配信スローライフをしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです

摂政

文字の大きさ
8 / 458

第8話 メイド服文化は私が切り開くよ配信

しおりを挟む
 この世界、シアースは一度滅びた世界である。


 数百年前、この世界には前世の地球とほぼ同等くらいの、娯楽文化が存在していた。
 超古代技術オーバーテクノロジーとなっている配信技術も、その時代の産物を流用している。
 
 しかし、そんなシアースを滅ぼす魔王がいた。
 魔王の名は【ユギー】。娯楽と堕落を権能として司る魔王であり、人々を自らと同じ堕落の底に落とし、結果的にその世界の半分以上を自らの眷属、支配領域と化した恐ろしい魔王である。
 そんなユギーを倒すため、その当時の人達はユギーが関心を寄せる娯楽文化を一カ所に纏め、ユギーをとある場所へと誘導した後に爆破。
 目の前で娯楽が木っ端みじんに消し飛ぶのを見て呆然とするユギーを、見事、封印する事に成功したのだ。

 その際、当時あった娯楽はユギーを誘い込むため全て使い、なおかつユギーの恐怖からかおよそ100年くらいは娯楽という文化は禁忌扱いされてきた。
 いまもなお、その当時から生きているかもしれない長命種たるエルフ達の中からは、ユギーを恐れ、配信文化に警鐘を鳴らす者も少なくない。


 そう、この世界の娯楽は、一度全て、魔王を倒すために爆破された。
 当然ながら爆破なので、服系統----つまり、前世で言う所の服飾などの文化は、全て失われたと言って良い。

「(なので、これからするメイド服は、この世界にはない新たな文化である!)」

 この世界には奴隷制という制度が存在する。
 だがしかし、それはあくまでも娯楽とはまったく関係ない、魔物と戦うための戦闘用バトルタイプ、もしくは家事などを任せる家庭用メイドタイプの二種類しかなく、家庭用の奴隷メイドが着ている服装も最低限奉仕するための、ぼろ衣に過ぎない。

 私が今から作るメイド服は、前世の日本、秋葉原で良く見られた、人々を興奮させるためだけの代物。
 そう、ただの趣味の産物----美しく見せるためだけの服である!

「という訳で、メイド服を作っていきますよ~!」

(※)『おい、そもそも説明しろ』『ベータちゃんにあんなぼろ衣を着せる気か!!』『いや、この気迫、私にはわかる。コイツ、なにか面白いモノを作る気だな』『分かるのか、←の人?!』

 まぁ、そういう反応になるのも分かってるので、サクサク作っていきますね~。

 まず、ベータちゃんを作成した時に作った設計図から、服の型紙を作成。
 その後、フリルの部分に印、あぁ、あとベータちゃんのトレードマークたる巨乳を見せつけるための乳袋とかも書き込んで----

(※)『なんか書き込んでるぞ、あるけみぃ』『書き込みだけでは分からんww』『本職であるはずの俺も、わかりませーん』『いや、アレはもしや……』『知ってるのか、本職の人?!』『ぼろ衣ではないようで、なにより』

「最後に服の元となる黒と白の布、あとは縫い合わせる糸を用意して、あとは錬成っ----!!」

 私が錬成術を発動すると、布が勝手に先程指示しておいた場所に切り分けられていき、布を縫い合わせるように糸が通っていく。
 ものの数十秒で、はい、出来上がりっ!!

「完成しました! これがご主人様を満足させる見た目を持った衣装、その名もメイド服です!」

 じゃじゃ~んっ、てね!
 私が見せたゴシックを意識した黒白の、オーソドックスなメイド服に、視聴者リスナーの反応も上々なようである。

「流石、マスター! 素晴らしいデザインです!」

(※)『ベータちゃん、嬉しそう』『てかこれ、本当にメイド服?! うちのメイドがこんなの着てたらヤバいぞ!』『あぁ、金が取れるな』『閃いた! メイド服を着せた者達で接客! メイドレストラン! これは流行るぞ!』『その服を作れる者が居たらな』『実はこれ、俺が最初ww こいつ、二番煎じww』

「そうだね、実はこの配信の前に、メイド服の特許申請を行っているため、作成には私の許可が必須となりまーす!」

 一応、王国では前世と同じく特許という制度があって、錬金術などで出来た物を申請して、それが通れば私の許可なく似たような物を作れなくなるんだよ。
 普段は特許申請とかあちらさんもお役所仕事だから面倒だから取らないんだけど、この間の商人さんが「初めての商品を配信で見せる場合、予め特許申請を行っておけば二番煎じという意見を否定できます」とアドバイスを受けて、今回は1週間ほど前に申請を行って受理した後に配信しています。

「(メイド服が増えるのは良いし、なによりそのメイド服で私好みに出来るのっては大きいよね!)」

 なにせ、この世界、美男美女揃いだもの!
 メイド服と一言でいっても千差万別……和風な袴姿のメイド服もあれば、騎士の鎧を前につけた変わり種のアーマー付きのメイド服などもある。
 チャイナ風も良いし、前世のバーガーショップなどを思わせるダイナー風もアリだよね。
 
 そう、この世界のメイド服文化は私が掌握する!

 可愛い服が増え、それを着る人を見られる。
 あぁ、これは新しい趣味が増えちゃいましたね!

「では、今回の配信はここまで!
 次回はなんと、このメイド服を着たベータちゃんをお見せするので、お楽しみに―――」

 まぁ、次回の期待を高める予告をして、今日の配信は終わりにしようかな?
 はい、それじゃあお疲れ----と、私が配信を止めるボタンに手をかけた、その時である。


「頼もーう! あるけみぃ様、私を弟子にしてくださーい!!」


「えっ?」

 ----ポチッ!

「あっ、配信切っちゃった!!」

 ボタンに手をかけた時に話しかけられた私は、そのままの勢いでボタンを押してしまっていた。
 うーむ、メイド服への期待で終わらせたかったのに……。

「あなた、誰? エルフさん?」
「はいっ! ……とっ、とりあえず、助け----」

 あっ、ベータちゃん!
 物凄い怪しい人だけど、ステイ! ステイ!
 首絞めて殺そうとしないでね、ねっ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...