生きる世界と冒険譚

山田浩輔

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第十八話 嘘と賭け

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 嘘は良い。
 時と場合によると僕は思う、優しい嘘というものは時に必要で、最終的な利益のための一時的な私欲の嘘、人の心に寄り添える嘘、その全ての嘘が必要なものであると僕は思う、表面を何重に覆って自分ですら知り得ない嘘、それが[レイク]だ、そして僕は宗教は全て嘘だと思ってる、神なんて存在しない、この世には天国も地獄もなく、死の先に行き着くのは無だ、でも死んだ後に楽園に行く、そんな嘘を僕は好意に思う、へーリオスなんて実在しないだろう、だけど救える人がいるのなら、皆の結束を固め、それぞれの幸せを求められるのならば...僕は応援する。


 アルスはレイクの喉元に蹴りを入れると表皮が剥げ、黒い肌が露出する。
 「やっぱり、カルダーのようね」
 アルスは液体が入った瓶を投げつけると、レイクは受け身を取りながら跳ぶとバリスタをアルスに向ける、アルスは木に隠れるがレイクは構わず打ち出し、アルスの上空を飛び抜け、その軌跡には縄がかかっていた。
 
 レイクは縄に輪状の紐をかけると縄を滑り一気にアルスの目の前まで距離を取るとバリスタを撃つ。
 アルスは木に隠れるが、今度は木に命中し、木を通して衝撃を感じるが、アルスは 轟音が鳴り響いた瞬間に姿を現すと杖を構える。
 「ファイアストーム!」
 炎の竜巻が現れ、レイクの方へゆっくりと向かう。
 レイクは金属弦を掴むとすぐにリロードを行うと嵐の中に矢を打ち込むと嵐は一瞬にして四散する。
 「そんな!?」
 大技を一瞬で吹き飛ばされてしまったがアルスは驚愕する暇もなく無慈悲に矢は飛び続け、木はすぐに倒されてしまった。
 「ここまでかな、まあ相手が悪かったと思ってよ、僕は次に行かないと」
 レイクは笑みを見せるとリロードをして矢をアルスに向かって打ち込むとアルスは直撃し、吹き飛ばされる。

 
 倒れ伏したアルスにレイクはゆっくりと近づくとアルスの髪の毛を掴み、持ち上げる。
 「死んだかな?」
 レイクは着弾したであろう腹部に手を触れようとした瞬間にアルスはレイクの眼を殴る。
 「がはっ....!!」
 レイクは眼を抑えたまま後ろによろめくと、アルスはさらに追撃で側頭部に蹴りを打ち込むが、次の瞬間にレイクはアルスの足を掴むと地面に叩きつける。
 「痛ったいなあ...鉄板で防いだんだね? でも、捕まえた」

 レイクはアルスを振り上げると地面に叩きつける。
 「がっ....!?」
 あまりの怪力、そして衝撃でアルスは声も発することもできず、喘ぐことしかできない、振り上げ、叩きつける、そのあまりにも単純で、あまりにも暴力的なそれは、まさに蹂躙という名が等しいとも呼べるであろう。

 


 「まだ! 耐え続ける! のかい?」
 何度も叩きつけ、声を発することもできないアルスであったがレイクは止めない、そのアルスの目は、何一つ死んでいない、希望と怒りと反撃の意思の塊、それをレイクは見逃さず、腕に疲労を感じながらも叩き続けていると銃弾がレイクの頬を掠り、黒い肌が露出する。

 ルーカスがレイクにつかみかかると、レイクの頭に銃を突きつける。

 「死ね」
 ルーカスはすぐに引き金を引こうとするがレイクは微笑む。
 「ここからが本番だよ?」

 レイクが言ったその直後、火炎瓶がルーカスの背中で破裂し、一気にルーカスを炎で包む。
 「ぐああああああああ!!!」
 「縄に火炎瓶を仕掛けといて良かったよ」
 ルーカスは熱に必死に耐え、引き金を引こうとするが、レイクはバリスタの矢を直接、ルーカスの目に突き刺し、ルーカスを蹴り飛ばす。

 「おっしいなあ、あとちょっとだったのにね?」
 ヘラヘラとしながらレイクはルーカスの首に剣を突き立てるとアルスにバリスタを向ける。
 「動くとこの人は死んじゃうよ? 大事な仲間でしょ?」
 レイクはルーカスを人質にするがアルスは構わず飛び出す。
 「やっぱりそこはプロだね」
 
 レイクはルーカスの首に剣を突き刺し絶命させるとアルスにバリスタを撃つ。
 「ウィンド!」
 風魔法でわずかに矢の軌道を逸らすとアルスはレイクの腹にナイフを刺す。
  レイクはアルスを殴り飛ばすとアルスは倒れ伏し、ルーカスの銃を奪うとアルスに向ける。
 「使い方は知ってるよ、これで終わりさ」
 レイクは相変わらず笑うがアルスはニヤリと笑う。
 「あんたもね」
 次の瞬間、レイクは目の前がチカチカとし、膝から崩れ落ちる。
 「な...何を...」
 「やっぱりそうだ、毒だよ、あなたはカルダーじゃない、あなたは...コーダル人ね...」
 レイクはアルスの眼球に手を突っ込むと質問する。
 「どうせ死ぬんだし教えてよ、いつから....気づいた?」

 「その筋力...だけど一番は瓶ね、カルダーには毒物はほとんどない、材料はあっても効果がないからね、でもあなたは避けた、それと同時に液体を脅威と感じた、酸も毒も効かない、そんな人間は避けるとしても大袈裟にはいかない」
 「...賭けに...負けたってことか、でも君もここで終わりだよ、ファイア」
 レイクはアルスの頭に銃を撃ち、そのまま横になり、永遠の眠りへとついた。
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