優しい魔法の唱え方

柴犬

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第4話「ゆいの意外な一面」

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そして次の日、全校集会で生徒会雑務として俺は正式に加入する事を発表した。

クラスメイトたちも突然俺が生徒会に加入した事を知って驚いていたが、俺自身も未だに驚きを隠しきれていなかった。

何とか体育館の舞台上で全校生徒・教職員たちから見られるプレッシャーに挫けずに耐えきった。

「君はそのまま生徒会室に行ってゆいの様子見てきてくれ。私たちは用事があるから終わったら向かうよ」

全校集会が終わった直後、小笠原会長がそう言ってきた。俺は素直に頷き一人で生徒会室に向かう事にした。

「失礼します」

年季の入った木製のドアを開け、俺は生徒会室に入った。窓際に座っているゆいはB4のスケッチブックに何かを熱心に書いていた。

ゆいが熱心に何を書いているか気になり、音をたてないように忍び足でゆいの背後へ近づいた。

「えっ!」

ゆいの書いているスケッチブックを見て俺は思わずそう言ってしまった。

スケッチブックには俺が描がかれていた。

鉛筆で描いていたのだが、まるで写真で撮ったのと同じくらい上手な人物画だった。

背後から俺の驚いた声に気づいたゆいは素早くスケッチブックをめくり、マジックを取り出して何かを書いて素早く俺に見せた。

「どうかしたの?」

「ご、ごめん。熱心に何かを書いていたから気になって少し見てしまったんだけど」

するとゆいはスケッチブックに急いで何かを書き始め、再び俺に見せた。

「忘れて!」

とスケッチブックにでかでかとそう書いてあった。両手が微妙に震えているが、もしかして恥ずかしかったのだろうか?

「わ、忘れるよ。今度からは見る前にちゃんと声をかけるからさ」

苦笑いしながらそうゆいに言った。でも無表情なゆいの新しい一面が見れて嬉しいと俺は心の中でそう思った。

すると、生徒会室のドアが開き生徒会メンバー全員が揃って入ってきた。

「悪いね、打ち合わせで遅れてしまった。仲良くしてたかい?」

そのまま生徒会室の中央にある役職の席にそれぞれ座り、生徒会の会議が始まった。

「さて、今回の議題なのだが・・・」

「あの!一つ良いですか?」

小笠原会長の言葉を遮り、俺は手を上げた。どうしても生徒会長に一つ聞きたい事があったからだ。

「あの、生徒会とゆいの関係について教えて下さい」

俺がそれを言うと、生徒会室が静かになった。

「・・・良いだろう。君も生徒会に所属しているし、口も固そうだ。本当はもう少し後にしようかと思ってたが君が知りたいなら教えよう」

小笠原会長は窓際で座っているゆいを見ながらそう低い声でそう言った。

「この話は先代の生徒会長から聞いて話なのだが、私も始めは作り話だと思った。だが、その話は正しかった。今から話す事は代々生徒会に所属している者にしか知らなかったこの学校とゆいのスケッチブックに書かれていた文章の謎についてだ」

小笠原会長は両目をつむり、腕を組ながら静かに語りだした。
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