショールはお前に託したんだ、最も大切だった、娘を、生きるっていうのは、何かを託すことに等しい、だからお前が守るんだ、あいつが死ぬ覚悟で戦う理由となった、あの娘を」


　しばらくの沈黙が続くが、フランクは顔を上げる。
　「そう...ですね...あいつは俺の親友だ、リスタルトも受け入れられないだろうが伝える、きつい言葉をかけられるかもしれないが、いつか伝えないといけないことだからな...」
　フランクそう言って頬を叩くと覚悟を決め娘の元へ向かった。




　「あ、おじさん！　ねえねえ、パパは？　パパはどこにいるの？」
　リスタルトはキョロキョロと周りを見ながらフランクにショールの場所を聞くと、フランクは泣きそうになりながら口を開く。
　「......あのな......君の....パパは....」
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　「しばらく止まっていくといい」
　レオンは村に泊まることを提案する。
　「いいんですか...？　村は復興で忙しいことになりそうですけど...」
　結衣がレオン、及び周りの人たちを見ながら聞くと周りの村人は頷く。
　「フォルトとウィリアムはしばらくまともに動けないだろ、それにお礼をしたいしな」
　「ありがとうございます！」
　結衣は深々と頭を下げるとフェイルも遅れて頭を下げる。
　「ごめんな、レオン、しばらく世話になる」
　ウィリアムは体は動かないため横になったままお礼を言う。


　～リフェルテッド村～
　墓にはたくさんの人間が祈りを捧げ、中にはフランクにリスタルトもおり、ヒューズは複雑な気持ちになりながら宿に向かう。
　フォルトの部屋に行くと、フェイルが横にいた。
　「フォルトの体調はどうだ？」
　ヒューズの質問にフェイルは暗い顔になる。
　「正直言って良くないわ、全身打撲に肋骨3本、右腕左腕の骨折なの...それに目が覚めないのもだけど呼吸が浅いの」
　フェイルの膝の上には本が開いた状態でありヒューズはそれに目が行き質問する。
　「本を読んであげてたのか？」
　するとフェイルはヒューズに本の表紙を見せる。
　「ブリュートとエルフって本、ヒューズも読む？」
　ヒューズは本の中を開いてみるが文字が読めない、挿絵などもないこともありすぐにフェイルに返した。

　「ウィリアムはどうだ？」
　「あっちは片目損傷に肋骨2本がやられてたわ」
　「そうか...まあフォルトは任せた、俺はウィリアムのとこに行く」
　そう言ってヒューズはフォルトの部屋を出た。