混色の元ダンジョンマスター様。

摂政

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ゴーレム対吸血鬼! 伝説級の存在に吸血鬼が挑む

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 この世界には、かつては存在したが絶滅してしまった種族が数種類いる。
 その1種類が、伝説の国落とし龍ことブラックドラゴンである。

 ドラゴンは様々な魔物の中でも強力な力を持った上位種であるが、その中でもブラックドラゴンは別格の強さを持つ。
 全身を黒い力で覆われたその高位種のドラゴンは、攻撃と防御、その両方を黒い謎の力で行っている。
 黒い力で覆われた身体はあらゆる物を貫き、黒い力で覆われた身体はあらゆる物を防ぐ。攻守備えた完璧なドラゴン、それがブラックドラゴンである。
 一説にはその黒い力は、濃縮された闇だという意見や、本当は黒ではない別の色だっただとか、学者によっては色々な説があるのだが、とにかく何か変な黒いモノで覆われたブラックドラゴンは、生物歴史学上において最強の存在である。
 子供を取り返すためだけに、たった1匹で大国を滅ぼした最強のドラゴン、ブラックドラゴン。
 あまりにも強すぎるために、そう言った種の宿命なのかは分からないが、このブラックドラゴンは個体数が絶対的に少なく‐‐‐‐そのために、絶滅したとされている。


「(……物凄い強そうな見た目ですね、このゴーレムは)」

 吸血鬼最強パーティーのリーダーである吸血鬼パラディンは強固すぎる盾を構えながら、ゴーレム相手に対して身構えていた。

「パラディン、俺達で攻めていって良いよな?」
「……私も、行きます」

 吸血鬼パラディンはさっさと無警戒に戦いに行こうとする吸血鬼ファイターと吸血鬼アサシンの2人を止めようと考えるも、すぐさま吸血鬼パラディンは止めた。
 吸血鬼パラディンは一応は吸血鬼最強パーティーのリーダーではあるが、それはあくまでもこの4人の中で一番レベルが高いからである。人望やらで選ばれた訳ではなく、ただ強いだけ。

「(今、指示を出したとしても、ファイターとアサシンの2人は私の指示に従わないでしょう。
 それならば、あの2人には好き勝手に動いて貰ってこちらで合わせる方が良い)」

 ふと後ろを見ると、吸血鬼パラディンの考えを理解してくれたであろう吸血鬼キャスターがいた。吸血鬼キャスターは杖を構え、いつでも準備オーケーという感じである。

「吸血鬼ファイター必殺、吸血百裂拳っ!」
「……一刀両断」

 そうこうしているうちに、吸血鬼ファイターは拳に血を固めて殴りにかかる。吸血鬼アサシンは自らの血を固めたナイフで斬りかかる。

「吸血鬼キャスター、魔法で援護を頼む」

「了解ですよ、吸血鬼パラディン。"火炎よ、火炎よ、火炎よ、我が敵を熱く燃やし尽くせ"」

 吸血鬼キャスターは自らの指先に逆巻いて渦巻かせる炎を魔法で作り出し、それを吸血鬼ファイターと吸血鬼アサシンの攻撃に合わせている。
 
「顔は狙うなっ! ブラックドラゴンを思わせるあの黒い力がどこまでかは分からないが、それでも顔よりかは身体を狙った方が良い!」

「分かったぜ、吸血鬼パラディン!」
「……了承する、パラディン」

 吸血鬼アサシンによってゴーレムの身体を斬り、吸血鬼ファイターがその上でめちゃくちゃになるくらいにその上でゴーレムの身体を殴りまくっていた。

《グギャオォン?!》

「炎も、おまけしますよ」

 アサシンが斬り、ファイターが殴り、ボロボロの状態となったゴーレムに吸血鬼キャスターの火炎が襲い掛かる。

《グギャルォォォー!》

 そして、火炎がゴーレムの核に達し、ゴーレムは爆発する。

「《パラディン・ワイドガード》!」

 爆風の衝撃から仲間を守るため、パラディンはパーティーメンバー全員の攻撃を守るために防御技を発動する。発動したことによって後ろにいるキャスター、そして前にいるファイターとアサシンの3人に魔法の盾を作り出す。作り出した魔法の盾はパラディン自身と3人を守るために現れて、ゴーレムの強力な爆発から彼らを守っていた。
 爆発が終わり、ぽろぽろとゴーレムの身体が崩れ落ちる。それと共に身体の中心にある、ゴーレムの魂たるゴーレムコアまでさらーっと、砂のように崩れ落ちていった。

「やったぜっ! 意外と呆気なかったな、おいっ!」
「……当然。レベルが違う」

 嬉しそうにハイタッチするファイターとアサシンを見ながら、パラディンはキャスターと一緒に顔を見合わせていた。

「……あまりにも呆気なさすぎですね、キャスター」

「えぇ、単なる見かけ倒しだったのでしょうか。ゴーレムコアも壊れて、崩れ去っていますし」

 ゴーレムコアは、人間でいう所の心臓である。他のどの部分が欠けても問題ないが、ゴーレムはこのコアに傷がついただけで行動不能となる。
 目の前でゴーレムコアが壊された以上、これ以上はないはずである。

「(ブラックドラゴンは、ただでさえ無敵な最強のドラゴン。
 顔だけとはいえ、その片りんを見せているゴーレムが、こんなに簡単に負けるはずがない。けれどもコアが破壊されている以上、ゴーレムはやられているはずで……)」

 と、パラディンがそんな事を思っていると、"それ"は目の前で行われていた。


【ゴーレムコアの 破壊を確認】
【自動修復機能‐‐‐‐《黒の力》を発動】
【ゴーレムコア 修復機能を自己発動】
【《黒の力》による 武装モードα 発動を推奨】
【修復と同時に 実行します】


 目の前で、砕け散ってしまったゴーレムコアが"ひとりでに"浮かび上がっていた。
 そして、勝手にゴーレムコアが修復しだしたのだ。

「修復機能? いや、それだけじゃ……」

 浮かんだゴーレムコアの破片が1つにまとまっていき、そしてゴーレムコアを中心に今度は全身を黒い身体が再構築されていた。
 全身が普通の姿だったはずのゴーレムの身体が黒いエネルギーで覆われていき、その中心部分に黒く染またコアが体の中に入っていく。腕は右腕は大きな手、そして左腕は砲台に変わっていた。

「‐‐‐‐はぁ、やっぱりあまりにも埒外の強さすぎるよな」

 と、ゴーレムの後ろに構えていたダンジョンマスター、マスティスが吸血鬼達の前に現れる。

「やめておけよ、吸血鬼のパーティーさん。このゴーレムは、《黒の力》なる謎の力によって不滅の存在となった。厳密に言えば、不滅じゃないんだけど。
 このアイアンゴーレムは、核であるゴーレムコアを破壊しようともすぐさま元通りになってしまう。
 ‐‐‐‐さて、それがどれだけ持つかな?」

《グォォォォン!》

 こうして、今度は全身にブラックドラゴンを思わせる、黒いなにかを力として手に入れたアイアンゴーレムは吸血鬼パーティーに立ち向かう。
 ファイターが叩いても、アサシンが斬っても、キャスターが魔法を唱えても、ものともしない不死身のゴーレム。

 ‐‐‐‐かのゴーレムとの決着は、意外と早い事ついた。
 もともとが、自分が選ばれた存在だと思っている自信過剰の吸血鬼達が集まった即席パーティーである。リーダー役のパラディンの掛け声の前に、

「「降参しよう」」

 前衛のファイターとアサシンの2人が、勝手に降参を出していた。 
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