52 / 75
第51話 (ライルハート目線)
しおりを挟む
最後にもう一度アイリスの頭を優しく撫でる。
それから振り返った俺の目に入ってきたのは、笑みを浮かべるアレスルージュの姿だった。
「そこまで、我が娘のことを気にかけてくれるとは、義理の父として嬉しい限りだ」
今までの状況を忘れたように、高圧的な態度で話しかけてくるアレスルージュ。
その態度は、何よりも雄弁にアレスルージュの考えを物語っていた。
アイリスを助ける、それは自分が助かること、そうアレスルージュは考えているのだろう。
だが、それはアレスルージュの勘違いでしかなかった。
そのことを教えるために、俺は一枚の紙を取り出し、アレスルージュへと投げつけた。
一瞬、アレスルージュの顔に疑問が浮かぶが、抵抗することなくその紙を拾う。
そして次の瞬間、アレスルージュの顔は驚愕に染まることとなった。
「なっ!?」
驚愕に染まったその顔は、少しづつ血の気が引いていく。
それに紙片の意味を理解したと判断し、俺は紙片。
──アレスルージュが今まで起こしてきた不正や、起こそうとしてきた事件を事細かに書き記したその紙を指差して口を開く。
「気に入ってもらえたか?そこまで調べるのは、中々俺でも厳しかったぞ。それだけあれば、確実にお前をこの立場から引きずり落とせるよな?」
いや、その立場から引きずり落とすだけでは済まないだろう。
これが、ほかの貴族達に広まれば、彼らは一致団結して公爵家を、アレスルージュを殺しにかかる。
それだけの情報が、その紙片には書き示されていた。
「……私を、助けるつもりはないと言いたいのか?」
アレスルージュは、その紙片を目にしてようやく俺の意思を理解した。
アレスルージュの言葉を肯定し、俺は笑った。
「準備に数年かけたが、ようやくこの時が来た。前と同じと思うな。もう絶対に見逃しはしない」
それから振り返った俺の目に入ってきたのは、笑みを浮かべるアレスルージュの姿だった。
「そこまで、我が娘のことを気にかけてくれるとは、義理の父として嬉しい限りだ」
今までの状況を忘れたように、高圧的な態度で話しかけてくるアレスルージュ。
その態度は、何よりも雄弁にアレスルージュの考えを物語っていた。
アイリスを助ける、それは自分が助かること、そうアレスルージュは考えているのだろう。
だが、それはアレスルージュの勘違いでしかなかった。
そのことを教えるために、俺は一枚の紙を取り出し、アレスルージュへと投げつけた。
一瞬、アレスルージュの顔に疑問が浮かぶが、抵抗することなくその紙を拾う。
そして次の瞬間、アレスルージュの顔は驚愕に染まることとなった。
「なっ!?」
驚愕に染まったその顔は、少しづつ血の気が引いていく。
それに紙片の意味を理解したと判断し、俺は紙片。
──アレスルージュが今まで起こしてきた不正や、起こそうとしてきた事件を事細かに書き記したその紙を指差して口を開く。
「気に入ってもらえたか?そこまで調べるのは、中々俺でも厳しかったぞ。それだけあれば、確実にお前をこの立場から引きずり落とせるよな?」
いや、その立場から引きずり落とすだけでは済まないだろう。
これが、ほかの貴族達に広まれば、彼らは一致団結して公爵家を、アレスルージュを殺しにかかる。
それだけの情報が、その紙片には書き示されていた。
「……私を、助けるつもりはないと言いたいのか?」
アレスルージュは、その紙片を目にしてようやく俺の意思を理解した。
アレスルージュの言葉を肯定し、俺は笑った。
「準備に数年かけたが、ようやくこの時が来た。前と同じと思うな。もう絶対に見逃しはしない」
22
あなたにおすすめの小説
【完結】番が見ているのでさようなら
堀 和三盆
恋愛
その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。
焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。
どこかから注がれる――番からのその視線。
俺は猫の獣人だ。
そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。
だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。
なのに。
ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。
しかし、感じるのは常に視線のみ。
コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。
……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く
基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」
王太子は女を突き飛ばした。
「その恩も忘れて、お前は何をした!」
突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。
その姿に王太子は更に苛立った。
「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」
「ソル…?」
「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」
王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。
夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる