混色の元ダンジョンマスター様。

摂政

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強くなった、魔王(仮)。

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 【ジャック】の勇者ことメシア・キリサキ。
 その勇者との戦いにこのままだといけないと感じた俺は、一つの賭けに出た。

 タクト・クルスとか言う自滅系勇者のせいでなってしまった、魔王(仮)。
 その際に俺は、【混色能力】なる能力を手に入れた。
 赤、青、黄の3色を配下に宿す事が出来るとか言う、未だにどう言う能力かが分かりきっていない能力。
 俺はこれまでの道中で、このうちの2色を実際に試した。

 1色目は、青。試したのはソラハ・テンジョウインなる、妖狐の勇者。
 能力の内容は、"放つ物を遅くする"という鈍化能力。この能力は自分の魔法を遅くすると言う、最初は使い所が良く分からない能力ではあったが、後でこの鈍化を受けている際は影響を受けている物が大きくなるという特徴がある事に気付いて、まぁ……使える能力にはなった。
 実際、先程もその能力で助けて貰った。

 2色目は、赤。試したのはササという、ヤトササガニなる蜘蛛の魔物。
 能力の内容は、"糸を赤く染める"という良く分からないもの。エルフの村で気付いたのだが、どうやらこの赤い糸には治療を促す効果があるみたいである。

 "青"は遅くする能力、"赤"は治癒能力。
 青が遅くするなら、赤は速くするのかと思ったのだが、どうやら色ごとによって能力は違うらしい。
 しかも、どの色がどういった能力になるのかという説明もない。

 今、俺に必要なのは、メシアを倒しきる絶対的な力。
 青、赤の二色がダメならば、残る3つ目の黄色に賭けるしかない。
 俺は配下としての能力の定義として、自身の身体をその定義下に置いた。
 ジョルグジョルグさまは自分の配下のことを、"自分の意のままに動く手足である"だと表現した事があり、それならば"自分の意のままに動く手足は、俺の配下じゃないか?"という荒技である。
 まぁ、スキルなんてものは、最終的には本人がどう思うかという想像力の話になってくるので、これも可笑しな話ではないんだけれども。

 そして黄色の力を、俺のステータスに直接塗って見た所、俺を黄色いオーラが包み込んでいた。
 今、俺の無色透明だったステータスは黄色に染まっており、俺のステータスには黄色の力の恩恵が見えていた。

=====
名前;マスティス・タウスト
職業;元ダンジョンマスター 【混色】の魔王 魔王(仮)
保有スキル;魔物使役 剣術Lv.2 猛毒耐性 混色能力 《黄金の力》
評価;C+(最大Sー最低F)
=====

「……ん?」

 黄色くなったステータス。その際に目についたのは《黄金の力》という、さっきまではなかったスキルである。
 恐らくは、黄色い筆を使った事によってこのスキルが生まれたんだろうが……俺が用いたのは黄色。黄金色とは呼べない色だったはずだが……。

「「うわっ、すげぇ黄金色じゃねぇか! こりゃあ、獲得賞金が倍になってても、可笑しくないぜぇ!
 ひゅっほぉぉぉぉい!」」

(黄金……?)

 黄色い光が消えると共に、俺を見ていたメシア・キリサキはそんな言葉を発していた。
 黄金、の意味はすぐさま分かった。俺の皮もない骨だけの手の真ん中、そこに先程まではなかった印があったからだ。その印が輝かしい、黄金色に輝いていたのである。

 ――――いや、なにこれ!? こっわ!

 いきなり、自分の手に黄金の印が浮かび上がっていたら、誰だって困惑する事だろう。
 俺に迫って来るメシア。黄金の印にビビっていたが、今はそう言う状態じゃないみたいである。

(黄色じゃなくて、何故今回は黄金なのかは構わない!
 せめて、この能力が直接的な戦闘能力がある能力でありますように!)

 そんな事を思いながら、焦る気持ちを抑えてスキルを確認する。
 スキルの文字を確認し……そして、戦闘として戦える能力であった事を嬉しく思いつつ、俺は《黄金の力》を発動する。

「《黄金の力》!
 ぷらす、剣術Lv.2!」

 俺が宣言すると同時に、俺の手には黄金の剣があった。
 黄金に光り輝く、特別さを意識するもの。触れているだけで、見ているだけで、超一流の剣である事は一目瞭然であった。

 俺はそれを手に取って、そのまま化け物――――メシア・キリサキへと狙いを定める。
 距離は関係ない、今必要なのは相手を斬るために方向をきちんと合わせること。それだけである。

「「クフフゥ! どんな手を使おうが、無駄無駄ぁ~!
 その黄金の剣も、俺の力に使われる運命! さぁ、お前を倒してその剣を奪ってやろう!」」

「……残念ながら、それは無駄な話だ」

 この黄金の剣は物体ではない。
 ただの俺の"スキル・・・"、なのだから。


「――――【黄金・スラッシュ】!」


 ただ、いつものように。
 俺は、剣を振るう。

 ――――その威力は、絶大であった。
 ただの一薙ぎ。黄金の剣を振るうことで生まれたその一薙ぎは、目に見えるほどの大きな波のような形となってメシア・キリサキの身体を切断していた。

「「ぐふっ……! な、なるほど……!
 剣術をレベルアップする力、って事か。それでも、俺の複製能力があればこんな傷程度なんか――――」」

「《黄金の力》は、ただ威力を上げるだけの技ではない……らしい。
 この《黄金の力》は、"スキルの能力を・・・・・・・絶対的なものへと・・・・・・・・変貌を遂げる・・・・・・"というものらしい」


=====
《黄金の力》
…黄色の力が【混色】の魔王によって底上げして生まれた、黄金の力。他のスキルと組み合わせることによって使用でき、絶対的な力を持つスキルへと変える。

《黄金の力》~剣術Lv.2
……《黄金の力》によって、底上げされた剣術Lv.2のスキル。黄金の剣を用いた、剣術を使用する事が出来る。このスキルによって斬られたモノは、しばらくの間再生できないほどの強大な力を持つ剣術である。
【使用制限】10分間、以降2つの元のスキルに戻ります
=====

 ――――《黄金の力》。
 黄色の力を、俺のステータスに使った事によって変質したこの力は、他のスキルを強大なものへと変質するスキル。1つでは役に立たないが、このスキルを用いる事で絶対無比なスキルにする。
 俺の剣術Lv.2も、ただの護身術程度のスキルで、この破壊力。
 視線の先には、たった一薙ぎで斬られた樹木の残骸達。樹齢何百年ともされるような巨大で、硬い木々が枯れ木のように倒れている所から見てもその力は、明らかだ。

 今もどうにかして、復活しようとするメシアだが、俺の切断面から先はいっこうに復活しようとしない。
 では他の方向はどうかと見ると、そいつらも復活の兆しは見えなかった。

(凄いな、このスキル……。
 組み合わせ次第によっては、もしかして魔王なんかも……)

 いや、これ以上は止めて置こう。
 別に強くなりたい訳ではないし、最強を目指している訳でもない。

「さて、後はこいつをどうやってジョルグジョルグさまの元へ持って行くかだなぁ……」

 再生能力を封じているとは言え、雲のような身体のメシア・キリサキ。
 運ぶのも、どこを持つかも分からない。

 せめて、ササが糸で包んでくれれば楽なんだが……。


「「ははっ! 俺は勝つ!
 今は負けても、俺は必ず勝利する! 正義は、勝利は、最後に俺の元で微笑んで――――」」


 そうやって叫ぶメシアの口元を、身体全体を赤い糸が包み込む。
 ふがふがっ、と叫んでいたメシアは、そのまま苦しそうに身体全体をばたつかせていたが、やがて動かなくなり、そして――――


「はいっ、一丁あがり! でございます」


 そう言って現れたのはササ……ではない、だけれどもササと同じ赤い糸を用いるアラクネ……人の上半身を持つ上級の蜘蛛魔物である。
 兎を思わせる顔の蜘蛛の身体の上には、立っているだけでも揺れ動く大きすぎる胸、汚れも知らない見ているだけで柔らかそうな質感の肌。
 腰はスラッとしており、顔は見惚れてしまうほどの美人。ただし頭には兎耳。
 手は5本の指が、蜘蛛の脚のように鋭く尖っており、指の1本1本に赤い糸が絡まっていた。

 指を器用に動かして、赤い糸を動かすと、メシアの身体を覆っていた赤い糸が巻き取られ、最後にはチョキンッと切れて風に流れて、消えていく。

「あっ! ご主人様!
 ササ、只今戻りましたよ!」


『『いやいやいやっ!』』

 ニコリと笑う自称ササに対して、俺とソラハは全力で否定の意思を見せるのであった。
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