処女壊体-the making of a saint-

柘榴

文字の大きさ
11 / 125
第2章 縫合の刑

第11話 友愛と食事

しおりを挟む
「うっ……う」
 茜の口を縫い付けてから約二日。傷口の血も固まり始めていた。
 少しずつだがワイヤーに茜の肉が馴染み始め、違和感も徐々に薄れているはずだった。

 だというのに、茜はこの二日間泣きっぱなしだ。手の拘束を解いてやり、少しだが自由にもなれたというのに、茜は自らの口元に触れる度に大粒の涙を流し、嗚咽するのを何度も繰り返している。
 茜は何故泣いている? 僕には理解が到底及ばない。分からない。

「おいおい、泣くのはおかしいだろう。僕は君が間違いを犯したから罰している。正当な理由の下に君を罰し、正している。君を正しい道を導くためにね。なのに、何故泣く? 何が気に入らない?」
 自ら罪を犯し、罰を受ける。人として当たり前のことじゃないか。
 茜は僕を口汚く罵り、僕を傷付けた。だから、僕は茜に罰を与えた。この図式に、全く間違いなど無い。
 なのに、何故茜は自分だけが損をし、被害を受けたような態度で涙を見せる? 僕を加害者の様な目で見る?
 僕にとって茜の態度は全く理解不能、理不尽でしかなかった。

「残念だが君はあまり利口ではない。だから、反射的に善行と悪行の分別ができるよう、身体に直接教え込んでいる。多少の痛みが伴うのは致し方ない事なんだ」
 痛みは人体にとって最も刺激が強く、鋭利な感覚。それも用いて教育を行うのが最も効果的なのだ。
 君がもう少し利口ならこんな事もせずに済んだけど、そうはならなかった。だから、仕方の無い事なんだ。

「っ……う」
 しかし、茜の目は僕を恨めしそうに捉えたまま。僕の理屈をこれ以上、彼女に語っても無駄なようだ。残念だが茜は、僕の当初の予想以上に頭が悪いようだから。
「……僕は君に非難される覚えなんて無いのに、何故そうも僕を恨めしそうに睨みながら涙を流す? 君が僕に怒っている意味が、分からないんだ」
 痛みを与えたから、痛みを与えられる。人はそうやって生きるものだろう。そうやって、学んで生きていく生き物。その仕組みすら理解出来ない、それは家畜と同じくらいに低俗で、愚かだ。
 今の茜は、家畜にも等しい愚かな存在。
「……まぁいい。愚かで、低脳で、卑しい君でも僕は許そう。これから僕が君を造り替えていけば良いだけ話だ」
 だが、今はいくら惨めで愚かでも構わない。これから、何十年と歳月を用いても、僕が彼女を作り替えるのだから。それが僕の責任なのだから。
 その為ならば、僕はどんな事だってやってみせる。茜の愚かな面を目にする度に、僕の身も更に引き締まる。
「その為にも僕は何事においても手を抜かない。例えば、食事にも細心の注意を払う。やがて君の血となり肉となるのは与えられた食事だ。だからこそ、僕が君の為だけに考案した特製の料理で、寸分の狂いもなく僕の望む通りに君の血と肉を造り替えよう」
 
 食事の僅かな素材の一つにも茜への想いを込める。
 それも、僕の彼女への愛の形の一つなのだから。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...