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狙われる命
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「やってるやってる! 仮面舞だ!」
男が群衆の中を掻き分けて前に出るとそこには次々と顔を変える少年がいた。
踊りに合わせ一瞬にして面を変える少女に向かって金を投げる者や歓声が鳴り響く。
ウィリアムは遠くからそれを眺めてニヤける。
「今回もなかなかだな」
「そうですね、ここまで人がくるようになるとは...」
フォルトは脚立を使い投げ銭を確認する、若干の申し訳なさを持ちつつも仕事を行う。
「顔を変える魔法は確かに存在するが詠唱無し、それにあんな速度でやれる人間は普通いないからな、まあ精霊が広まったら種が割れるだろうがそれでもあいつ並みに上手く面を変えられるやつはそういない、しばらくはあれで食っていけるだろうな」
ウィリアムは報酬の一部を受け取ることで冒険の資金を稼ぎつつ精霊を広めていた、シードルに来て10日ほど経ち、十分資金を稼ぐことができたのであった。
「終わったみたいだな」
音楽が鳴り止み大衆も解散するとウィリアムは少女に近づく。
「今日も大盛況だったな」
「これどぞ」
少女がウィリアムに集金の一部を渡すとそそくさと舞台裏に行ってしまった。
「大道芸とかは税金が掛からないからな、だいぶ稼げるようになったしあとは経営だけ教えれば俺は要らなそうだな!」
ウィリアムは宿屋に戻ろうとすると後ろから肩を叩かれる。
振り向くと真っ黒のマントに身を包んだ男がいた。
「どちら様でしょうか...?」
ウィリアムはにこやかにしながらもナイフに手をかけると男が口を開く。
「どちら様かって...?それはな....」
フードを外すとそこには本当に知らない男がいた。
「トゥリアだぜ!」
ウィリアムは大きなため息をつくと手を頭に置く。
「なんでそんなめんどくさい登場の仕方するんだよ...」
「なんかかっこいいからだぜ!」
久しぶりにトゥリアにあったが相変わらず変なやつである、ウィリアムは宿屋に戻ろうとするとトゥリアが止める。
「待て待て、聞いてくれ!お前にとって重要かもしれない情報だ!」
ウィリアムは前回の悪ふざけを思い出しながらもトゥリアの話を聞く。
「もし前みたいな出だしだったら即帰るからな...」
「あの子供達が狙われているぞ」
「....そうか....でもそれは俺には関係ない話だと思うが...」
ウィリアムの回答にトゥリアはキョトンとする。
「おいおい、あんな幼い子達が襲われるかもだぜ?善人様はお助けしないと、自称宣教師さん!」
「俺はそもそも善人じゃねえぞ...そもそもこれは俺の利益のために....」
自分の発言に違和感を持つがウィリアムは自らの頬を叩き喝を入れる。
「まあいいや...んでその狙ってる連中ってのはなんなんだ?」
「俺の知る限りは教会関係者だぜ」
トゥリアはウィリアムに三教会の小冊子を渡す。
「...三教会...確か三大神を崇めるとこだよな...やっぱり宗教を広めたからか...」
「罪の神ドラウム派を筆頭に極秘で潰しに来てるぜ、人質にするのか殺すのかは知らんが今のうちにどうにか対策するべきだと思うぜ」
「ところで....なんだその語尾...前までなかっただろ、そんなの」
「気にするなだぜ!」
「.....まあいいか...それで規模はどれくらいだ?」
「俺が知る限り分隊レベルだが...チンピラや盗賊どころでじゃないぜ」
ウィリアムは苦い顔をしながらもすぐに支度をする。
「教会を相手にするとなると世界全体を敵に回すが...」
「おいおい待て待て、ここは隠れて状況を...」
「せっかく増やした信者が減ると俺も困るんだ...正面から来てないうちに潰すべきだと俺は思う」
ウィリアムの言葉にトゥリアはため息をつくとやれやれという感じで口を開く。
「三神器の1人、罪のピカトムもいる、噂じゃやつはめちゃくちゃ強いらしいぜ、お前じゃ勝てるとはとても...」
「あの子供達を囮にする、そして迎撃する、簡単なことだろ」
「....何人か死ぬぞ...?」
ウィリアムの発言にトゥリアは怪訝な顔をするがウィリアムの顔は全く変わらない。
「もちろん被害は最低限に留めるつもりだ、だが犠牲無しに勝てるとはとても思えないからな」
ウィリアムは顔を老人に変えるとそのまま立ち去ってしまった。
男が群衆の中を掻き分けて前に出るとそこには次々と顔を変える少年がいた。
踊りに合わせ一瞬にして面を変える少女に向かって金を投げる者や歓声が鳴り響く。
ウィリアムは遠くからそれを眺めてニヤける。
「今回もなかなかだな」
「そうですね、ここまで人がくるようになるとは...」
フォルトは脚立を使い投げ銭を確認する、若干の申し訳なさを持ちつつも仕事を行う。
「顔を変える魔法は確かに存在するが詠唱無し、それにあんな速度でやれる人間は普通いないからな、まあ精霊が広まったら種が割れるだろうがそれでもあいつ並みに上手く面を変えられるやつはそういない、しばらくはあれで食っていけるだろうな」
ウィリアムは報酬の一部を受け取ることで冒険の資金を稼ぎつつ精霊を広めていた、シードルに来て10日ほど経ち、十分資金を稼ぐことができたのであった。
「終わったみたいだな」
音楽が鳴り止み大衆も解散するとウィリアムは少女に近づく。
「今日も大盛況だったな」
「これどぞ」
少女がウィリアムに集金の一部を渡すとそそくさと舞台裏に行ってしまった。
「大道芸とかは税金が掛からないからな、だいぶ稼げるようになったしあとは経営だけ教えれば俺は要らなそうだな!」
ウィリアムは宿屋に戻ろうとすると後ろから肩を叩かれる。
振り向くと真っ黒のマントに身を包んだ男がいた。
「どちら様でしょうか...?」
ウィリアムはにこやかにしながらもナイフに手をかけると男が口を開く。
「どちら様かって...?それはな....」
フードを外すとそこには本当に知らない男がいた。
「トゥリアだぜ!」
ウィリアムは大きなため息をつくと手を頭に置く。
「なんでそんなめんどくさい登場の仕方するんだよ...」
「なんかかっこいいからだぜ!」
久しぶりにトゥリアにあったが相変わらず変なやつである、ウィリアムは宿屋に戻ろうとするとトゥリアが止める。
「待て待て、聞いてくれ!お前にとって重要かもしれない情報だ!」
ウィリアムは前回の悪ふざけを思い出しながらもトゥリアの話を聞く。
「もし前みたいな出だしだったら即帰るからな...」
「あの子供達が狙われているぞ」
「....そうか....でもそれは俺には関係ない話だと思うが...」
ウィリアムの回答にトゥリアはキョトンとする。
「おいおい、あんな幼い子達が襲われるかもだぜ?善人様はお助けしないと、自称宣教師さん!」
「俺はそもそも善人じゃねえぞ...そもそもこれは俺の利益のために....」
自分の発言に違和感を持つがウィリアムは自らの頬を叩き喝を入れる。
「まあいいや...んでその狙ってる連中ってのはなんなんだ?」
「俺の知る限りは教会関係者だぜ」
トゥリアはウィリアムに三教会の小冊子を渡す。
「...三教会...確か三大神を崇めるとこだよな...やっぱり宗教を広めたからか...」
「罪の神ドラウム派を筆頭に極秘で潰しに来てるぜ、人質にするのか殺すのかは知らんが今のうちにどうにか対策するべきだと思うぜ」
「ところで....なんだその語尾...前までなかっただろ、そんなの」
「気にするなだぜ!」
「.....まあいいか...それで規模はどれくらいだ?」
「俺が知る限り分隊レベルだが...チンピラや盗賊どころでじゃないぜ」
ウィリアムは苦い顔をしながらもすぐに支度をする。
「教会を相手にするとなると世界全体を敵に回すが...」
「おいおい待て待て、ここは隠れて状況を...」
「せっかく増やした信者が減ると俺も困るんだ...正面から来てないうちに潰すべきだと俺は思う」
ウィリアムの言葉にトゥリアはため息をつくとやれやれという感じで口を開く。
「三神器の1人、罪のピカトムもいる、噂じゃやつはめちゃくちゃ強いらしいぜ、お前じゃ勝てるとはとても...」
「あの子供達を囮にする、そして迎撃する、簡単なことだろ」
「....何人か死ぬぞ...?」
ウィリアムの発言にトゥリアは怪訝な顔をするがウィリアムの顔は全く変わらない。
「もちろん被害は最低限に留めるつもりだ、だが犠牲無しに勝てるとはとても思えないからな」
ウィリアムは顔を老人に変えるとそのまま立ち去ってしまった。
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