御託はいいのでさっさと離縁してください旦那様

第34話

　白銀の剣姫、のちに聖マリフィナで伝説となる彼女の存在により、民衆によって起こされた反乱は無事成功することとなる。
　………けれどもその成功の裏に隠された悲劇があったことを、聖マリフィナの人間は知るよしもない。





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　「はぁ………」

　聖マリフィナの人間達の歓声を背にしながらセルシフォアへと向かう翼竜の背にのるマレリア。
　………けれどもそのマレリアの顔に浮かんでいたのは、熱烈な歓声には似合わない落ち込んだような表情だった。

　「全て、バレた……」

　そうぼそりともらし、マレリアが顔を向けた先にいたのは、これまたマレリアと同じように落ち込むマーリンの姿があった。
　そしてそのマーリンの姿にマレリアは唇を強く噛み締める。

　………マーリンの態度の理由、それが自分の本性を見たことに対する失望だと思い込んで。

　「なんで私はあんな暴走を……」

　そして現在、マレリアの胸を占めているのは強い後悔の感情だった。
　それは決してサーダンにした行為に対するものではない。
　サーダンに対して怒りを押さえきれなかったことだった。
　せめてばれるにしても優雅に振る舞っておけばこんな状況は避けれたかもしれないのに。

　「終わった………全部終わった……」

　……そしてそんな風に思い込んでいたからこそ、マレリアがあることに気づくことはなかった。

　マレリアの想像、それが全て勘違いであると言うことに………