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第1章 妄執の刑
第6話 破壊と保全
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手足を拘束し直し、僕はガレージの中に用意していた特注の椅子に茜を念入りに縛り付ける。
想像したくはないが、茜が僕を裏切って逃げ出すという事も考えられるから、油断は出来ない。
いつか茜が僕の真意を理解してくれれば、そんな警戒の必要も無くなるのだが、それまでは心苦しいが念入りに拘束する必要がある。
「やめて! 離してください!」
黙々と拘束を進める僕に、茜が叫ぶ。このガレージは防音処理済みであり、周囲の人間に音で勘付かれる危険性は極めて低い。
それに……これ以上、茜の口を塞ぎ茜の美しい旋律のような声を奪ってしまうのは心許無いと思い、僕は茜の口は拘束しようとはしなかった。
大学で目にした彼女はいつも幸福で溢れていた。友人と談笑し、部活や授業にも全力で取り組む彼女の周りには、常に笑顔と笑い声が溢れていた。そんな彼女に、僕は惹かれた。
けれど、今はどうだろう。彼女を構成するのは、恐怖、不安、嫌悪……半泣きになりながら椅子に縛り付けられている彼女の姿は、今まででは一度も見られなかった姿だ。
そうだ。僕が……今日こうして茜の新しい面を引き出したのだ。誰も知らない、茜を……。
そして、これからは彼女が自らの口でどのような声を奏でてくれるかを考えると、口を塞ぐなんて勿体無いことはしたくない。
痛みに悶える悲鳴? 恥辱に耐える呻き声? どれを想像しても、興奮が止まない。
「あなた、何のために……っ、何で私を……お願い、帰して……」
だが、茜から発せられる言葉はさっきから同じ言葉ばかり。僕を拒絶する言葉ばかり。
「……」
最初はそれも新鮮に感じられていたが、良い加減に僕を拒絶するような言葉ばかりを何度も口にされるのは流石の僕も苛立ってきた。
「何度も何度も……同じ事ばかりでは、流石の僕も飽きてしまう」
茜、君は僕を馬鹿しているのか?
何故、僕を喜ばせるための言葉を発しない?
僕は馬鹿が嫌いだ。茜だけは違うと思いたかったけれど、所詮は茜も少し勉強ができるだけで、僕とはかけ離れた馬鹿の一人だった。
「どうして、さっきから黙っているの……? 目的が、あるんでしょう?」
だから、こうして僕の真意を見抜くこともできず、なぜ自分がこの状況に置かれているのかも理解できず、何度も同じ言葉ばかりを羅列する。
「……君に言葉で語っても、無意味なだけさ。残念だけれど、君が言葉だけじゃ僕の真意を見抜けない馬鹿だという事も思い知ったからね」
僕は馬鹿に何度も同じ説明をするのはもっと嫌いだ。
そもそも、君が理解しようがしまいが、僕の考えと行動は一切変わらない。
説明する必要はない。やがて、理解などできずとも僕が直々に『覚え込ませる』のだから。
「その声……」
「まさか忘れたわけじゃないだろう? 僕の声を。いくら君が僕に興味が無くても、君を無理矢理に押し倒した男の声だ。その嫌悪感は脳裏に染みついているはずだ」
僕の声を耳に死、ようやく愚鈍な茜も状況をわずかに理解したようだ。
僕は顔を隠していた布を外し、僕は顔を茜に対し、露にする。
茜の顔から血の気が引いていくのが分かる。
「……一体、何なの……何なの、貴方! 何が目的で、私を……っ」
「何度も同じことを言わせないでくれ。言葉で語っても君が理解できるとは思っていない。理解する必要も無い。君は、ただ黙って僕の傍にいてくれればいい。君と言う存在が永遠に保全されるその日まで」
彼女の承諾など最早求めていない。
ただ、茜は僕に従っていればいい。
そうしていれば、やがて嫌でも僕の行動理念が理解できる。
そのためには、彼女を少々、苦しませる事になるかもしれないが……彼女を永遠に保全するためには、止むを得ない事だ。
今の彼女を壊してでも、僕は新たな彼女を造り出す。
「ふざけないで……今度こそ、事件に……」
「……その為には、色々と君を再教育する必要もあるしね」
茜と僕だけの空間。時間もたっぷりとある。
君を僕好みに再教育し、『理想の美』として新たに造り替え、保全するための生活は、もう始まっているんだ。
想像したくはないが、茜が僕を裏切って逃げ出すという事も考えられるから、油断は出来ない。
いつか茜が僕の真意を理解してくれれば、そんな警戒の必要も無くなるのだが、それまでは心苦しいが念入りに拘束する必要がある。
「やめて! 離してください!」
黙々と拘束を進める僕に、茜が叫ぶ。このガレージは防音処理済みであり、周囲の人間に音で勘付かれる危険性は極めて低い。
それに……これ以上、茜の口を塞ぎ茜の美しい旋律のような声を奪ってしまうのは心許無いと思い、僕は茜の口は拘束しようとはしなかった。
大学で目にした彼女はいつも幸福で溢れていた。友人と談笑し、部活や授業にも全力で取り組む彼女の周りには、常に笑顔と笑い声が溢れていた。そんな彼女に、僕は惹かれた。
けれど、今はどうだろう。彼女を構成するのは、恐怖、不安、嫌悪……半泣きになりながら椅子に縛り付けられている彼女の姿は、今まででは一度も見られなかった姿だ。
そうだ。僕が……今日こうして茜の新しい面を引き出したのだ。誰も知らない、茜を……。
そして、これからは彼女が自らの口でどのような声を奏でてくれるかを考えると、口を塞ぐなんて勿体無いことはしたくない。
痛みに悶える悲鳴? 恥辱に耐える呻き声? どれを想像しても、興奮が止まない。
「あなた、何のために……っ、何で私を……お願い、帰して……」
だが、茜から発せられる言葉はさっきから同じ言葉ばかり。僕を拒絶する言葉ばかり。
「……」
最初はそれも新鮮に感じられていたが、良い加減に僕を拒絶するような言葉ばかりを何度も口にされるのは流石の僕も苛立ってきた。
「何度も何度も……同じ事ばかりでは、流石の僕も飽きてしまう」
茜、君は僕を馬鹿しているのか?
何故、僕を喜ばせるための言葉を発しない?
僕は馬鹿が嫌いだ。茜だけは違うと思いたかったけれど、所詮は茜も少し勉強ができるだけで、僕とはかけ離れた馬鹿の一人だった。
「どうして、さっきから黙っているの……? 目的が、あるんでしょう?」
だから、こうして僕の真意を見抜くこともできず、なぜ自分がこの状況に置かれているのかも理解できず、何度も同じ言葉ばかりを羅列する。
「……君に言葉で語っても、無意味なだけさ。残念だけれど、君が言葉だけじゃ僕の真意を見抜けない馬鹿だという事も思い知ったからね」
僕は馬鹿に何度も同じ説明をするのはもっと嫌いだ。
そもそも、君が理解しようがしまいが、僕の考えと行動は一切変わらない。
説明する必要はない。やがて、理解などできずとも僕が直々に『覚え込ませる』のだから。
「その声……」
「まさか忘れたわけじゃないだろう? 僕の声を。いくら君が僕に興味が無くても、君を無理矢理に押し倒した男の声だ。その嫌悪感は脳裏に染みついているはずだ」
僕の声を耳に死、ようやく愚鈍な茜も状況をわずかに理解したようだ。
僕は顔を隠していた布を外し、僕は顔を茜に対し、露にする。
茜の顔から血の気が引いていくのが分かる。
「……一体、何なの……何なの、貴方! 何が目的で、私を……っ」
「何度も同じことを言わせないでくれ。言葉で語っても君が理解できるとは思っていない。理解する必要も無い。君は、ただ黙って僕の傍にいてくれればいい。君と言う存在が永遠に保全されるその日まで」
彼女の承諾など最早求めていない。
ただ、茜は僕に従っていればいい。
そうしていれば、やがて嫌でも僕の行動理念が理解できる。
そのためには、彼女を少々、苦しませる事になるかもしれないが……彼女を永遠に保全するためには、止むを得ない事だ。
今の彼女を壊してでも、僕は新たな彼女を造り出す。
「ふざけないで……今度こそ、事件に……」
「……その為には、色々と君を再教育する必要もあるしね」
茜と僕だけの空間。時間もたっぷりとある。
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