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第345話 イータちゃんからの報告を自室で聞こうよ配信
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『----とまぁ、そんな風に一般客を装うとしているみたいです』
「なぁ、イータちゃん? それ、盗聴という犯罪行為じゃない?」
いつものように、楽しく錬金術をする中。突如として、イータちゃんから連絡が入った。
なんでも、『ラジンとマコモが、こっそりと普通の一般客を装おうとしている』という報告らしい。ホテル内と一体化している管理特化型ゴーレムのイータちゃんにとっては、ホテル内でこっそりと交信をしていたのを傍受----別名、盗聴もお茶の子さいさいのようだ。
いや、お茶の子さいさいは良しとしても、それって盗聴なんじゃない?
マニュアル大好きなこのイータちゃんのマニュアルには、『お客様のプライベートを詮索しない』という文言が書いてあったのをよく覚えている私には、この行為はどうしてもだめなように思えるんだけれども。
「イータちゃん、『お客様のプライベートを詮索しない』って、マニュアルに書いてなかった?」
『えぇ、それはホテル運営をするうえで当然のこと。お客様がどのような趣味嗜好を抱えていても、そっと見守るのがホテル運営というものです!』
お客様の趣味嗜好とかいうなよな、うん。
でもまぁ、そう思っているのなら、なおさら盗聴はダメなんじゃないのかな? うん。
「プライベートを詮索しないのなら、盗聴はダメでしょ。そもそもホテル運営する上で、盗聴とかダメなんじゃないか? 健全な運営をするから、ラジン逮捕に対して否定的なんじゃなかった?」
『オーナー、これは盗聴ではありません。お客様の安全を守るために、ある程度の情報把握は必要かと。お客様がいきなり急病になってしまったり、あるいは部屋の中でこっそりと犯罪行為をしていたらどうするんでしょうか? プライベートを詮索しないのと、お客様の状態を把握しないのとでは、別問題なんです』
「……安全面上、必要な事なんだね。それ」
まぁ、確かに部屋の中で怪しい事をしている場合もあるから、監視も必要なんだとは思うんだけれども。というか、マニュアル大好きな癖に、マニュアルの隙間を縫っていくようなやり方が上手いって、どうなんだよと思う。本当で。
「その情報、ゼニスキー組合長とかには既に伝えてある?」
『えぇ、勿論ですとも。マニュアルに沿って、粛々と伝えさせていただきましたとも!』
ならば、良し。
そもそもラジンを捕まえようと思っているのは、ゼニスキー組合長を始めとした人達であり、彼らとちゃんと連携を取っておかないといけないよね。
『あちら側とは既に話を通したところ、警戒されないようにホテル内に居る時は大人しくしておく。だそうです』
「良かったじゃないか。ちゃんとイータちゃんの想定通りじゃないか」
最初、ゼニスキー組合長たちはラジンをホテルにチェックインして、部屋の中で寝ている際に捕まえようとしていた。それに待ったをかけて、チェックアウト時にした方が良いと最初に進言したのは、他ならぬイータちゃんである。
そんなイータちゃんの想定通りに事が進んでいるのだから、良い話と言えるんじゃないだろうか。
『…………』
「イータちゃん?」
なぜか黙り切ってしまったイータちゃんに対して、「おーい」と話しかける私。しかしながら、イータちゃんは何も言わず、そのまま通信を切ってしまった。
どうしたんだろう? まさか、これから先は伝えてはいけないという、マニュアルでもあったのだろうか?
まぁ、なんだって良いか。
「お話、終わられましたか? マスター?」
通信が切れた瞬間、そのタイミングを見計らっていたかのように、ベータちゃんが軽食のサンドイッチを持って現れる。
「おぉ、今日はサンドイッチか」
「私としては、マスターの健康のために、このような食事ではなく、もっとちゃんと栄養満点の料理を提供したい所ですが」
「そうは言うけれども、なかなかねぇ」
いや、ちゃんとした食事をとらなくちゃいけないのは、分かってるんだよ。あと、イータちゃんの通信に出られるくらいの余裕があるのも分かっている。
だけどもなぁ、なんとなく部屋から出たくないという気分とかあるじゃない? ほら、なんとなく部屋を出たくないというか。
「じとぉ……」
「えっと、ベータちゃん?」
おいおい、ベータちゃんや。なんでそんな冷たい瞳で、こちらを睨んでいるんですかね?
家事特化型ゴーレムとして作ったはずのベータちゃんに、そんな冷たい瞳で、御主人様を睨みつける機能は、つけていなかったはずなんだけれども?
「マスターの額から落ちる汗などから、マスターの心情を推定、把握致しました。単なる"ぐうたら"、と判断いたしましたので、これより強制的に部屋から退出させます」
ずずいっと、私に近付いて来るベータちゃん。
やっ、やめっ! いや、本当に部屋で何か作ろうと思っていたのは本当だし、サンドイッチを食べているうちに良いアイデアが思いつくんだって、多分!
だからそんなに、いやああああああ! 部屋から出さないでえええええ!
結局、スローライフでダラダラするのも難しいと思う、錬金術師の私、ススリアなのであった。
「なぁ、イータちゃん? それ、盗聴という犯罪行為じゃない?」
いつものように、楽しく錬金術をする中。突如として、イータちゃんから連絡が入った。
なんでも、『ラジンとマコモが、こっそりと普通の一般客を装おうとしている』という報告らしい。ホテル内と一体化している管理特化型ゴーレムのイータちゃんにとっては、ホテル内でこっそりと交信をしていたのを傍受----別名、盗聴もお茶の子さいさいのようだ。
いや、お茶の子さいさいは良しとしても、それって盗聴なんじゃない?
マニュアル大好きなこのイータちゃんのマニュアルには、『お客様のプライベートを詮索しない』という文言が書いてあったのをよく覚えている私には、この行為はどうしてもだめなように思えるんだけれども。
「イータちゃん、『お客様のプライベートを詮索しない』って、マニュアルに書いてなかった?」
『えぇ、それはホテル運営をするうえで当然のこと。お客様がどのような趣味嗜好を抱えていても、そっと見守るのがホテル運営というものです!』
お客様の趣味嗜好とかいうなよな、うん。
でもまぁ、そう思っているのなら、なおさら盗聴はダメなんじゃないのかな? うん。
「プライベートを詮索しないのなら、盗聴はダメでしょ。そもそもホテル運営する上で、盗聴とかダメなんじゃないか? 健全な運営をするから、ラジン逮捕に対して否定的なんじゃなかった?」
『オーナー、これは盗聴ではありません。お客様の安全を守るために、ある程度の情報把握は必要かと。お客様がいきなり急病になってしまったり、あるいは部屋の中でこっそりと犯罪行為をしていたらどうするんでしょうか? プライベートを詮索しないのと、お客様の状態を把握しないのとでは、別問題なんです』
「……安全面上、必要な事なんだね。それ」
まぁ、確かに部屋の中で怪しい事をしている場合もあるから、監視も必要なんだとは思うんだけれども。というか、マニュアル大好きな癖に、マニュアルの隙間を縫っていくようなやり方が上手いって、どうなんだよと思う。本当で。
「その情報、ゼニスキー組合長とかには既に伝えてある?」
『えぇ、勿論ですとも。マニュアルに沿って、粛々と伝えさせていただきましたとも!』
ならば、良し。
そもそもラジンを捕まえようと思っているのは、ゼニスキー組合長を始めとした人達であり、彼らとちゃんと連携を取っておかないといけないよね。
『あちら側とは既に話を通したところ、警戒されないようにホテル内に居る時は大人しくしておく。だそうです』
「良かったじゃないか。ちゃんとイータちゃんの想定通りじゃないか」
最初、ゼニスキー組合長たちはラジンをホテルにチェックインして、部屋の中で寝ている際に捕まえようとしていた。それに待ったをかけて、チェックアウト時にした方が良いと最初に進言したのは、他ならぬイータちゃんである。
そんなイータちゃんの想定通りに事が進んでいるのだから、良い話と言えるんじゃないだろうか。
『…………』
「イータちゃん?」
なぜか黙り切ってしまったイータちゃんに対して、「おーい」と話しかける私。しかしながら、イータちゃんは何も言わず、そのまま通信を切ってしまった。
どうしたんだろう? まさか、これから先は伝えてはいけないという、マニュアルでもあったのだろうか?
まぁ、なんだって良いか。
「お話、終わられましたか? マスター?」
通信が切れた瞬間、そのタイミングを見計らっていたかのように、ベータちゃんが軽食のサンドイッチを持って現れる。
「おぉ、今日はサンドイッチか」
「私としては、マスターの健康のために、このような食事ではなく、もっとちゃんと栄養満点の料理を提供したい所ですが」
「そうは言うけれども、なかなかねぇ」
いや、ちゃんとした食事をとらなくちゃいけないのは、分かってるんだよ。あと、イータちゃんの通信に出られるくらいの余裕があるのも分かっている。
だけどもなぁ、なんとなく部屋から出たくないという気分とかあるじゃない? ほら、なんとなく部屋を出たくないというか。
「じとぉ……」
「えっと、ベータちゃん?」
おいおい、ベータちゃんや。なんでそんな冷たい瞳で、こちらを睨んでいるんですかね?
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ずずいっと、私に近付いて来るベータちゃん。
やっ、やめっ! いや、本当に部屋で何か作ろうと思っていたのは本当だし、サンドイッチを食べているうちに良いアイデアが思いつくんだって、多分!
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