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第149話 ペンギンが勝って、ホッとしたよ配信
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ペンギン族の娘、アデリィちゃんに負けたサビキ王女は、自ら次期国王の座を退いた。
元々、自分が何かの形で敗ける事があれば潔く、その座から退くことを口にしていたため、そこまで大きな混乱は起きなかった。
----まぁ、元から国王の器ではなかったというべきか。
凍らされて動けなくなっていくサビキ王女に、私は睨まれたような気分がした。
あれは好敵手、倒すべき相手を見つけた時に感じるような視線だ。
あんなギラギラとした好戦的な気概を持つ者が、一介の国王に収まる器ではない。あれは超一流の冒険者、あるいは英雄として新たに国を興すだけの才覚を持ち合わせている。
彼女の力は、このウミヅリ王国にとっては、狭すぎた。
----まぁ、一介の錬金術師から見ただけの感想なんだけど。
それにしても、ちゃんと作戦が上手く行ってなにより。なにより。
アデリィちゃんだけが使える拳技【凍土の水龍跋扈】は、事前に放っておいた水手裏剣を用いて、相手を足元から凍り付かせるという技だ。
ペンギン族という存在を知った時から、彼らには氷系統の力があると予想していたんだけど、まさしく予想通りという事で何よりですよ。
獣人族や魚人族の中には、特殊な生態を持つ者が多い。
アデリィちゃんのようなペンギン族は、元々はウミヅリ王国なんかよりも遥かに北に住まう魚人族である。彼らは寒い地域でも生き抜くために、その北方の地にいるナニモノかと契約して、寒さを克服したのだという。
私はそんなペンギン族の特殊な性質を呼び起こして、サビキ王女を模した鉄砲魚拳と組み合わせる事に成功して、今回のような勝利を得たという訳だ。
そもそも、他の9人もまた、そういった特殊な生態を持つ魚人族などを中心に選出している。
----アザラシ族、クリオネ族は、ペンギン族と同じく氷の性質を有していた。アデリィちゃんほどではないにしろ、彼女達もアデリィちゃんと同じだけの実力を発揮できた可能性は大いに高い。
----アンモナイト族は、螺旋の性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、他に匹敵する事を有しない回転エネルギーを加えた鉄砲魚拳が完成していただろう。
----クラゲ族は、雷の性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、感電する水を放つ鉄砲魚拳が生まれていた事だろう。
----ワニ族は、咬合力が非常に高い性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、他に匹敵する事を有しない閉鎖力の溢れた鉄砲魚拳が誕生していた事だろう。
いま挙げたのは、それぞれ性質が特殊だった者達である。
彼らはそれぞれ鉄砲魚拳に混ぜると、サビキ王女を倒せる凄い力が発揮できるだろうと、私はそう思っていた。
----イルカ族は、超音波を発生する事が出来た。彼らは鉄砲魚拳とは別に、超音波によって相手の脳を揺らすなどの方法を試みるつもりであった。
----ドジョウ族、それとハゼ族は、周囲に紛れるという擬態の性質が高かったらしく、それを極めて、相手を背後から襲うという方法を試みるつもりであった。
----トンボ族は、圧倒的な飛行能力とスピードを有しており、相手に狙いをつけさせないほどのスピードで鉄砲魚拳で戦うという方法を試みるつもりであった。
いま挙げたのは、それぞれ身体能力に大きな特徴があった者達である。
彼らは鉄砲魚拳を使いつつ、サビキ王女に勝つための身体能力を使ってもらうつもりであった。まぁ、こちらはあくまでもセカンドプラン----先に挙げたような鉄砲魚拳と混ぜると良さそうという感じではないし、勝つ見込みはあまりなかったけど。
これらの性質や特徴は、初日から渡していたあのスタミナポーションの力で引き出していたモノである。
あのポーションは身体能力、回復力のみならず、潜在能力も向上させる効果を付与しており、それらを飲んだことで、眠っていた潜在能力が開花したという訳だ。
今回はサビキ王女が才能の塊だったというだけではなく、テッポウウオ族という種族としての強みがあったから、こちらも種族として強みがある者を選出してもらったというだけの話。
いやぁ~、それにしてもちゃんと勝ってくれて何よりだ。下手すると、これでも勝てない感じがあったからね、あのサビキ王女には。
「さて、ガンマちゃん。次の国王に決まったであろうリイル王女と打ち合わせだ。打合せ」
「了解なのだ! ガッツリ、魚を引き出させてみせるのだ!」
勝負が終わったら、次は打ち合わせの時間だ。
そもそも私は、この国に対して、魚の生態や海などの実地調査、そして稚魚の仕入れに来たのだ。
既に漁業用のゴーレムとして作成予定のイプシロンちゃんを作り出すだけのデータは、獲得済み。
あとは稚魚の選定だが、ガンマちゃんによると良い魚の目星がついたとの事。
味良し、生育期間も良し、売って良し、なにより調理方法のバリエーションも多い。
最高に養殖に向いているお魚----その名は、"鮭"!!
元々、自分が何かの形で敗ける事があれば潔く、その座から退くことを口にしていたため、そこまで大きな混乱は起きなかった。
----まぁ、元から国王の器ではなかったというべきか。
凍らされて動けなくなっていくサビキ王女に、私は睨まれたような気分がした。
あれは好敵手、倒すべき相手を見つけた時に感じるような視線だ。
あんなギラギラとした好戦的な気概を持つ者が、一介の国王に収まる器ではない。あれは超一流の冒険者、あるいは英雄として新たに国を興すだけの才覚を持ち合わせている。
彼女の力は、このウミヅリ王国にとっては、狭すぎた。
----まぁ、一介の錬金術師から見ただけの感想なんだけど。
それにしても、ちゃんと作戦が上手く行ってなにより。なにより。
アデリィちゃんだけが使える拳技【凍土の水龍跋扈】は、事前に放っておいた水手裏剣を用いて、相手を足元から凍り付かせるという技だ。
ペンギン族という存在を知った時から、彼らには氷系統の力があると予想していたんだけど、まさしく予想通りという事で何よりですよ。
獣人族や魚人族の中には、特殊な生態を持つ者が多い。
アデリィちゃんのようなペンギン族は、元々はウミヅリ王国なんかよりも遥かに北に住まう魚人族である。彼らは寒い地域でも生き抜くために、その北方の地にいるナニモノかと契約して、寒さを克服したのだという。
私はそんなペンギン族の特殊な性質を呼び起こして、サビキ王女を模した鉄砲魚拳と組み合わせる事に成功して、今回のような勝利を得たという訳だ。
そもそも、他の9人もまた、そういった特殊な生態を持つ魚人族などを中心に選出している。
----アザラシ族、クリオネ族は、ペンギン族と同じく氷の性質を有していた。アデリィちゃんほどではないにしろ、彼女達もアデリィちゃんと同じだけの実力を発揮できた可能性は大いに高い。
----アンモナイト族は、螺旋の性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、他に匹敵する事を有しない回転エネルギーを加えた鉄砲魚拳が完成していただろう。
----クラゲ族は、雷の性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、感電する水を放つ鉄砲魚拳が生まれていた事だろう。
----ワニ族は、咬合力が非常に高い性質を有していた。もしアデリィちゃんと同じように組み合わせることが出来るのなら、他に匹敵する事を有しない閉鎖力の溢れた鉄砲魚拳が誕生していた事だろう。
いま挙げたのは、それぞれ性質が特殊だった者達である。
彼らはそれぞれ鉄砲魚拳に混ぜると、サビキ王女を倒せる凄い力が発揮できるだろうと、私はそう思っていた。
----イルカ族は、超音波を発生する事が出来た。彼らは鉄砲魚拳とは別に、超音波によって相手の脳を揺らすなどの方法を試みるつもりであった。
----ドジョウ族、それとハゼ族は、周囲に紛れるという擬態の性質が高かったらしく、それを極めて、相手を背後から襲うという方法を試みるつもりであった。
----トンボ族は、圧倒的な飛行能力とスピードを有しており、相手に狙いをつけさせないほどのスピードで鉄砲魚拳で戦うという方法を試みるつもりであった。
いま挙げたのは、それぞれ身体能力に大きな特徴があった者達である。
彼らは鉄砲魚拳を使いつつ、サビキ王女に勝つための身体能力を使ってもらうつもりであった。まぁ、こちらはあくまでもセカンドプラン----先に挙げたような鉄砲魚拳と混ぜると良さそうという感じではないし、勝つ見込みはあまりなかったけど。
これらの性質や特徴は、初日から渡していたあのスタミナポーションの力で引き出していたモノである。
あのポーションは身体能力、回復力のみならず、潜在能力も向上させる効果を付与しており、それらを飲んだことで、眠っていた潜在能力が開花したという訳だ。
今回はサビキ王女が才能の塊だったというだけではなく、テッポウウオ族という種族としての強みがあったから、こちらも種族として強みがある者を選出してもらったというだけの話。
いやぁ~、それにしてもちゃんと勝ってくれて何よりだ。下手すると、これでも勝てない感じがあったからね、あのサビキ王女には。
「さて、ガンマちゃん。次の国王に決まったであろうリイル王女と打ち合わせだ。打合せ」
「了解なのだ! ガッツリ、魚を引き出させてみせるのだ!」
勝負が終わったら、次は打ち合わせの時間だ。
そもそも私は、この国に対して、魚の生態や海などの実地調査、そして稚魚の仕入れに来たのだ。
既に漁業用のゴーレムとして作成予定のイプシロンちゃんを作り出すだけのデータは、獲得済み。
あとは稚魚の選定だが、ガンマちゃんによると良い魚の目星がついたとの事。
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