生きる世界と冒険譚

山田浩輔

文字の大きさ
69 / 77

第二十話 世界の真実

しおりを挟む
 ルーカスは目を覚ますとゆっくりと立ち上がる。
 「....そうか...俺は...アルスに助けられたのか...」
 実際にレイクに刺されたのはアルスが蒸気で作り出した幻影、ルーカスは瞬時に状況を理解するとレイクとアルスの遺体を目にする。
 「すまない、アルス」
 ルーカスはアルスの目を閉じるとレイクの口元に手を置く。
 「死んでいる...」
 レイクの顔をルーカスの顔へと変えると、ルーカスは自分の顔に手を置き肌はゆっくりと白に近づき、レイクの顔になる。
 「ここからが本当の勝負だ」


 ルーカスは街中に入ると、人々の中を歩く
 (さあ、思い出せ、あの太陽を出してから、そこまで時間はなかった、つまりこの地下街に他の龍者もいる、会議にいた龍者達を、わずかな仕草、歩き方、声、手の形、身長、足音....全てを...)
 顔の見えない龍者を判別するために、細心の注意を払いながら歩くと、その時、ルーカスは見つけた。
 黒龍の仮面を身につけた男、カイルと思われる人物を


 ルーカスはカイルを尾行し、そのまま歩き続ける、道ゆく通行人に次々と顔を変え、進み、そしてとうとう、一つの小さな診療所に着いた。
 診療所にカイルが入るのを見るとルーカスも顔を変えて入るとカイルが奥の部屋に入るのを確認するとルーカスは一度外に出る。
 「さあ...どうするか...」




 ココとホセは家に入ると扉に鍵をかける。
 「しばらく隠れて起きましょう、ここまでくるはずが...」
 ココとホセは隠れているとノック音が聞こえる。
 「ココ様、隠れていてください」
 ココをクローゼットに隠れさせるとゆっくりと扉を開く、そしてそこにはリアムとポールがいた。
 「リアム様に...ポール様!?」
 ホセが驚き声を上げると静かにしろと言わんばかりに指を立てる。
 「ところでココ様は?」
 リアムが聞くとホセはココを呼ぶ。
 「ココ様! 来てください!」
 ココが走ってくると二人は困惑する。
 「あれ、ココ殿は逃げようとしたはずでは?」
 リアムの言葉にホセは疑問を覚える。
 「なんの話ですか?」
 「いやいや、この前ルイス殿と共に裏切りを報告したではありませんか」
 ポールの言葉にホセはフォルトのことを思い出す。
 「もしかしたら、それは僕たちに変装した人です! レイド人の人でした! 騙されています!」
 ホセの言葉を信じきれずとも納得するとリアムは二人の手を引っ張る。
 「それでは今すぐ逃げましょう! すでに追っ手がいるかもしれません、走りますよ!」
 そうしてココとホセはリアムの言われた通りに着いていき、教会へと逃げ込むのであった。
 

 ~マルセル東教会~
 「しばらくはここで隠れておきましょう!」
 リアムはホセとココに茶を出すとポールは一つの本を机の上に置く。
 「これは?」 
 ホセが本を指差すとポールは答える。
 「今は緊急事態です、ここには龍の真実について書かれているのです」
 ポールの言葉にココは首を傾げる。
 「しんじつ?」
 「見ればわかります」
 そうして本を開くと、そこには著者の名と、龍戦争の歴史について書かれていた。
 「名前は...木下悠真...この人が?」
 ホセの言葉にポールは答える。
 「彼は龍戦争の四英傑の一人にして、魔法を生み出し、龍を滅ぼすに至り、賢者と呼ばれた英雄です」
 「それってすごいの?」
 ココの言葉にホセは頷く。
 「魔法は、この世界の人類...その歴史の全てにおいて必要となったものです、すごいとしか...」
 そうして本を読み進めていく。
  

 ここに記されていることは、紛れもない真実である、私の名は木下悠真、龍戦争の四英傑である、私は龍戦争のおいて、世界最大の龍、[神龍]を封印したものである、そして私はこの世界の住人ではない、私は地球という場所から来た人間だ。
 まず一つ、魔法についてだ、私は公明な人間などではない、私の世界には魔法という、空想のものがあった。私がこの世界に来て、魔法を生み出したのは単なる思いつきでしかない、私には魔法は使えなかった、しかし魔力と呼ばれる、エネルギー変換の機能を持つ生物が魔法を使うことができた。

 巨大な生き物であり、翼を持ち、空を飛べるその生物は本来生きることはできない、なぜなら食糧が本来足りるわけがない、ドラゴンは恒温動物だからである、なぜ動けるのか、このようなおかしい生物がいるのかを調査し、そして私は日光に当たると赤く光出すこの鱗に興味を持った。

 実験をし続けわかったことがある、ドラゴンは、葉緑体を持つ巨大な半動植物である、大きな体は光合成のエネルギーにより生きることができていた、そして硬化した鱗がなぜ日光により赤く光るのか、急激に収縮された葉緑体は日光でエネルギー、酸素を生み出すが、酸素は放出されない、そのまま鱗の中で留まり、ヘモグロビン、血液の赤い部分と反応し、急激に赤く光るのである、ドラゴンの力は脅威ではあるが対処法はある、一つは夜間など太陽の当たらない場所である、そこなら少しは弱体化するだろう、そして次に、急激な環境の変化である、寒冷地などにドラゴンは弱い、体温を奪われ、一時的に眠るであろう。

 私は禁忌を犯した、それは、歴史から踏み外す行為である、私はある種族を生み出した、龍のDNAを埋め込み、成り損ないとなったそれを私は龍人と呼んだ。

 最後に一つ、これはいつの時代になるかわからない、だが一つ言えることがある、この世界と地球は、いつか崩壊する、それは容量が足りなくなるからである、いつか二つの世界は対立し、片方が滅びる、なぜなら、世界は生きているからである、この世界自体が、一つの生命体である、そして私はこの事実と、私の生きる道をこう名付けた、[生きる世界と冒険譚]である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...