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第127話 ベータちゃん、怒りの百合営業配信
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「マスターに連絡致します。そろそろ一緒に、配信を致しませんか?」
家に帰るなり、ベータちゃんからそのような提案を受けた。
うんっ、確かに最近、配信活動をした覚えがないなぁ……。
「マスターは最近、私を構わなさすぎです。めちゃくちゃ構って欲しいです。
『錬金術師大会』、ドラゴンの卵を使ったゴーレム、デルタちゃんのバージョンアップ、そして王都の事件対処----マスターはこのイスウッドにて、静かに暮らしたいんじゃなかったんでしょうか?」
「えっと……はい。その通りです」
けれども、仕方ないじゃない!
せっかく、時間に余裕があるんだから、その余裕ある時間の最中に色々とやりたい事をしたいというのは、何もおかしなことではないと思う。
『錬金術大会』も、ドラゴンの卵を利用した新型ゴーレムの開発も、デルタちゃんのパワーアップも、王都の泥棒退治も、ぜーんぶやりたかったんだから仕方がないじゃないですか。
……いや、正直、王都の怪盗めしどろぼうは、巻き込まれたくはなかったけど。
「構えって、一緒に配信をしろとか、そういう事か?」
「いえ、マスターには私と共に、配信----それも百合営業の事前告知ありの配信をしていただきます」
「百合営業の事前告知ありって、マジで?」
私がそう聞くと、「当然じゃないですか」とベータちゃんは応える。
確かに私の配信がバズった、有名になったのはあのベータちゃんとの百合営業配信からだとは思う。
しかしあれは、あくまでもベータちゃんの対応力が良かっただけで、元々はそういう目的で配信をしていた訳ではない。
しかし、今度ベータちゃんと一緒にやる配信は、前提として百合営業することが決まっている配信だ。
初めから、2人で百合百合しい姿を見せようとか、なかなかに強気な企画である。
「告知は、既にガンマちゃんと済ませております。配信内容も、私が既に決めておりますので、マスターは出てくださるだけでオーケーです」
「それは楽で良いなぁ~」
口はそういうが、実際にはそんな事は思ってない。
既にどういう事をするかという企画は決まっているという事は、相当、問題がある出たくはない企画だったとしても、断れないという事じゃないか。
「(でもまぁ、ベータちゃんと一緒の規格って事は、そんな変な企画をする感じにはならないはずだ)」
うちは、完全なる分業制。ゴーレムは住み分け体制だ。
デルタちゃんからのお誘いなら戦闘関連、ガンマちゃんからのお誘いなら映像関連と、ある程度の予想が立てられる。
ベータちゃんの担当は、家事手伝い。
最近は調理動画なども好調みたいだし、一緒に調理して出来た料理を食べさせるといった感じの、ハートウォーミングな企画に違いない。
それだったら、恥ずかしくないし、ぜんぜんいけそうだ。
「それで、その企画って何をするんだ?」
「はい、"コスプレ"です」
----はい? いま、なんて?
「ですから、コスプレ----コスチューム・プレイの略称です。
マスターと私で合わせ、つまりはある作品の、いつもいる2人組の衣装を着て、映像内で撮られまくります。ちなみに、作品の選定はガンマちゃんが行いました」
「ガンマちゃんが……」
「はい、古の時代の合わせコスプレ動画がありましたので、そちらで」
いっ、いやだああああああ!
嫌だよ、絶対嫌だって!
「マスター、以前に"メイド服"を広める配信をしていたじゃないですか。アレと一緒です」
アレはアレ! ソレはソレなんだって!
メイド服はベータちゃんのお気に入り衣装の1つで、良く着ているのは知っているよ。
だけど、アレはあくまでも私が『着て欲しい服』を広めたいというのが配信内容! そう、目的だったの!
私自身が着たい訳ではなかったのよ! うん!
「そうでしょう、マスターはそういう人である事は重々承知しております」
「分かってるなら、止めてよ!」
しかもだよ、事前に百合営業を目的とした配信であると伝えているんでしょ?
という事は、配信内での映えを狙って、かなり際どい衣装が来ることが予想される。
とりあえず、まずは合わせよう! 配信内で着る予定の服を、今から抜き打ちチェックします!
「それには及びません。既に服装は、コツコツと作っておりましたので、問題ありません」
「だったら……! そう、いざ着てみたら、着られなかったとかあると困るし!」
そう言っておいて、着た瞬間、魔力を全身から放出させて、服を木っ端みじんにしてやるっ……!
それこそ、糸の単位にまで木っ端みじんにして、修復不可能レベルにまで……!
「いえ、服はマスターと合わせております。【アルファ・ゴーレムサポートシステム】内にある電脳空間にて、マスターと同サイズのモデルを用意して、着てもらいました」
「抜かりなしかっ!」
あぁ、ダメだぁ……反対する要素が、何一つとして見つからない……。
「マスター、そもそもこれは私からの怒りを表現していますので、素直に受け入れてください」
「うぐっ……」
そう言われると、断り辛いんだよ……。
あと、「怒っているんだから、こういうちょっぴり過激な衣装も着てくれますよね?」という展開が来そうで、本当に困っているんだよ。
「では、マスター。配信は今日の夜から行いますので、準備を致しましょう」
「……はい」
ベータちゃんを溜めこみさせ過ぎないように、今度からはちょくちょく配信をしていこうと思った私なのであった。
家に帰るなり、ベータちゃんからそのような提案を受けた。
うんっ、確かに最近、配信活動をした覚えがないなぁ……。
「マスターは最近、私を構わなさすぎです。めちゃくちゃ構って欲しいです。
『錬金術師大会』、ドラゴンの卵を使ったゴーレム、デルタちゃんのバージョンアップ、そして王都の事件対処----マスターはこのイスウッドにて、静かに暮らしたいんじゃなかったんでしょうか?」
「えっと……はい。その通りです」
けれども、仕方ないじゃない!
せっかく、時間に余裕があるんだから、その余裕ある時間の最中に色々とやりたい事をしたいというのは、何もおかしなことではないと思う。
『錬金術大会』も、ドラゴンの卵を利用した新型ゴーレムの開発も、デルタちゃんのパワーアップも、王都の泥棒退治も、ぜーんぶやりたかったんだから仕方がないじゃないですか。
……いや、正直、王都の怪盗めしどろぼうは、巻き込まれたくはなかったけど。
「構えって、一緒に配信をしろとか、そういう事か?」
「いえ、マスターには私と共に、配信----それも百合営業の事前告知ありの配信をしていただきます」
「百合営業の事前告知ありって、マジで?」
私がそう聞くと、「当然じゃないですか」とベータちゃんは応える。
確かに私の配信がバズった、有名になったのはあのベータちゃんとの百合営業配信からだとは思う。
しかしあれは、あくまでもベータちゃんの対応力が良かっただけで、元々はそういう目的で配信をしていた訳ではない。
しかし、今度ベータちゃんと一緒にやる配信は、前提として百合営業することが決まっている配信だ。
初めから、2人で百合百合しい姿を見せようとか、なかなかに強気な企画である。
「告知は、既にガンマちゃんと済ませております。配信内容も、私が既に決めておりますので、マスターは出てくださるだけでオーケーです」
「それは楽で良いなぁ~」
口はそういうが、実際にはそんな事は思ってない。
既にどういう事をするかという企画は決まっているという事は、相当、問題がある出たくはない企画だったとしても、断れないという事じゃないか。
「(でもまぁ、ベータちゃんと一緒の規格って事は、そんな変な企画をする感じにはならないはずだ)」
うちは、完全なる分業制。ゴーレムは住み分け体制だ。
デルタちゃんからのお誘いなら戦闘関連、ガンマちゃんからのお誘いなら映像関連と、ある程度の予想が立てられる。
ベータちゃんの担当は、家事手伝い。
最近は調理動画なども好調みたいだし、一緒に調理して出来た料理を食べさせるといった感じの、ハートウォーミングな企画に違いない。
それだったら、恥ずかしくないし、ぜんぜんいけそうだ。
「それで、その企画って何をするんだ?」
「はい、"コスプレ"です」
----はい? いま、なんて?
「ですから、コスプレ----コスチューム・プレイの略称です。
マスターと私で合わせ、つまりはある作品の、いつもいる2人組の衣装を着て、映像内で撮られまくります。ちなみに、作品の選定はガンマちゃんが行いました」
「ガンマちゃんが……」
「はい、古の時代の合わせコスプレ動画がありましたので、そちらで」
いっ、いやだああああああ!
嫌だよ、絶対嫌だって!
「マスター、以前に"メイド服"を広める配信をしていたじゃないですか。アレと一緒です」
アレはアレ! ソレはソレなんだって!
メイド服はベータちゃんのお気に入り衣装の1つで、良く着ているのは知っているよ。
だけど、アレはあくまでも私が『着て欲しい服』を広めたいというのが配信内容! そう、目的だったの!
私自身が着たい訳ではなかったのよ! うん!
「そうでしょう、マスターはそういう人である事は重々承知しております」
「分かってるなら、止めてよ!」
しかもだよ、事前に百合営業を目的とした配信であると伝えているんでしょ?
という事は、配信内での映えを狙って、かなり際どい衣装が来ることが予想される。
とりあえず、まずは合わせよう! 配信内で着る予定の服を、今から抜き打ちチェックします!
「それには及びません。既に服装は、コツコツと作っておりましたので、問題ありません」
「だったら……! そう、いざ着てみたら、着られなかったとかあると困るし!」
そう言っておいて、着た瞬間、魔力を全身から放出させて、服を木っ端みじんにしてやるっ……!
それこそ、糸の単位にまで木っ端みじんにして、修復不可能レベルにまで……!
「いえ、服はマスターと合わせております。【アルファ・ゴーレムサポートシステム】内にある電脳空間にて、マスターと同サイズのモデルを用意して、着てもらいました」
「抜かりなしかっ!」
あぁ、ダメだぁ……反対する要素が、何一つとして見つからない……。
「マスター、そもそもこれは私からの怒りを表現していますので、素直に受け入れてください」
「うぐっ……」
そう言われると、断り辛いんだよ……。
あと、「怒っているんだから、こういうちょっぴり過激な衣装も着てくれますよね?」という展開が来そうで、本当に困っているんだよ。
「では、マスター。配信は今日の夜から行いますので、準備を致しましょう」
「……はい」
ベータちゃんを溜めこみさせ過ぎないように、今度からはちょくちょく配信をしていこうと思った私なのであった。
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