配信スローライフをしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです

摂政

文字の大きさ
127 / 458

第127話 ベータちゃん、怒りの百合営業配信

しおりを挟む
「マスターに連絡致します。そろそろ一緒に、配信を致しませんか?」

 家に帰るなり、ベータちゃんからそのような提案を受けた。
 うんっ、確かに最近、配信活動をした覚えがないなぁ……。

「マスターは最近、私を構わなさすぎです。めちゃくちゃ構って欲しいです。
 『錬金術師大会』、ドラゴンの卵を使ったゴーレム、デルタちゃんのバージョンアップ、そして王都の事件対処----マスターはこのイスウッドにて、静かに暮らしたいんじゃなかったんでしょうか?」
「えっと……はい。その通りです」

 けれども、仕方ないじゃない!
 せっかく、時間に余裕があるんだから、その余裕ある時間の最中に色々とやりたい事をしたいというのは、何もおかしなことではないと思う。
 『錬金術大会』も、ドラゴンの卵を利用した新型ゴーレムの開発も、デルタちゃんのパワーアップも、王都の泥棒退治も、ぜーんぶやりたかったんだから仕方がないじゃないですか。
 
 ……いや、正直、王都の怪盗めしどろぼうは、巻き込まれたくはなかったけど。

「構えって、一緒に配信をしろとか、そういう事か?」
「いえ、マスターには私と共に、配信----それも百合営業の事前告知ありの配信をしていただきます」
「百合営業の事前告知ありって、マジで?」

 私がそう聞くと、「当然じゃないですか」とベータちゃんは応える。

 確かに私の配信がバズった、有名になったのはあのベータちゃんとの百合営業配信からだとは思う。
 しかしあれは、あくまでもベータちゃんの対応力アドリブが良かっただけで、元々はそういう目的で配信をしていた訳ではない。

 しかし、今度ベータちゃんと一緒にやる配信は、前提として百合営業することが決まっている配信だ。
 初めから、2人で百合百合しい姿を見せようとか、なかなかに強気な企画である。

「告知は、既にガンマちゃんと済ませております。配信内容も、私が既に決めておりますので、マスターは出てくださるだけでオーケーです」
「それは楽で良いなぁ~」

 口はそういうが、実際にはそんな事は思ってない。
 既にどういう事をするかという企画は決まっているという事は、相当、問題がある出たくはない企画だったとしても、断れないという事じゃないか。

「(でもまぁ、ベータちゃんと一緒の規格って事は、そんな変な企画ことをする感じにはならないはずだ)」

 うちは、完全なる分業制。ゴーレムは住み分け体制だ。
 デルタちゃんからのお誘いなら戦闘関連、ガンマちゃんからのお誘いなら映像関連と、ある程度の予想が立てられる。

 ベータちゃんの担当は、家事手伝い。
 最近は調理動画なども好調みたいだし、一緒に調理して出来た料理を食べさせるといった感じの、ハートウォーミングな企画に違いない。
 それだったら、恥ずかしくないし、ぜんぜんいけそうだ。

「それで、その企画って何をするんだ?」
「はい、"コスプレ"です」


 ----はい? いま、なんて?


「ですから、コスプレ----コスチューム・プレイの略称です。
 マスターと私で合わせ、つまりはある作品の、いつもいる2人組の衣装を着て、映像内で撮られまくります。ちなみに、作品の選定はガンマちゃんが行いました」
「ガンマちゃんが……」
「はい、古の時代の合わせコスプレ動画がありましたので、そちらで」

 いっ、いやだああああああ!
 嫌だよ、絶対嫌だって!

「マスター、以前に"メイド服"を広める配信をしていたじゃないですか。アレと一緒です」

 アレはアレ! ソレはソレなんだって!
 メイド服はベータちゃんのお気に入り衣装の1つで、良く着ているのは知っているよ。

 だけど、アレはあくまでも私が『着て欲しい服』を広めたいというのが配信内容! そう、目的コンセプトだったの!
 私自身が着たい訳ではなかったのよ! うん!

「そうでしょう、マスターはそういう人である事は重々承知しております」
「分かってるなら、止めてよ!」

 しかもだよ、事前に百合営業を目的とした配信であると伝えているんでしょ?
 という事は、配信内での映えを狙って、かなり際どい衣装が来ることが予想される。

 とりあえず、まずは合わせよう! 配信内で着る予定の服を、今から抜き打ちチェックします!

「それには及びません。既に服装は、コツコツと作っておりましたので、問題ありません」
「だったら……! そう、いざ着てみたら、着られなかったとかあると困るし!」

 そう言っておいて、着た瞬間、魔力を全身から放出させて、服を木っ端みじんにしてやるっ……!
 それこそ、糸の単位にまで木っ端みじんにして、修復不可能レベルにまで……!

「いえ、服はマスターと合わせております。【アルファ・ゴーレムサポートシステム】内にある電脳空間にて、マスターと同サイズのモデルを用意して、着てもらいました」
「抜かりなしかっ!」

 あぁ、ダメだぁ……反対する要素が、何一つとして見つからない……。

「マスター、そもそもこれは私からの怒りを表現していますので、素直に受け入れてください」
「うぐっ……」

 そう言われると、断り辛いんだよ……。

 あと、「怒っているんだから、こういうちょっぴり過激エッチな衣装も着てくれますよね?」という展開が来そうで、本当に困っているんだよ。

「では、マスター。配信は今日の夜から行いますので、準備を致しましょう」
「……はい」

 ベータちゃんを溜めこみさせ過ぎないように、今度からはちょくちょく配信をしていこうと思った私なのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...