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第445話 左の死地か? 右の死地か? どちらにしようか配信
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「――確認したい事があります」
バンブーエルフの隠れ里であるバンブリアへと向かう最中の私達9人。バンブリアの場所が記載されている宝石を、この中で一番道案内に慣れているであろうゼータちゃんに任せて、私達はその場所へと向かっていたのであった。
2日ばかり、魔物型ゴーレムに騎乗して進んで来たのだが――
そんな中、道案内をしていたゼータちゃんが、1つの提案をしてくるのであった。
「「「「確認したい事?」」」」
「はい、ご主人様達。皆に確認したいのですが、バンブリアに行くという事でよろしいのですよね?」
と、ゼータちゃんはそう言って、指を2本立てる。
「はい、指を2本立てているのは、私がこれから提案するのが2つの道だからです」
ゼータちゃんはそう言って、左右それぞれの方向を指差していた。
「左側の道は、長ったらしくても確実にバンブリアに辿り着ける道。しかしながら、その道に行く際に、超危険なヒドラが居ます。ご主人様でも完全無毒化ができないであろう、超絶強力な猛毒を持っていますので、私はともかくとして、他の皆様ではほぼ死滅する可能性が高いです。
一方で、右側の道は、短くてかなり危険ながらバンブリアに辿り着く道。大量の猛獣型魔物が居るのみならず、最強の古代兵器とやらがうろついている可能性があります。古代兵器にぶつかれば私達は散り散りに、そして大量の猛獣型魔物でやられてしまう可能性がある訳です」
左の道は、長くても平和な道。右の道は、危険だけれども近い道。
そういう提案なら聞いた事はあるが、まさかどちらとも『最終的には、どちらも危険な道』なんて2択を聞く羽目になるとは……。
「そして、残念ながらバンブリアに行くには、この2つの道のどちらかを通る必要があります。宝石を貰った後に、何度か予測をしてみたのですが、この2つの道のどちらかを通らなければ、バンブリアには絶対には辿り着けないという魔術が組み込まれていました」
「すみません。どういう魔術ですか、それは?」
シュンカトウ騎士団四天王第二の槍、神官のダラがそう問いかけると、ゼータちゃんは「道を通る事が鍵となっている」と答えた。
「特定のルートを通らなければ、絶対に辿り着けない。そういう魔術です。例えば空から直接、この宝石に書かれている地点に飛んで向かっても、お目当ての場所の座標には辿り着けますが、お目当てのバンブリアにはいけない。そういう魔術が施されている、そう分析しました」
なるほど。つまりは、陸路にて、その2つの道のうちのどちらかを通って行かなければ、バンブリアには辿り着けないという事か。隠れ里として、そういう対処方法を施していると。
「それで、皆様?」
ゼータちゃんはそう言って。
「どちらの死地を目指しますか?」
究極の二択を提示するのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「皆様、猛獣です。対処、よろしくお願いします」
「「「「了解!」」」」
ゼータちゃんが、魔獣の発見を伝えると、全員が魔獣に向かって攻撃を開始する。
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
シュンカトウ騎士団四天王、サビキとトカリの2人。7人の手によって、強力な魔獣とやらは、そこら辺の雑魚魔物と同じくらいの扱いで、一瞬でやられてしまうのであった。
「ご主人様。いまので21回目の襲撃です」
「あー、そんなになるか」
はい、右側の猛獣大集合ルートを選んだ錬金術師のススリアです。
先程、ゼータちゃんが言った通り、猛獣が大量に襲い掛かって来た。猛獣たちの強さは、確かに強かったのだが、それを言うなら私達だってかなりの強さだ。ゼータちゃんの索敵能力も相まって、こちらから先制攻撃出来るという強みから、今では秒殺で猛獣たちを倒している。
「はい、そして襲撃が多すぎるせいで次の目的地までなかなか進めません」
「そりゃあ厄介な事だ」
ゼータちゃんが言うには、私達がバンブリアに行くまでに通らなければならないチェックポイントはこの1カ所だけではなく、まだまだあるらしく、こんな所で猛獣たちに足止めを食っている訳にはいかないという事だ。
「どうしましょうか? やはり、ヒドラにさえ気を付けておけば大丈夫な、もう一方の道に行く方が、結果としては速いのかもしれません」
「そういう考えもあるかもねぇ~。ただ、今さら戻るという選択は私はともかくとして、他の皆にはないと思うよ」
シュンカトウ騎士団四天王の面々は、ピエームちゃんをバンブリアに連れて行く事に、全力で取り組んでいる。サビキとトカリの2人は、まだ戦闘が物足りないらしく、逆にもっと戦いたくてうずうずしている様子だ。
こんな状況で、今さら別の道に戻ろうという選択肢はないだろう。かくいう私も、これから戻るというのは流石に……。
なので、私は考えた。
猛獣がめちゃくちゃ襲い掛かって来るのなら、襲われないようにすれば良い。
そう、ゼータちゃんが言っていた『古代兵器』とやらを捕まえる。そうすれば、圧倒的な強さを持っているとみなされて、猛獣たちは襲い掛からなくなっていくに違いない。
私はそう考えて、ゼータちゃんと2人で、その古代兵器とやらを探す事にしたのであった。
バンブーエルフの隠れ里であるバンブリアへと向かう最中の私達9人。バンブリアの場所が記載されている宝石を、この中で一番道案内に慣れているであろうゼータちゃんに任せて、私達はその場所へと向かっていたのであった。
2日ばかり、魔物型ゴーレムに騎乗して進んで来たのだが――
そんな中、道案内をしていたゼータちゃんが、1つの提案をしてくるのであった。
「「「「確認したい事?」」」」
「はい、ご主人様達。皆に確認したいのですが、バンブリアに行くという事でよろしいのですよね?」
と、ゼータちゃんはそう言って、指を2本立てる。
「はい、指を2本立てているのは、私がこれから提案するのが2つの道だからです」
ゼータちゃんはそう言って、左右それぞれの方向を指差していた。
「左側の道は、長ったらしくても確実にバンブリアに辿り着ける道。しかしながら、その道に行く際に、超危険なヒドラが居ます。ご主人様でも完全無毒化ができないであろう、超絶強力な猛毒を持っていますので、私はともかくとして、他の皆様ではほぼ死滅する可能性が高いです。
一方で、右側の道は、短くてかなり危険ながらバンブリアに辿り着く道。大量の猛獣型魔物が居るのみならず、最強の古代兵器とやらがうろついている可能性があります。古代兵器にぶつかれば私達は散り散りに、そして大量の猛獣型魔物でやられてしまう可能性がある訳です」
左の道は、長くても平和な道。右の道は、危険だけれども近い道。
そういう提案なら聞いた事はあるが、まさかどちらとも『最終的には、どちらも危険な道』なんて2択を聞く羽目になるとは……。
「そして、残念ながらバンブリアに行くには、この2つの道のどちらかを通る必要があります。宝石を貰った後に、何度か予測をしてみたのですが、この2つの道のどちらかを通らなければ、バンブリアには絶対には辿り着けないという魔術が組み込まれていました」
「すみません。どういう魔術ですか、それは?」
シュンカトウ騎士団四天王第二の槍、神官のダラがそう問いかけると、ゼータちゃんは「道を通る事が鍵となっている」と答えた。
「特定のルートを通らなければ、絶対に辿り着けない。そういう魔術です。例えば空から直接、この宝石に書かれている地点に飛んで向かっても、お目当ての場所の座標には辿り着けますが、お目当てのバンブリアにはいけない。そういう魔術が施されている、そう分析しました」
なるほど。つまりは、陸路にて、その2つの道のうちのどちらかを通って行かなければ、バンブリアには辿り着けないという事か。隠れ里として、そういう対処方法を施していると。
「それで、皆様?」
ゼータちゃんはそう言って。
「どちらの死地を目指しますか?」
究極の二択を提示するのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「皆様、猛獣です。対処、よろしくお願いします」
「「「「了解!」」」」
ゼータちゃんが、魔獣の発見を伝えると、全員が魔獣に向かって攻撃を開始する。
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
シュンカトウ騎士団四天王、サビキとトカリの2人。7人の手によって、強力な魔獣とやらは、そこら辺の雑魚魔物と同じくらいの扱いで、一瞬でやられてしまうのであった。
「ご主人様。いまので21回目の襲撃です」
「あー、そんなになるか」
はい、右側の猛獣大集合ルートを選んだ錬金術師のススリアです。
先程、ゼータちゃんが言った通り、猛獣が大量に襲い掛かって来た。猛獣たちの強さは、確かに強かったのだが、それを言うなら私達だってかなりの強さだ。ゼータちゃんの索敵能力も相まって、こちらから先制攻撃出来るという強みから、今では秒殺で猛獣たちを倒している。
「はい、そして襲撃が多すぎるせいで次の目的地までなかなか進めません」
「そりゃあ厄介な事だ」
ゼータちゃんが言うには、私達がバンブリアに行くまでに通らなければならないチェックポイントはこの1カ所だけではなく、まだまだあるらしく、こんな所で猛獣たちに足止めを食っている訳にはいかないという事だ。
「どうしましょうか? やはり、ヒドラにさえ気を付けておけば大丈夫な、もう一方の道に行く方が、結果としては速いのかもしれません」
「そういう考えもあるかもねぇ~。ただ、今さら戻るという選択は私はともかくとして、他の皆にはないと思うよ」
シュンカトウ騎士団四天王の面々は、ピエームちゃんをバンブリアに連れて行く事に、全力で取り組んでいる。サビキとトカリの2人は、まだ戦闘が物足りないらしく、逆にもっと戦いたくてうずうずしている様子だ。
こんな状況で、今さら別の道に戻ろうという選択肢はないだろう。かくいう私も、これから戻るというのは流石に……。
なので、私は考えた。
猛獣がめちゃくちゃ襲い掛かって来るのなら、襲われないようにすれば良い。
そう、ゼータちゃんが言っていた『古代兵器』とやらを捕まえる。そうすれば、圧倒的な強さを持っているとみなされて、猛獣たちは襲い掛からなくなっていくに違いない。
私はそう考えて、ゼータちゃんと2人で、その古代兵器とやらを探す事にしたのであった。
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