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第42話 マルドーレ
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「ようやく見えてきたか……」
馬車に乗ること数日。
ようやく見えてきたアレスターレの王都を守る城門に、マルドーレは憔悴した様子でそう言葉を漏らした。
行きは飛竜に乗ることで一気に竜王国へと向かったマルドーレ達だが、竜王の怒りを買ったことにより、帰りについては飛竜が送ってくれることはなかったのだ。
そのせいでマルドーレ達は長時間馬車の中で揺られることになり、疲労困憊の状態だったのだ。
だからマルドーレはようやく帰っきたことに対して安堵の表情を抱く。
「……なぜあんなにも騒がしいのだ」
……けれども次の瞬間、ここからでも聞こえる王都の騒ぎにマルドーレは怪訝そうな表情を浮かべることになった。
王都からはまだ夕方であるのにもかかわらず、花火まで打ち上げられている。
マルドーレは何故そんな騒ぎが起きているのか理解できず首を傾げる。
「っ!」
けれども次の瞬間、マルドーレはとあることを思い出しその顔を歪めることとなった。
「……そうだった。竜王国に帰ってきたら竜達と共に元大陸連盟加盟国を攻めると発表するために騒ぐように言っていたのだった」
マルドーレは国民に対し、戦争を起こすことを一切告げていなかった。
その理由は簡単、マーセリアがつくった大陸連盟によって国民達が平和を求めるようになったからだった。
だからマルドーレは竜王との話をつけ、後に引けない状況になってから話をするべく、部下達に自分が帰ってくる時歓迎して騒ぐように命じていたのだ。
「……あんなこと、命じておくのではなかった」
……だが、現在マルドーレは竜王との会談を盛大に失敗している。
重大発表があると知らせておいた手前、まさか何もなかったでは済まされない。
だからといって竜王から国交断絶されましたなどといえば、さらに最悪な事態が予測される。
「ど、どうすれば……」
マルドーレは顔を青くして馬車の中、この難題をどうすればいいのか悩んでいた。
しかし、マルドーレの容量の小さな脳では城門に辿り着くまでの短い間に思いつくことなど出来るわけがなく、馬車はアレスターレの王都へと辿り着いてしまう。
「っ!しまった!」
その瞬間、マルドーレは顔に浮かぶ焦燥の色をさらに強くする。
そしてそのマルドーレの態度を見て、文官の一人が小さく言葉を漏らした。
「……言い訳などもはや必要ないのに。
ーーー もう全て手遅れなのだから」
焦るマルドーレはその言葉には全く気づかない。
いや、気づいたとしても全く意味が理解出来なかっただろうが。
そうしてマルドーレはアレスターレの門を進んでいく。
………門の中で今も続く騒ぎ、それがどこかおかしいことに全く気づくことなく。
◇◇◇
《感謝》
暖かいコメントありがとうございます!
コメントの暖かさに泣きそうになりました!
まだ二日に一回更新だと思いますが、出来るだけ早められるように頑張らせていただきます!
《追伸》
た、タイトルの改善案については目下考え中です……
馬車に乗ること数日。
ようやく見えてきたアレスターレの王都を守る城門に、マルドーレは憔悴した様子でそう言葉を漏らした。
行きは飛竜に乗ることで一気に竜王国へと向かったマルドーレ達だが、竜王の怒りを買ったことにより、帰りについては飛竜が送ってくれることはなかったのだ。
そのせいでマルドーレ達は長時間馬車の中で揺られることになり、疲労困憊の状態だったのだ。
だからマルドーレはようやく帰っきたことに対して安堵の表情を抱く。
「……なぜあんなにも騒がしいのだ」
……けれども次の瞬間、ここからでも聞こえる王都の騒ぎにマルドーレは怪訝そうな表情を浮かべることになった。
王都からはまだ夕方であるのにもかかわらず、花火まで打ち上げられている。
マルドーレは何故そんな騒ぎが起きているのか理解できず首を傾げる。
「っ!」
けれども次の瞬間、マルドーレはとあることを思い出しその顔を歪めることとなった。
「……そうだった。竜王国に帰ってきたら竜達と共に元大陸連盟加盟国を攻めると発表するために騒ぐように言っていたのだった」
マルドーレは国民に対し、戦争を起こすことを一切告げていなかった。
その理由は簡単、マーセリアがつくった大陸連盟によって国民達が平和を求めるようになったからだった。
だからマルドーレは竜王との話をつけ、後に引けない状況になってから話をするべく、部下達に自分が帰ってくる時歓迎して騒ぐように命じていたのだ。
「……あんなこと、命じておくのではなかった」
……だが、現在マルドーレは竜王との会談を盛大に失敗している。
重大発表があると知らせておいた手前、まさか何もなかったでは済まされない。
だからといって竜王から国交断絶されましたなどといえば、さらに最悪な事態が予測される。
「ど、どうすれば……」
マルドーレは顔を青くして馬車の中、この難題をどうすればいいのか悩んでいた。
しかし、マルドーレの容量の小さな脳では城門に辿り着くまでの短い間に思いつくことなど出来るわけがなく、馬車はアレスターレの王都へと辿り着いてしまう。
「っ!しまった!」
その瞬間、マルドーレは顔に浮かぶ焦燥の色をさらに強くする。
そしてそのマルドーレの態度を見て、文官の一人が小さく言葉を漏らした。
「……言い訳などもはや必要ないのに。
ーーー もう全て手遅れなのだから」
焦るマルドーレはその言葉には全く気づかない。
いや、気づいたとしても全く意味が理解出来なかっただろうが。
そうしてマルドーレはアレスターレの門を進んでいく。
………門の中で今も続く騒ぎ、それがどこかおかしいことに全く気づくことなく。
◇◇◇
《感謝》
暖かいコメントありがとうございます!
コメントの暖かさに泣きそうになりました!
まだ二日に一回更新だと思いますが、出来るだけ早められるように頑張らせていただきます!
《追伸》
た、タイトルの改善案については目下考え中です……
応援ありがとうございます!
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