生きる世界と冒険譚

行方不明の子

　(ウィリアム)
　「どうした？　ミメーシス」
　(かつて存在したある兵器がある、それを使えば国が相手だとしても勝利をも掴み取れる)
　「...それを探せってことか？」
　(命令ではない、その兵器を見つけ出せばことを有利に運べるというだけだ)
　ミメーシスの発言に気になり、ウィリアムはその兵器について聞くことにした。
　(かつて、龍戦争というものが存在した)
　「龍戦争？　確かおとぎ話で読んだことはあるが...実在するのか？」
　(ああ、1000年ほど前だ、リライプルから龍を追い出すために作られたその兵器は空を飛ぶことができた)
　「空をか？　そんなもの実在したとして...それはどこにあるんだ？」
　(シードルを北に進んだ国ホライド、そこに封印されている)
　「ホライドか...とりあえずこの問題解決をするまでは保留として...その兵器は俺に扱えるのか？」
　(我はかつてその兵器を扱ってた者と共にいた、おそらく扱える)
　「なるほどな、じゃあ次の目的はホライドか...わかった、検討しとくよ」
　そうやって歩くながら話をしていると宿屋に着いた。


　「帰ったぞ———」
　「大変ですウィリアムさん！」
　部屋のドアを開けようとすると慌てた様子でフォルトが飛び出し、ウィリアムは顔面を強打する。
　「うぐ...ぐ....ゆっくりあけてくれ...」
　「ご...ごめんなさい...」
　ぶつけた部分を押さえながら部屋に入るとベットに直行し横になる。
　「それでなんの話だ？」
　「子供達が誰かに攫われました！」
　「な....なんだって！？」
　フォルトの発言に驚いたフリをしていると少年の後ろからひょっこりと出てくる。
　(確かこの子は裏方にいた...話を聞くか...)
　「大丈夫かい？　ゆっくりでいい、何があったんだ？」
　少年はゆっくりと口を開く、少年によると襲った人間は大人数名、たまたま買い物に行き帰ってきた時に遭遇したらしい、怯えた表情をした少年をウィリアムが抱きしめる
　「大丈夫だ、俺が絶対助けてやるから、安心して待ってろ」
　少年を安心させるとウィリアムは武器を持つ。　
　「フォルト、みんなを呼んでくれ」
　「はい...わかりました......ですが相手は教会ですよ！？　犯罪者になる可能性だって...」
　「やってることが既に異教徒だ、そのうち指名手配くらいされるだろ」
　「....わかりました、ですがあまり無茶はしないでくださいよ...」
　フォルトはため息をつくと皆を呼びに行った。
　「危ないから君はとりあえずここにいて、大丈夫だよ、みんな救ってみせる」
　ウィリアムの言葉に少年は静かに頷く
　「よし、いい子だ、1人じゃ危ないし1人残ってもらうか...」
　
　

____________________________________________________________


　「それじゃあ残るのがフォルト、サムの2人が残ってもらう」
　「わかりました」「了解した」
　「残りで探すが戦闘は覚悟しとけよ、規模は伝えた通りだがそれ以上の可能性もあるからな...」
　
　そうしてウィリアム達は子供達の行方について探すことにした。
　「なあトゥリア」
　「どうしたんだぜ？」
　「子供達の行方について、お前は知ってるのか？」
　「全くの不明だぜ、わからんけど多分教会じゃないのか？」
　「確かにこの情報量じゃ教会が一番怪しい、地下かどっかにいる可能性もあるが」
　「だったらお前が囮になるのはどうだ？」
　トゥリアの案は侵入自体は可能ではある、しかし教会側の人間の協力がなければ仕込みなどは一切できない、ウィリアムは案を考慮はしつつもできるだけ行わないようにすることにした。　
　

　「そっちはどうだった？」
　ウィリアムはフェイルに状況を聞くとフェイルは苦い顔をする
　「収穫無しだったわ、そっちはどうなのよ？」
　「こっちもダメだ、全くわからん」
　「うーん、やっぱり無謀すぎるんじゃない？　何か探す方法はないの？」
　「....ないな」
　情報量が無さすぎる、いっそ博打で教会に突撃することも頭によぎるがリスクが高すぎる、確実性がなければ逃げられる可能性すらあるからである、どうにか場所さえわかれば、そんなことをウィリアムは考えていた。