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ダークエルフと、お願い事。
しおりを挟む「初めましてっ、魔王さま!
あなた様にお頼み申し上げたい事がございましてっ!」
いきなり現れた5人のダークエルフ達。
お願い事をされたのだが、このダークエルフ達からは厄介事の香りしか感じない。
褐色肌、とは言うけれども、こいつらの肌は褐色よりかは黒色……洞窟の闇に気付かないうちに紛れてしまうくらい、肌の色が濃い。
もうどうして、そこまで黒いんだよってくらい、黒い。
一応はエルフというだけあって、目鼻立ちは良い。けれども、洞窟の闇と同化してしまうほどの肌の黒さのため、どこまでが顔で、どこからが普通の闇なのかが全く分からない。
瞳の色が全員緑色だからか、どのあたりに顔があるのかと言うある程度の心当たりは着くのだが、宙に緑色の瞳が5対、10個浮かんでいる……そう考えると、とても不気味である。
(こんな見た目だから、潜入に適している暗殺者の種族として、忌み嫌われるんだろうがな……。
いや、本当に止めて欲しい。普通に恐怖映像だから)
《――――受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ》
……ごめんなさい、どうやらこちらも止めて欲しかった。
うーん、どうしよう。
どうやったらいいんだろう、進むも地獄。そのままも地獄なんだけど。
「とりあえず、話をきちんと聞かせてください。
……と言うか、なんで俺が魔王だなんて思うんだよ?」
魔王じゃないんだけど、(仮)付きなんだけど。
【話をきちんと聞かせてください】、とりあえずその言葉を大義名分として《悪魔の声》を聞こえなくなった。勿論、この話をちゃんと聞き終った後には、再度物凄い勢いにて《悪魔の声》が鳴りやまなくなるんだけれども、時間が稼げて良かった。
「はっ、はいっ! だってあんな凄い2人を仕えてるだなんて、どう考えても魔王としか思えないからです!」
どうやら彼女達は、ソラハとササを見てそう考えたみたい。
なにをしたのかと思っていると、ソラハとササがとんでもない事をしたみたいである。ソラハは魔法で、ササは赤い糸でという違いはあるが、ソラハとササの2人はここいらの魔物を掌握しているらしい。
掌握と言うのはここいらの魔物を倒す、のではなくて、配下として活かしているらしい。
鱗や爪などが素材として役立つ魔物に対しては一定周期でそれを献上するように、そう言うのがない魔物に関しては一定の素材収拾(薬草とか、不思議なキノコとか)を集めるようにしているらしい。
その魔物を従えている様が凄まじく、まるで魔王のようだった。
そんな者達が仕えているからこそ、魔王だと確信したらしい。後、確かに敵を従えているのは恐ろしいが、殺している訳ではないので自分達がすぐに殺される訳ではない、対話が出来ると判断したらしい。
……いやぁ、別にそんな事ないけどね!
2人居した命令は素材回収だったんだけど、そんなヤクザ的な感じでシノギ……いや、素材を集めているとは思いもしなかった。
いや、別に攻めてる訳ではないよ! 素材を無駄にしないという精神は尊敬すべきだと思うし。
「――――なるほど、つまりはこう言う事か。
自分達よりも遥かに強い存在、その上である程度会話が通じるからこそ、こうして恥を忍んで頼みに来た、と」
「わっ、我々は別にあなた方を軽んじてる訳ではございませんし、恥じるとも思っていません!」
どうかなぁ……エルフと言うのは存外プライドが高いんじゃないかなぁと思ってるし。主にジョルグジョルグさまという、人をこき使うのに対してためらいもなくやって来る御方の存在が居るから。
「なるほど、俺の事を魔王だと言った理由は分かった。
次は、お前達を追っている敵について教えてくれ」
「はいっ! ではこの私、リドが僭越ながら説明させていただきます!」
そう言って説明を買って出たのは、先程から喋っているダークエルフ……5人の中で一番汚れが酷そうで、その代わりに一番戦い慣れしてる感があるダークエルフである。
ちなみにダークエルフ達の構成は、先程から喋っているリドと名乗っているダークエルフ。その横に居る身成りが綺麗そうなダークエルフ(肌の色が一番薄いが、それでもまだ黒い)。2人に少し離れるような形で構えている、3人のダークエルフ達。左から槍、剣、弓を持っているが、正直武器以外で判別出来ない。
と言うより、やっぱり肌が黒すぎるんだよな。瞳しか見えないから非常に怖い。
「私達はお嬢様、この高貴な顔立ちのラウ様に仕えております」
高貴な顔立ち、と一番薄い肌色のダークエルフを紹介してくださるリド。
……高貴な顔立ちも、見えなければなにも意味はないんだけど。
「私達は森の奥深くにて、ダークエルフの皆と共に平和に暮らしておりました。
我々の近くには、【天下り】の魔王モロソン様の支配地域であったために、他の魔物も迂闊には手を出せないので……そこまで危険ではなかったのですね」
【天下り】の魔王モロソン。彼は悪魔の魔王であって、その能力は【進化の瞳】。
魔物がどのくらいの強さにて進化して、さらにどう言った素材を用いればどう言った魔物になるのか……魔物の進化の系譜を見る事が出来ると言う、特別な魔王だったらしい。彼はその力と、魔物を強制的に退化させるという力を用いて、自分に都合が良い魔物を作っていったらしい。
……なにその便利な能力、魔物がどう進化するのが分かるとか超有能じゃない。
超有能すぎる【進化の瞳】を持つ彼は、自らに敵対しないことを条件として、ダークエルフ達の村も支配領域にして、彼らが他の魔物に襲われないようにしていたらしい。
そうして過ごして行って、長いとこ平和に暮らしていたらしいんだけど――――
「つい先日、【ネットショッピング】の勇者であるハクリ・ミカミという魔物が、モロソン様を倒してしまったのです。なにやら、《だいなまいと》なる強力な爆発の魔道具だったみたいで」
門には、強固な身体になるように進化させといた壁役のメタルスライム。
中に入るとクイーンとかキングとか、そんな名前が着く魔物達がごろごろと存在するダンジョン。
――――そんなダンジョンに一歩も入る事はなく、《だいなまいと》という魔力によって作られた魔導具にてダンジョンごと爆発。
「【進化の瞳】はその際、ハクリとかいう勇者に奪われてしまい――――数日後、"怪物達"が我々の村を襲ったのです」
リドの言葉に、がたがたぶるぶると震え出すダークエルフ達。
余程怖かったのだろうなぁ、「《れいぞーこ》のゴブリンがぁ……」「《こんろ》のゴーストがぁ……」「《ぴーらー》のアンデッドがぁ……」とか言ってるけど、意味分からないし。
その辺はスルーしておくことにしよう。
「命からがら、ラウ様と共に、あなた方の存在を思い出してここまでやって来ました!
どうか、我々をお救いくださいませ!」
「ませ……」
「「「お救いくださいませっ!」」」
必死な表情で頭を下げる4人、そしてそれに続くラウ様とやらの軽い感じのお辞儀。
《――――受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ受けろ》
……うーん。
まぁ、この声がある以上、受けるしかないんだけどね。結局。
止める方法とかないし、本当にただただうるさくて、安眠妨害、スローライフ妨害だから。
それにこのダークエルフ達の言葉が事実ならばダークエルフ達にうちの住処の事がバレているのは明白。
【ネットショッピング】の勇者とやらもダークエルフ達から聞き出してこちらに来るのかも知れない。
「迎え撃つしかないか……」
「でっ、ではっ!?」
「うん、受け入れるよ」
その言葉と共に物凄い勢いで嬉しがる、ダークエルフ達。
良かったねぇ、さてと言う訳で――――
「とりあえず、黒すぎて顔がどこにあるか分からないから、色でなんとかさせてください」
この闇に浮かぶ不気味な瞳という状況から何とかしようと思う。
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