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一章
第4話
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私の姿に一瞬、カランは顔に驚愕を浮かべて黙り込む。
しかし次の瞬間、何を勘違いしたのかその顔に満面の笑みを浮かべて口を開いた。
「サーマリア!やはりお前も私との婚約破棄を無かったことにしたかったのか!」
「……はぁ!?」
……それはあまりにも見当違いな妄想だった。
はっきりと無理だと拒絶したのにもかからず、未だ自分のことを私が好いていると考えている様子のカランに私は嫌悪感を感じる。
「………何を」
けれども、私がカランの思い込みを否定するその前にカールマンが口を開いた。
「カラン、君は一体何を言っているんだ?」
そう告げるカールマンの顔に浮かんでいたのは隠しきれない驚愕だった。
当たり前だろう。
何せ今まで明らかに私を嫌っていたカランが急に意見を変えたのだ。
そのことに疑問を覚えないわけがない。
「心変わりしただけです」
だが、そのカールマンの言葉にカランは素っ気なくそれだけを告げるだけに留まる。
「では失礼します。行くぞサーマリア!」
そして次の瞬間、カランは強引に私の手を掴み早足にこの場所を後にしようとする。
「っ!」
けれども、カランの行動はあまりにも急なもので一瞬私はよろめき、壁に倒れかかる。
その瞬間、衝撃で一度取り外していたせいで緩んでいたかつらと、眼鏡が取れてしまい……
「………そういうことか」
「っ!」
………次の瞬間、私の素顔を見たカールマンの顔に隠しきれない欲望が浮かんだ。
◇◆◇
カールマンの纏う雰囲気が変わり、私は失敗したと唇を噛みしめる。
「……何でしょうか、カールマン様」
そしてそんな反応を取ったのは私だけではなかった。
私の素顔が露わになった瞬間から、カランも警戒心を隠そうとせず、カールマンを睨みつけていたのだ。
けれども、カランに睨まれようがカールマンは何ら動揺することはなかった。
「そういうことか。サーマリアの容姿に心を動かされたか。だが、婚約破棄した君に私の娘をやる訳にはいかないな」
「なっ!」
……そしてカールマンは自身も私を追い出すためカランの婚約破棄を手伝っていた人間のくせに、飄々とそんな言葉を口にする。
「ふざけるな!どうせ貴女はサーマリアの美貌を利用して高位貴族と関わりを持つことしか考えていないくせに!」
そのカールマンの態度にカランは顔を真っ赤にして反論する。
だが、カールマンはそのカランの怒声も飄々と受け流す。
「いや、大事な娘をそんな風に利用するつもりはないよ」
「っ!嘘だ!」
飄々としたカールマンの態度にさらにカランは怒りを煽られ言い返すが、けれどもカールマンの言葉は嘘ではないことに私は気づいていた。
おそらく本当にカールマンは私を高位貴族とに差し出すことはしないだろう。
「………はぁ、気持ちが悪い」
……何せカールマンからは粘っこい気持ちの悪い視線がずっと送られてきているのだから。
それを受けて、カールマンが何を考えているのか分からないほど私は世間知らずではない。
私とカールマンは仮にも親娘という関係でありながら殆ど交流はない。
何せ母が存命の時は私は人質でしかなく、母が亡くなってからは厄介者でしかなかったのだから。
そう、婚約破棄を仕込み勘当を考えるくらいに。
だからカールマンにとっては私の外見が想像以上に麗しかったからそういう相手としてみることに抵抗はないかもしれない。
……だが、こっちは良い迷惑だ。
そもそも、もう勘当されているしいうことを聞く義理はないし。
「だが、私とサーマリアは愛している!」
「そんな人間同士が婚約破棄をすると?サーマリアは私が責任を持って慰めるよ。この私がね」
「っ!貴様!そういうことか!」
だから私は未だ見当違いな言い争いをしている二人を残し、部屋を後にしたのだった。
……後、二人とも正直気持ち悪すぎるので、勝手に人の将来を決めようとしないでください。気持ち悪いので。
しかし次の瞬間、何を勘違いしたのかその顔に満面の笑みを浮かべて口を開いた。
「サーマリア!やはりお前も私との婚約破棄を無かったことにしたかったのか!」
「……はぁ!?」
……それはあまりにも見当違いな妄想だった。
はっきりと無理だと拒絶したのにもかからず、未だ自分のことを私が好いていると考えている様子のカランに私は嫌悪感を感じる。
「………何を」
けれども、私がカランの思い込みを否定するその前にカールマンが口を開いた。
「カラン、君は一体何を言っているんだ?」
そう告げるカールマンの顔に浮かんでいたのは隠しきれない驚愕だった。
当たり前だろう。
何せ今まで明らかに私を嫌っていたカランが急に意見を変えたのだ。
そのことに疑問を覚えないわけがない。
「心変わりしただけです」
だが、そのカールマンの言葉にカランは素っ気なくそれだけを告げるだけに留まる。
「では失礼します。行くぞサーマリア!」
そして次の瞬間、カランは強引に私の手を掴み早足にこの場所を後にしようとする。
「っ!」
けれども、カランの行動はあまりにも急なもので一瞬私はよろめき、壁に倒れかかる。
その瞬間、衝撃で一度取り外していたせいで緩んでいたかつらと、眼鏡が取れてしまい……
「………そういうことか」
「っ!」
………次の瞬間、私の素顔を見たカールマンの顔に隠しきれない欲望が浮かんだ。
◇◆◇
カールマンの纏う雰囲気が変わり、私は失敗したと唇を噛みしめる。
「……何でしょうか、カールマン様」
そしてそんな反応を取ったのは私だけではなかった。
私の素顔が露わになった瞬間から、カランも警戒心を隠そうとせず、カールマンを睨みつけていたのだ。
けれども、カランに睨まれようがカールマンは何ら動揺することはなかった。
「そういうことか。サーマリアの容姿に心を動かされたか。だが、婚約破棄した君に私の娘をやる訳にはいかないな」
「なっ!」
……そしてカールマンは自身も私を追い出すためカランの婚約破棄を手伝っていた人間のくせに、飄々とそんな言葉を口にする。
「ふざけるな!どうせ貴女はサーマリアの美貌を利用して高位貴族と関わりを持つことしか考えていないくせに!」
そのカールマンの態度にカランは顔を真っ赤にして反論する。
だが、カールマンはそのカランの怒声も飄々と受け流す。
「いや、大事な娘をそんな風に利用するつもりはないよ」
「っ!嘘だ!」
飄々としたカールマンの態度にさらにカランは怒りを煽られ言い返すが、けれどもカールマンの言葉は嘘ではないことに私は気づいていた。
おそらく本当にカールマンは私を高位貴族とに差し出すことはしないだろう。
「………はぁ、気持ちが悪い」
……何せカールマンからは粘っこい気持ちの悪い視線がずっと送られてきているのだから。
それを受けて、カールマンが何を考えているのか分からないほど私は世間知らずではない。
私とカールマンは仮にも親娘という関係でありながら殆ど交流はない。
何せ母が存命の時は私は人質でしかなく、母が亡くなってからは厄介者でしかなかったのだから。
そう、婚約破棄を仕込み勘当を考えるくらいに。
だからカールマンにとっては私の外見が想像以上に麗しかったからそういう相手としてみることに抵抗はないかもしれない。
……だが、こっちは良い迷惑だ。
そもそも、もう勘当されているしいうことを聞く義理はないし。
「だが、私とサーマリアは愛している!」
「そんな人間同士が婚約破棄をすると?サーマリアは私が責任を持って慰めるよ。この私がね」
「っ!貴様!そういうことか!」
だから私は未だ見当違いな言い争いをしている二人を残し、部屋を後にしたのだった。
……後、二人とも正直気持ち悪すぎるので、勝手に人の将来を決めようとしないでください。気持ち悪いので。
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