19 / 25
一章
第18話
しおりを挟む
「えぇ……」
私の魔術で吹っ飛んだ宮廷魔術師達。
その姿を見て私は驚きを隠すことができなかった。
たしかに目の前の宮廷魔術師達だけならば私でも倒せるかもしれないとは思った。
けれども、私とアルセラーンは大精霊と凄腕の魔術師であると示すだけで充分に本来の目的である威圧は果たせている。
魔術師だけでもそもそも強力な魔力を持ち、王族の結界には殆ど影響されないのでいくら国王でももう馬鹿なことを考えないだろうと私は考えていたのだ。
つまり、私は強力な魔術師であることを示す雷の球体を顕現した以上に何かをするつもりはなかった。
「王座の間が、ぼろぼろに……」
「伝統あるこの場所が……」
……だから私は目の前の惨状をちらりと見て、言い訳するように口を開いた。
「……これは私のせいではないよね」
宮廷魔術師達が不完全に霧散させた私の魔術。
それはあまりにも中途半端な干渉のせいで、爆発して怪我人が出ることはなかったものの王座の間に多大な被害を出していた。
……最初私が放った球体であれば魔力を集結していたために、ごく僅かな被害で済むはずだったというのに。
「………は?」
そしてそんな王座の間の中、国王は呆然とへたり込んでいた。
何が起きたか分からないというように目を見開いている姿は憐れみを催すもので私は思わず溜息を漏らす。
「これで実力差は分かったでしょう」
……けれども、まぁいいかと直ぐに考え直してまるでこの惨状が計算通りであったかのような様子で声を上げた。
確かにこの宮廷魔術師達の弱さは想定外ではあった。
だが、その誤算は決して私にとって不利なことでは無かった。
何せ、宮廷魔術師の強さを勘違いしていたから手間を考えて手を出さなかったものの、本来ならば宮廷魔術師を圧倒して見せた方が私の実力を示すのに効果的であるのだから。
「私は貴方達を片手で殲滅することができる。けれどもしない」
だから私は内心の動揺を覆い隠し、予定通りに国王達へと声を張り上げる。
「だから私に干渉しようとするな。ただ、私の望みを聞け。そうすれば私はこの国に不干渉でいよう!」
そして私が告げたのは到底王族に向かって行っているとは思えない高圧的な内容だった。
「っ!」
……けれども、その態度に忌々しげにこちらを見てくるものがいても、誰一人として私の言葉に口を挟むものはいなかった。
ーーー それ程の力を私は今まで蓄えて来て、そのことをこの場にいる人間は分かっているのだ。
「……望みは、なんだ」
だから、国王は搾り出すような声を上げて、その言葉に私は満足げに頷き。
「私の要望は……」
そして口を開いた。
私の魔術で吹っ飛んだ宮廷魔術師達。
その姿を見て私は驚きを隠すことができなかった。
たしかに目の前の宮廷魔術師達だけならば私でも倒せるかもしれないとは思った。
けれども、私とアルセラーンは大精霊と凄腕の魔術師であると示すだけで充分に本来の目的である威圧は果たせている。
魔術師だけでもそもそも強力な魔力を持ち、王族の結界には殆ど影響されないのでいくら国王でももう馬鹿なことを考えないだろうと私は考えていたのだ。
つまり、私は強力な魔術師であることを示す雷の球体を顕現した以上に何かをするつもりはなかった。
「王座の間が、ぼろぼろに……」
「伝統あるこの場所が……」
……だから私は目の前の惨状をちらりと見て、言い訳するように口を開いた。
「……これは私のせいではないよね」
宮廷魔術師達が不完全に霧散させた私の魔術。
それはあまりにも中途半端な干渉のせいで、爆発して怪我人が出ることはなかったものの王座の間に多大な被害を出していた。
……最初私が放った球体であれば魔力を集結していたために、ごく僅かな被害で済むはずだったというのに。
「………は?」
そしてそんな王座の間の中、国王は呆然とへたり込んでいた。
何が起きたか分からないというように目を見開いている姿は憐れみを催すもので私は思わず溜息を漏らす。
「これで実力差は分かったでしょう」
……けれども、まぁいいかと直ぐに考え直してまるでこの惨状が計算通りであったかのような様子で声を上げた。
確かにこの宮廷魔術師達の弱さは想定外ではあった。
だが、その誤算は決して私にとって不利なことでは無かった。
何せ、宮廷魔術師の強さを勘違いしていたから手間を考えて手を出さなかったものの、本来ならば宮廷魔術師を圧倒して見せた方が私の実力を示すのに効果的であるのだから。
「私は貴方達を片手で殲滅することができる。けれどもしない」
だから私は内心の動揺を覆い隠し、予定通りに国王達へと声を張り上げる。
「だから私に干渉しようとするな。ただ、私の望みを聞け。そうすれば私はこの国に不干渉でいよう!」
そして私が告げたのは到底王族に向かって行っているとは思えない高圧的な内容だった。
「っ!」
……けれども、その態度に忌々しげにこちらを見てくるものがいても、誰一人として私の言葉に口を挟むものはいなかった。
ーーー それ程の力を私は今まで蓄えて来て、そのことをこの場にいる人間は分かっているのだ。
「……望みは、なんだ」
だから、国王は搾り出すような声を上げて、その言葉に私は満足げに頷き。
「私の要望は……」
そして口を開いた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,729
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる