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元ダンジョンマスター、《魔王(仮)》にされる。
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《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ――――》
う、うぜぇぇぇぇ!
これは……アレだ。俺がダンジョンマスターになった。いや、ダンジョンマスターに"された"時と一緒だ。
あの日、俺はただの一介の魔族だった。魔族ってのをなにかって聞かれると難しいんだけれども、とりあえず人型の魔物みたいな感じに思って貰えると良い。自分がなにかなんて、説明出来る方が少ないだろう。
とにかく俺は、《魔物使役》が特技として挙げられるような、それ以外にさほど特徴がない魔族であった。親代わりの者からある程度の教育と常識を叩き込まれ、さてなにをしようかと迷っていた所――――今の声が聞こえた。そう、無理矢理、俺に《ダンジョンマスターになれ》と諭すように、無理矢理促すように言っていた。
俺はこの声を、《悪魔の声》と呼んだ。悪魔が言っている訳ではなく、本当に悪魔な言い方で言って来るのでそう呼んでいる。
自分達の都合が良いように《とりあえず、なれ》とだけ言って、応答しないでいると今度は強い口調で《やれ》とだけ言って来る。否定しても意味はない、了承するまでその声は続く。そう、了承するまでずっと、眠る前だろうが、ゆっくりしたい時だろうが。
《俺がダンジョンマスターになれ》と言われたのもそのような感じで、うちの元上司の魔王も俺と同じようにこの《悪魔の声》によって魔王になれ、と言われてなったみたいである。違うのは元上司はそれを光栄だと思っており、『ただで仕事と従える部下が入ったんだよ? 役得だよねぇ~』と笑って受け入れていた。どう頑張っても自分はそんな風に思えないので、凄いと思うべきか、それとも楽観視しすぎだと思うべきか……。
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ――――》
「う、うるせぇ!」
だっ……ダメだ。あまりにうるさすぎて考えている暇がない。
こいつには意思なんてないのだ、ただこっちが話を了承するまでずーーーーーーーーーーーーっと言って来るのだから。
「りょっ、了承する! 了承するからこの声を止めてくれぇぇぇぇ!」
《了承を確認。それではあなたを魔王に任命します》
《今後とも魔王としての健闘を祈ります》
そう言って、ようやく静かとなった。
まったく……これでようやく静かに考える事が出来る。
《ぷ、ぷるぅ……》
と、そんな事を考えていると、足元からそんな声(?)が。
良く見ると、俺が早速使役したスライム達が揃いも揃って怯えている。なぜ 怯えているのだろうと思ったが、それも当然だとすぐに分かった。
いきなり自分達を使役してくれている主が考え込んでいたかと思えば、いきなり大声を出す。
場合によっては奇行に見られても仕方がないだろう。あるいは……そうだな、恐らく自分達が怒られたと思っているのだ。上司から怒られる時ってのは基本的に大きな声で怒られるからな。
だからスライム達は怯えているのだ、自分達がなんで怒られてるかが分からないから。
(さて、どうしようか……。考えようにもこんな怯えた状態のを放置する事なんて出来ないし。
そうだ、なにか命令して置くとするか)
仕事を与えられずにただ待ってるよりかは、与えられたのをしている方がマシだろう。
「よし、スライム達。あのでb……じゃなかった、勇者を食っておいてくれないか? 後、出来れば鎧と剣も回収して置いてくれ」
そう言うと、スライム達は喜んで勇者の死体へと駆け寄っていった。言葉は相変わらず分からなかったが、何度も飛び跳ねている様子から見ても嬉しい様子が伝わってくる。
彼らにとってはごちそうみたいなものだからな、その喜びようも分かる。
スライムは雑食だ。最弱の割になんでも食して、その体内に入れてくれる。むしろ最弱だからこそ、どんな食べ物でも食べられる性質が身についたのかも知れないが。
まぁ、そうやって色々と取り込んで進化していくという魔物なのだ。大量の毒草を食してポイズンスライムとか、金属をいっぱい食べてメタルスライムとか……。
そんなスライム達にとって、珍しいものは特別に美味しいらしい。勇者なんてめったに食べられないだろうし、涎が止まらなかっただろう。どこが口か分からないけど。
あと、スライム達に勇者が着ていた鎧と剣をなんとかして欲しいと頼んだ理由としては、俺があんな重い物を持てないからだ。
俺には何でも収納出来て、さらには取り出しやすいように勝手に整理されて、おまけに入れている間は重さを感じないだなんてスキルは持ってないんだよ!
羨ましいんだよ、《アイテムボックス》! 知り合いが使っていたけど、俺も欲しかったよ!
「あー、ちくしょう。思い出したら腹立って来た。
……そう言えば、さっき魔王がどうこう言っていたけど」
別に、容姿がなにも変わった様子もない。
本当に魔王になったのだろうかと疑った俺は、もう一度ステータスを見る。
=====
名前;マスティス・タウスト
職業;元ダンジョンマスター 【混色】の魔王 魔王(仮)
保有スキル;魔物使役 剣術Lv.2 猛毒耐性 混色能力
評価;D-(最大Sー最低F)
=====
「……魔王(仮)?」
なにこれ、どういう意味?
その疑問をステータスさんがすぐさま詳細画面を表示して説明してくれた。
=====
【混色】の魔王
……【混色】を司る魔王。あらゆるものに色を付け加える事ができる。色によって得られる能力が違ってくる。
【レベル1】
・配下の魔物に色を付け加える事が出来る。
・使える色は【赤】、【青】、【黄】。
【魔王(仮)】
……勇者を倒した者の中でも、魔物を率いる者に対する称号。しかし残念ながら勇者があまりにも増えた故の暫定的な処置であったため、魔王に与えられるべき権利や領地はない。
=====
「なるほど。……意味は分かったが、最悪の称号をありがとう」
1人で世界を変えるほどの力を持つ魔王には、その分の《特権》と《義務》がある。
まず、魔王の《特権》……それは《領地》と《直属の配下》。自分が思い通りに開拓して管理できる領地と幾つかのダンジョン。そしてそのダンジョンを管理するダンジョンマスターを用意したり、自分を守ってくれる魔物を雇う事が出来る。
ダンジョンマスターだって魔物を使うじゃないか? いやいや、彼らは働いてくれている人であって、魔王の配下の魔物は完全に彼らの所有物だから。会社が雇ってくれている魔物を使うのがダンジョンマスターであり、個人で魔物を雇えるのが魔王。そこには大きな差がある。
次に魔王の《義務》。魔王には《領地を運営する義務》と《勇者と戦う義務》。領地を運営するのに関しては別に問題はないのだけれども、問題はもう1つの勇者と戦う方の義務。魔王は勇者が近くに居て暴れている際には、必ず勇者を倒しに向かわなければならないのだ。
……勇者なんて七面倒な存在と戦いたくないのに、魔王になったら戦わなければならないだなんて。しかも(仮)が付いているから、その魔王と戦う義務だけしかないだなんて……ひどすぎるぅ!
「……出来るだけ、魔王が居るような場所には近付かないで置こう」
魔王危うきに近寄らず、である。
《ぷよぉ~》
「おっ、スライム達も戻って来たか。よし、さっさとこんな所からはおさらば――――」
と、そうスライム達に銘ずる俺だったが、その言葉は残念ながら勇者タクト・クルスの死体を食べただろうスライムの姿を見て固まっていまった。
スライム達は勇者の死体を食べて、その身体を大きく変化させていた。
2m近い背丈。
筋肉隆々の身体。
腕や足には見て分かるほどの筋肉。
腹には良く鍛えられた証たる、綺麗に6つに鍛えられたシックスパック。
《すらぁ~》
《ぷよぉっ! ぷよぷよっ!》
《すらすらすらぁ~》
――――それは10匹の、いや10人の筋肉溢れるマッチョなスライムの姿だった。
そのうちの2体は重そうな黄金の鎧と、銀色の剣をそれぞれ片手で悠々と持っていた。
「――――なんでだよぉ!?」
あのでぶっちょな、太っちょな不摂生な勇者を吸収したにはあり得ない姿であった。
どうして、あのでぶっちょから、マッスルへと変化するんだよぉ?! 可笑しいだろう、あまりにもおかしいだろうがぁ!
=====
マッスルスライム
……スライムの変化形態の1つであり、体力と攻撃力が他のスライムと比べても高い。太っちょな身体にもあるにもかかわらず、超重量級の鎧と剣を持つほどの筋力を持っていた勇者を取り込む事で進化した。
=====
「確かに、あの勇者はそうだったけど!」
そうだったよ! すっげー太ってたのに、重そうな鎧と剣でこちらに来てたよね?! 自滅したけどさ!
あと、ステータスさん! 気を使って説明してくれてありがとうございます! もっと頑張れって言ってすいませんでした!
《勇者が近くにやって来ています》
《魔王(仮)なので戦ってください》
《戦え》
《力与えたんだから戦え》
《義務だろう、果たせよ》
《さっさとやれよ》
《できるよね?》
《はいしか求めてないから》
《はい、は?》
《はい、って言えよ》
《言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ――――》
「またこの展開!?」
元ダンジョンマスターじゃなくても、あまりの事の大きさに付いていけないのに!?
ステータスさんはすげー優しいのに、なんでこいつはこんなに厳しいの!?
最悪だ、最悪ってのは時なんて選んでくれないんだ。
う、うぜぇぇぇぇ!
これは……アレだ。俺がダンジョンマスターになった。いや、ダンジョンマスターに"された"時と一緒だ。
あの日、俺はただの一介の魔族だった。魔族ってのをなにかって聞かれると難しいんだけれども、とりあえず人型の魔物みたいな感じに思って貰えると良い。自分がなにかなんて、説明出来る方が少ないだろう。
とにかく俺は、《魔物使役》が特技として挙げられるような、それ以外にさほど特徴がない魔族であった。親代わりの者からある程度の教育と常識を叩き込まれ、さてなにをしようかと迷っていた所――――今の声が聞こえた。そう、無理矢理、俺に《ダンジョンマスターになれ》と諭すように、無理矢理促すように言っていた。
俺はこの声を、《悪魔の声》と呼んだ。悪魔が言っている訳ではなく、本当に悪魔な言い方で言って来るのでそう呼んでいる。
自分達の都合が良いように《とりあえず、なれ》とだけ言って、応答しないでいると今度は強い口調で《やれ》とだけ言って来る。否定しても意味はない、了承するまでその声は続く。そう、了承するまでずっと、眠る前だろうが、ゆっくりしたい時だろうが。
《俺がダンジョンマスターになれ》と言われたのもそのような感じで、うちの元上司の魔王も俺と同じようにこの《悪魔の声》によって魔王になれ、と言われてなったみたいである。違うのは元上司はそれを光栄だと思っており、『ただで仕事と従える部下が入ったんだよ? 役得だよねぇ~』と笑って受け入れていた。どう頑張っても自分はそんな風に思えないので、凄いと思うべきか、それとも楽観視しすぎだと思うべきか……。
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ――――》
「う、うるせぇ!」
だっ……ダメだ。あまりにうるさすぎて考えている暇がない。
こいつには意思なんてないのだ、ただこっちが話を了承するまでずーーーーーーーーーーーーっと言って来るのだから。
「りょっ、了承する! 了承するからこの声を止めてくれぇぇぇぇ!」
《了承を確認。それではあなたを魔王に任命します》
《今後とも魔王としての健闘を祈ります》
そう言って、ようやく静かとなった。
まったく……これでようやく静かに考える事が出来る。
《ぷ、ぷるぅ……》
と、そんな事を考えていると、足元からそんな声(?)が。
良く見ると、俺が早速使役したスライム達が揃いも揃って怯えている。なぜ 怯えているのだろうと思ったが、それも当然だとすぐに分かった。
いきなり自分達を使役してくれている主が考え込んでいたかと思えば、いきなり大声を出す。
場合によっては奇行に見られても仕方がないだろう。あるいは……そうだな、恐らく自分達が怒られたと思っているのだ。上司から怒られる時ってのは基本的に大きな声で怒られるからな。
だからスライム達は怯えているのだ、自分達がなんで怒られてるかが分からないから。
(さて、どうしようか……。考えようにもこんな怯えた状態のを放置する事なんて出来ないし。
そうだ、なにか命令して置くとするか)
仕事を与えられずにただ待ってるよりかは、与えられたのをしている方がマシだろう。
「よし、スライム達。あのでb……じゃなかった、勇者を食っておいてくれないか? 後、出来れば鎧と剣も回収して置いてくれ」
そう言うと、スライム達は喜んで勇者の死体へと駆け寄っていった。言葉は相変わらず分からなかったが、何度も飛び跳ねている様子から見ても嬉しい様子が伝わってくる。
彼らにとってはごちそうみたいなものだからな、その喜びようも分かる。
スライムは雑食だ。最弱の割になんでも食して、その体内に入れてくれる。むしろ最弱だからこそ、どんな食べ物でも食べられる性質が身についたのかも知れないが。
まぁ、そうやって色々と取り込んで進化していくという魔物なのだ。大量の毒草を食してポイズンスライムとか、金属をいっぱい食べてメタルスライムとか……。
そんなスライム達にとって、珍しいものは特別に美味しいらしい。勇者なんてめったに食べられないだろうし、涎が止まらなかっただろう。どこが口か分からないけど。
あと、スライム達に勇者が着ていた鎧と剣をなんとかして欲しいと頼んだ理由としては、俺があんな重い物を持てないからだ。
俺には何でも収納出来て、さらには取り出しやすいように勝手に整理されて、おまけに入れている間は重さを感じないだなんてスキルは持ってないんだよ!
羨ましいんだよ、《アイテムボックス》! 知り合いが使っていたけど、俺も欲しかったよ!
「あー、ちくしょう。思い出したら腹立って来た。
……そう言えば、さっき魔王がどうこう言っていたけど」
別に、容姿がなにも変わった様子もない。
本当に魔王になったのだろうかと疑った俺は、もう一度ステータスを見る。
=====
名前;マスティス・タウスト
職業;元ダンジョンマスター 【混色】の魔王 魔王(仮)
保有スキル;魔物使役 剣術Lv.2 猛毒耐性 混色能力
評価;D-(最大Sー最低F)
=====
「……魔王(仮)?」
なにこれ、どういう意味?
その疑問をステータスさんがすぐさま詳細画面を表示して説明してくれた。
=====
【混色】の魔王
……【混色】を司る魔王。あらゆるものに色を付け加える事ができる。色によって得られる能力が違ってくる。
【レベル1】
・配下の魔物に色を付け加える事が出来る。
・使える色は【赤】、【青】、【黄】。
【魔王(仮)】
……勇者を倒した者の中でも、魔物を率いる者に対する称号。しかし残念ながら勇者があまりにも増えた故の暫定的な処置であったため、魔王に与えられるべき権利や領地はない。
=====
「なるほど。……意味は分かったが、最悪の称号をありがとう」
1人で世界を変えるほどの力を持つ魔王には、その分の《特権》と《義務》がある。
まず、魔王の《特権》……それは《領地》と《直属の配下》。自分が思い通りに開拓して管理できる領地と幾つかのダンジョン。そしてそのダンジョンを管理するダンジョンマスターを用意したり、自分を守ってくれる魔物を雇う事が出来る。
ダンジョンマスターだって魔物を使うじゃないか? いやいや、彼らは働いてくれている人であって、魔王の配下の魔物は完全に彼らの所有物だから。会社が雇ってくれている魔物を使うのがダンジョンマスターであり、個人で魔物を雇えるのが魔王。そこには大きな差がある。
次に魔王の《義務》。魔王には《領地を運営する義務》と《勇者と戦う義務》。領地を運営するのに関しては別に問題はないのだけれども、問題はもう1つの勇者と戦う方の義務。魔王は勇者が近くに居て暴れている際には、必ず勇者を倒しに向かわなければならないのだ。
……勇者なんて七面倒な存在と戦いたくないのに、魔王になったら戦わなければならないだなんて。しかも(仮)が付いているから、その魔王と戦う義務だけしかないだなんて……ひどすぎるぅ!
「……出来るだけ、魔王が居るような場所には近付かないで置こう」
魔王危うきに近寄らず、である。
《ぷよぉ~》
「おっ、スライム達も戻って来たか。よし、さっさとこんな所からはおさらば――――」
と、そうスライム達に銘ずる俺だったが、その言葉は残念ながら勇者タクト・クルスの死体を食べただろうスライムの姿を見て固まっていまった。
スライム達は勇者の死体を食べて、その身体を大きく変化させていた。
2m近い背丈。
筋肉隆々の身体。
腕や足には見て分かるほどの筋肉。
腹には良く鍛えられた証たる、綺麗に6つに鍛えられたシックスパック。
《すらぁ~》
《ぷよぉっ! ぷよぷよっ!》
《すらすらすらぁ~》
――――それは10匹の、いや10人の筋肉溢れるマッチョなスライムの姿だった。
そのうちの2体は重そうな黄金の鎧と、銀色の剣をそれぞれ片手で悠々と持っていた。
「――――なんでだよぉ!?」
あのでぶっちょな、太っちょな不摂生な勇者を吸収したにはあり得ない姿であった。
どうして、あのでぶっちょから、マッスルへと変化するんだよぉ?! 可笑しいだろう、あまりにもおかしいだろうがぁ!
=====
マッスルスライム
……スライムの変化形態の1つであり、体力と攻撃力が他のスライムと比べても高い。太っちょな身体にもあるにもかかわらず、超重量級の鎧と剣を持つほどの筋力を持っていた勇者を取り込む事で進化した。
=====
「確かに、あの勇者はそうだったけど!」
そうだったよ! すっげー太ってたのに、重そうな鎧と剣でこちらに来てたよね?! 自滅したけどさ!
あと、ステータスさん! 気を使って説明してくれてありがとうございます! もっと頑張れって言ってすいませんでした!
《勇者が近くにやって来ています》
《魔王(仮)なので戦ってください》
《戦え》
《力与えたんだから戦え》
《義務だろう、果たせよ》
《さっさとやれよ》
《できるよね?》
《はいしか求めてないから》
《はい、は?》
《はい、って言えよ》
《言えよ》
《言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ言えよ――――》
「またこの展開!?」
元ダンジョンマスターじゃなくても、あまりの事の大きさに付いていけないのに!?
ステータスさんはすげー優しいのに、なんでこいつはこんなに厳しいの!?
最悪だ、最悪ってのは時なんて選んでくれないんだ。
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