生きる世界と冒険譚

第十五話 偽物の裏切り

　「集会所...この先に本当にあるのでしょうか？」
　情報を頼りに路地裏を進んでいくと排水溝のようなものをフォルトは見つけた。

　蓋をゆっくりと外すと素早く中に入ると奥に進む。
　暗がりの中をランタンの明かりを頼りに進むと奥に僅かに光が見えた、ホセに変装したアルス、ルーベルに変装したルーカス、ココに変装し、拘束されたジャンの四人で着き、フォルトがゆっくりと扉を開くと、円卓に入るとポールがフォルトに話しかける。
　「ルイス殿、緊急の招集、よほどのことがあったのでしょう、どのような要件でしょうか？」
　「それはですね...」
　フォルトは拘束されたジャンを前に出すと口を開く。
　「ココが逃走しようとし、ドラゴン撲滅派に加担しようと企てました、ルーベルとホセ、私でなんとか拘束をしました、こちらにどのような処罰を行うか、話し合っていただきたい」
　フォルトの言葉に皆がざわつき始める、ココをあくまで利用する立場として見る者、本物の龍神と信じて止まない者、大きく二つの人間が入り混じる中でリアムが口を開く。
　「そうですね、彼女は龍神、我らの祈りが届かないというのならば私が保護捕らえてをしましょう！　へーリオス様の味方は誰なのか！　それを知っていただくためにも！」
　リアムの高々とした言葉に皆が圧倒されるがフォルトは淡々と話す。
　「それではしばらく時間を頂きたい、こちらにも準備がございますので」
　「よろしくお願いしますよ！　2週間以内にお願いいたしたい！」
　「わかりました、それでは準備が終わり次第、手紙を送ります」
　
　そうしてこれからのことについて数時間の議論を重ね、議論は幕を閉じた。

　


　「どうするんですか？　まさかこのままあの男に身を渡せってことですか？　俺は嫌だなぁ」
　ジャンは口笛を吹きながら不満を垂らすがフォルトは拘束を解くとジャンの顔を戻す。
　「その時は本物を連れて行きます、今の所ココと他の龍信仰の者は繋がりが薄いと同時に本気で信じているのは少数です、幼い少女には酷ですがここは利用させてもらいます」
　「それじゃあ私がフォルトさんについていきます、ルーカスとジャンは引き続き調査をよろしくね」
　「了解した」「わっかりました～」
　
　～教会～
　「あ、ルイス！」
　ココはフォルトを見ると手を振り近づくと。
　「こんにちは、今日も元気ですね」
　「今日ね！　なんか太陽が出たの！　やばい！」
　ココはフォルトの服を引きちぎりそうな勢いで引っ張り外に出そうとするがフォルトはココの肩を抑えると諭すように話し出す。
　「安心してください、あれはただの催しもの、気にしなくてもいいんですよ、ココ様」
　「そうだったんだ！　よかった～」
　ココは胸を撫で下ろし、ココはフォルトの背中をよじ登る。
　「よっしゃあ！　走って！」
　フォルトの頭をポンポンと叩き走れと言わんばかりに髪の毛を手綱に見立てて引っ張る。
　(2週間のうちに捕えようと思いましたが、思ったより簡単ですね、あとは誰にも捕まらせないようにしなければ...)
　「あいたたたた...行きますよ！」
　フォルトは駆け足で走り始め、教会内へと入っていき、ココが楽しそうにしてるとホセが話しかける。
　「ルイス様！　お帰りなさい！」
　ホセがフォルトに飛び込みフォルトは体勢を崩し転倒する。
　「すみません！　ルイス様」
　「いいですよ、それよりもどうしましたか？」
　「いやあ...ここまでしておいてなんですが特に用事は...」
　「いいんですよ、元気で何よりです」
　ホセが手を差し伸べそれを掴むとゆっくりと起き上がる。
　「ココ様と遊んでいたのですよ、ホセもやりますか？」
　フォルトの言葉にホセは疑問に思う。
　「ココ様...ですか？」
　「いやいや！　まあたまにはこういうことも行うものですよ！」
　ホセの疑問にあまり仲が良くないのかとフォルトは少し焦りながら話すとホセをココの手を引っ張る。
　「あなた...誰ですか！　ルイス様はへーリオス様としか言いません！　たとえ似ててもわかりました！」
　ホセは火球を指先に出すと投げるようにしてフォルトに飛ばす。
　フォルトは横に跳んで避けると蛇腹刀を展開し鍔からガソリンを等身全体に垂れ流す。
　「よくわかりましたね、子供だからと油断してましたよ」
　火球の着弾点はみるみるうちに溶け、それと同時に気体化した湯気の音のみが辺りを流れた。