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第441話 【衝撃】金属性魔法は難しい?【解説配信】
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『金属性とは、物質そのものに干渉する魔法属性です』
イプシロンちゃんから回収したルターに、金属性の魔法について聞いてみた所、そういう答えが返って来た。
『金属性を主として扱う者は、こちらの世界でもあまり多くありません。なぜならば、金属性は他の四属性と使い方が全く違うからです』
「どう違うんです?」
『創造主様に、簡単に説明しましょう。ずばり、"無から有"を扱うのが四属性、"有から有"を扱うのが金属性です』
ルター曰く、四属性などの普通の魔法は、魔力を操作して別の物体にして、魔法として操る。例えば火属性ならば火炎を生み出して操り、風属性ならば風を生み出して操るなど、魔力を別の物質に変化させてから操る。
それに対して金属性は、この世に存在している物質に対して効果を発揮して、形を変えたり、生き物のように生命を与えたりという属性なのだそうだ。
『魔法に慣れている人間ほど、金属性の扱いは難しいとされています。身体が、魔力を使って別の物質を作ろうとしている癖がついているので、難しいです』
「なるほど。確かにそれだと、金属性の魔法は非常に難しいな」
言うなれば、今まで出来ていた習慣を辞めろというモノだ。もう魔法に関しては、私は目を閉じても発動しちゃうくらい身体に馴染んでしまっているし、そんな中で今さら、「この金属性の魔法だけは、いつもと別の方法で魔法を使ってね」と言われても、身体に癖みたいに残ってしまっているし、難しいだろう。
こりゃあ、私がその癖をなんとかするという事よりも、それ専用の魔道具を作った方が早いかもしれない。
私はそう思って、ルターから金属性の魔法の使い方をもっと詳しく聞こうとすると。
「大変です、お母さん!」
いきなり、タラッサが大慌てで入って来た。
タラッサは、私が錬金術100本ノックで生み出してしまったゴーレムであり、今は教会で働いているはずだが、どうしたというのだろう。
「タラッサ、どうかしたの? 教会で働くのが嫌になったとか?」
教会に推薦したのは私ではなくて、自分から教会で働きたいと言っていたから、それならそれで良いかなーと思っていたのだが、働いているうちに心境の変化でもあったのだろうか?
「そうじゃないです! これ、これを見てください!」
「どれどれ……」
タラッサが私に出して来たのは、小さな宝石である。宝石には黒い模様がいくつも刻み込まれており、真ん中には赤いバツ印が刻まれていた。
私はこの球体を見て、即座にこれが何なのかが分かった。これは地球儀、平面ではなく球体に表した地図だ。まぁ、この大陸は明らか地球ではないから、"地球儀"という名前は相応しくないだろうけど。
「これは……なにかの地図?」
「流石は、お母さん! お母さんであり、娘でもある私が持って来た者がなんなのか、即座に分かるだなんて!」
「だから、そのややこしい関係を何度も口にしないでくれない?」
なんだよ、お母さんであり、娘でもあるって。
一応、誰に対してもお母さんでありたいという性質であり、そんな彼女を生み出したから私にとっては娘でもあるという説明には納得している。しているんだけれども、それでもそのややこしすぎる関係を何度も口に出されたくはないというか。
「ここ! この赤いバツ印の所! なんて書いてあるか、読めますか?」
「えっと……すまない、読めない」
「お母さん?! この文字、読めないんですか?! 小さかったかな……」
決して字が小さくて読めなかった訳じゃなくて、書いてある字がいま使われているどの文字とも合致しないのだ。恐らくなんだけど古代に使われている文字なんだろうと思うのだけど、そんな古代文字を初見でサラッと読み上げるなんて無理でしょ。私、錬金術師であって、古代文明を探る考古学者であっても難しいでしょ。
「良いですか、お母さん? この赤いバツ印の所には、バンブリアと書かれているんです」
「ばんぶ――なにその場所?」
「ここは、別名バンブーエルフの里と呼ばれている場所で、全てのバンブーエルフはこの村を故郷としている隠れ里なんです」
バンブーエルフの隠れ里……?
そういえば、以前魔王ユギーの五本槍の1人である快感のブラッドと、契約して力を得たピエームちゃんが、バンブーエルフと聞いた覚えがある。
彼女は結局、力を使いすぎたかなんかで眠ったまま動けなくなった。なんとか目覚めさせることには成功したのだけれども、彼女に関する記憶や記録は、快感のブラッドの能力によって、全て消え去ってしまっていた。
しかしながら、全てのバンブーエルフの故郷というのならば、
「ピエームちゃんの故郷でもある?」
「えぇ。もしかすると、快感のブラッドの能力が及んでない、あるいは記憶を呼び起こすきっかけがなにかあるのかもしれませんよ!」
確かに、この世界には極地なるヘンテコ地域があるくらいだ。悪魔の能力を寄せ付けない神秘的な地域があっても、なんらおかしくはない。
とりあえず、ピエームちゃんに相談しようと、私はタラッサと共にシュンカトウ共和国の道場へと足を運ぶのであった。
イプシロンちゃんから回収したルターに、金属性の魔法について聞いてみた所、そういう答えが返って来た。
『金属性を主として扱う者は、こちらの世界でもあまり多くありません。なぜならば、金属性は他の四属性と使い方が全く違うからです』
「どう違うんです?」
『創造主様に、簡単に説明しましょう。ずばり、"無から有"を扱うのが四属性、"有から有"を扱うのが金属性です』
ルター曰く、四属性などの普通の魔法は、魔力を操作して別の物体にして、魔法として操る。例えば火属性ならば火炎を生み出して操り、風属性ならば風を生み出して操るなど、魔力を別の物質に変化させてから操る。
それに対して金属性は、この世に存在している物質に対して効果を発揮して、形を変えたり、生き物のように生命を与えたりという属性なのだそうだ。
『魔法に慣れている人間ほど、金属性の扱いは難しいとされています。身体が、魔力を使って別の物質を作ろうとしている癖がついているので、難しいです』
「なるほど。確かにそれだと、金属性の魔法は非常に難しいな」
言うなれば、今まで出来ていた習慣を辞めろというモノだ。もう魔法に関しては、私は目を閉じても発動しちゃうくらい身体に馴染んでしまっているし、そんな中で今さら、「この金属性の魔法だけは、いつもと別の方法で魔法を使ってね」と言われても、身体に癖みたいに残ってしまっているし、難しいだろう。
こりゃあ、私がその癖をなんとかするという事よりも、それ専用の魔道具を作った方が早いかもしれない。
私はそう思って、ルターから金属性の魔法の使い方をもっと詳しく聞こうとすると。
「大変です、お母さん!」
いきなり、タラッサが大慌てで入って来た。
タラッサは、私が錬金術100本ノックで生み出してしまったゴーレムであり、今は教会で働いているはずだが、どうしたというのだろう。
「タラッサ、どうかしたの? 教会で働くのが嫌になったとか?」
教会に推薦したのは私ではなくて、自分から教会で働きたいと言っていたから、それならそれで良いかなーと思っていたのだが、働いているうちに心境の変化でもあったのだろうか?
「そうじゃないです! これ、これを見てください!」
「どれどれ……」
タラッサが私に出して来たのは、小さな宝石である。宝石には黒い模様がいくつも刻み込まれており、真ん中には赤いバツ印が刻まれていた。
私はこの球体を見て、即座にこれが何なのかが分かった。これは地球儀、平面ではなく球体に表した地図だ。まぁ、この大陸は明らか地球ではないから、"地球儀"という名前は相応しくないだろうけど。
「これは……なにかの地図?」
「流石は、お母さん! お母さんであり、娘でもある私が持って来た者がなんなのか、即座に分かるだなんて!」
「だから、そのややこしい関係を何度も口にしないでくれない?」
なんだよ、お母さんであり、娘でもあるって。
一応、誰に対してもお母さんでありたいという性質であり、そんな彼女を生み出したから私にとっては娘でもあるという説明には納得している。しているんだけれども、それでもそのややこしすぎる関係を何度も口に出されたくはないというか。
「ここ! この赤いバツ印の所! なんて書いてあるか、読めますか?」
「えっと……すまない、読めない」
「お母さん?! この文字、読めないんですか?! 小さかったかな……」
決して字が小さくて読めなかった訳じゃなくて、書いてある字がいま使われているどの文字とも合致しないのだ。恐らくなんだけど古代に使われている文字なんだろうと思うのだけど、そんな古代文字を初見でサラッと読み上げるなんて無理でしょ。私、錬金術師であって、古代文明を探る考古学者であっても難しいでしょ。
「良いですか、お母さん? この赤いバツ印の所には、バンブリアと書かれているんです」
「ばんぶ――なにその場所?」
「ここは、別名バンブーエルフの里と呼ばれている場所で、全てのバンブーエルフはこの村を故郷としている隠れ里なんです」
バンブーエルフの隠れ里……?
そういえば、以前魔王ユギーの五本槍の1人である快感のブラッドと、契約して力を得たピエームちゃんが、バンブーエルフと聞いた覚えがある。
彼女は結局、力を使いすぎたかなんかで眠ったまま動けなくなった。なんとか目覚めさせることには成功したのだけれども、彼女に関する記憶や記録は、快感のブラッドの能力によって、全て消え去ってしまっていた。
しかしながら、全てのバンブーエルフの故郷というのならば、
「ピエームちゃんの故郷でもある?」
「えぇ。もしかすると、快感のブラッドの能力が及んでない、あるいは記憶を呼び起こすきっかけがなにかあるのかもしれませんよ!」
確かに、この世界には極地なるヘンテコ地域があるくらいだ。悪魔の能力を寄せ付けない神秘的な地域があっても、なんらおかしくはない。
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