御託はいいのでさっさと離縁してください旦那様

最終話

 「私は……」

 ………そして丁度マレリアが後悔している頃、マーリンもまた落ち込んでいた。

 「なんて無様な姿をマレリア様に……」

 マーリンはマレリアが自分の危機に激怒した姿を見て、感激していた。
 そして、マレリアが力を振るう場面に至ってはマレリアの美しい姿に目を釘付けにしていた。
 戦乙女とマーリンは殆ど会話もしたこともない。
 そんな関係でありながらマーリンは彼女に恋をした。
 それはもちろん、彼女がマレリアであったことに薄々気づいたいたことが主な理由ではあっただろう。

 ーーー けれども、戦乙女の戦闘にマーリンが惹きつけられていたこともまた事実なのだ。

 だからその時マーリンはマレリアの姿に見惚れてしまった。
 マレリアが戦乙女であることを改めて確信して、その感動に浸っていた。
 いや、浸ってしまった。

 …… 側から見れば、自分はマレリアを救いに来たはずなのに、救われているというあまりにも情けない姿であることにも気付かず。

 「……は、はは、そうだよな。そんな情けない男、マレリア様に嫌われても当然だよな……」

 そして現在、マーリンはその自分の醜態を酷く恥じていた。
 ……マレリアの落ち込んだ様子が自分に失望したからだと、そう思い込んでしまう程に。

 それが勘違いであることにも気づくことはなく。


 ………そしてどうしようもない勘違いをしたまま、セルシフォアへと戻ったマーリンとマレリアがお互いの気持ちに気づくには、５年という長い年月を有することとなるのだった。




 ◇◇◇

 《あとがき》

 これにて「御託はいいので」完結となります！
 感想など、体力の都合で返信させて頂いたのはごく一部になるのですが、とても励みになりました！
 ありがとうございました！
 もしかしたら不定期で番外編的なものを投稿するかもしれないので、よろしくおねがいいたします！