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第十六章
「ブラッキーに会いたいわ」
「バリオスでしょう」
「心の中ではブラッキーだわ」
「心の声が口から出ているわよ」
その日は朝から天気が良くて、夏の空気が清々しい日だった。
あれだけ匂いだなんだと嫌がっていたアンネマリーが、バリオスに会いたいと言い出したのは、夏の青空に誘われたのだろう。
ローレンスの朝は早い。騎士を退いてからも彼は剣の稽古を怠らないし、暑くなる前に馬たちの下へ向かう。
そんなローレンスに合わせて、クローディアも随分と早起きになっていた。
王都の貴族夫人の起床は遅い。
それは茶会の他に夜会や晩餐会といった社交が多いからで、夜更けに帰宅して翌日は正午の少し前に起きるということも珍しくない。
だが、この家は社交から随分長いこと離れており、クローディアが嫁いでからも二人揃って夜会に出席したことは一度もなかった。
流石にクローディアは、お茶会には出席していたが、それだって片手で数えるほどだ。
曰く付きの伯爵家に、曰く付きの伯爵令嬢が嫁いだことを、周囲は興味を抱いていたようだが、ローレンスは領主として手堅く事業の運営をしていたし、何より王家が結んだ縁に茶々を入れる愚かな家は貴族の中でもそれほど多くはなかった。
つまり、居るには居る愚かな家から届いた茶会や夜会の招待状は、そのまま厨房の熾火に焚べられ処分されていた。
そんな訳で、夫妻の朝が早ければアンネマリーもまた早起きだった。それで、朝からバリオスに会いたいと言い出した。
ローレンスは、出掛ける前にバリオスの世話をする。汚れることも厭わずに、嘗て戦場を駆け抜けた黒馬の毛を丁寧に梳いてやる。
クローディアはアンネマリーに強請られてバリオスに会いにきた際に、そんなローレンスの姿に睦事の最中にクローディアの髪を梳く彼を思い出した。
クローディアの黒髪を指先で梳きながら、自分と黒馬を一緒にしているのだろうかと、朝っぱらから艶事を思い浮かべてしまった。
バリオスが雄馬で良かったなどと思ったところで、馬にそんな感情を抱くなんて自分は可怪しくなったのかと戸惑った。
そこで想像してしまったのは、もし仮に、ローレンスがどこかクローディアの知らないところで他の女の髪を梳いたら、どんな気持ちになるのだろうということだった。
考えた先から、何故そんなことを考えているのかと困惑した。だがそれも、
「ブラッキー!」
アンネマリーの大声に遮られた。
「バリオスよ、アンネマリー。心の声が漏れてるわ」
「でも振り向いたわ」
あれだけ大声で呼べば、耳の良い馬なら気づくだろう。
アンネマリーを連れて行くことはローレンスに話していたから、厩舎を囲む柵の前に立つ二人にローレンスはもっと近くへと手招きした。
「臭いって言っちゃ駄目よ。貴女が自分で来たいと言ったのだから。何よりバリオスは耳も良ければ目も良いわ。貴女が失礼な態度を取ったら、きっと彼、貴女のことを無視するわ」
「真逆」
「馬は賢いのよ。それにバリオスは神馬の名を与えられた馬よ。神通力くらい持ってるのではないかしら」
十歳の少女にこれほど脅しをかける自分のほうが幼稚に思うも、ローレンスの前で匂いが嫌だなどと言ったなら、アンネマリーは厩舎出禁になるかもしれない。
クローディアは、用心に用心を重ねてアンネマリーに釘を刺したのであった。
「ブラッキー」「バリオスよ」
可怪しな二人が来たことを、バリオスは耳だけこちらに向けて偵察するようだった。
ローレンスに毛を梳かれているのがよほど気持ちが良いのか、自分と同じ黒髪の夫人と少女をすっかり無視していた。
「アンネマリー、良いこと。見てらっしゃい」
実のところ、クローディアは怖かった。
バリオスは巨体である。軍馬としては務めを果たせずとも、見上げるほどの大きな身体をしており、家畜などという言葉は彼には当て嵌まらないと思った。
大きな身体は瞳も大きく、涙を湛えたようなあの瞳を見つめていると、本当に彼が神の遣いに思えてくる。
畏怖にも似た恐怖感を胸の奥に押し込めて、クローディアは一歩また一歩とバリオスに近付いた。そんなクローディアを、アンネマリーははっきりとわかるほど尊敬の眼差しで見ている。あの瞳の前でもう後戻りなどできはしない。
ローレンスは、そんなクローディアを面白そうに見ていた。クローディアが内心ではおっかなびっくりビビりまくっているのを知りながら、敢えて止めようとはせずに静観している。
「んっんっ。ご機嫌よう、バリオス」
どこの貴族に挨拶しているのかという言葉に、脇に控えていた使用人が小さく吹き出した。だが彼を窘める余裕は、今のクローディアには無かった。
そんなクローディアを、バリオスはじっと見ていた。あの歯で噛まれたなら、物理で大怪我をしそうだと思う。クローディアは気合を込めてワンピースのポケットに手を入れた。
「あ、貴方に贈り物があるの」
吃ってしまった。堪らずローレンスが横で吹き出した。
そんなローレンスを横目でキッと睨んで、それからクローディアは恐る恐る手を差し出した。拳を差し出すクローディアを、賢いバリオスは彼女がこの先することを、ちゃんとわかっていた。
バリオスの鼻先で、クローディアは差し出した拳をひっくり返し、そのままゆっくり手の平を開いた。その手の中には飴玉ほどの黒い塊がある。黒砂糖の欠片だ。
バリオスは、黒砂糖が大好物なのだと使用人が教えてくれた。ローレンスには内緒で黒砂糖を用意していたのだが、彼は既に知っているようだった。
べろんと手の平を舐められた。
《ぎゃー》
心の声は胸のうちに押し込めた。腹に力を込めて恐怖を耐えたが、上手に黒砂糖を舐め取ったバリオスは、カランコロンと口の中で黒砂糖を転がして、もうクローディアなどどうでも良いというようだった。
「た、楽しんでる……」
馬なのに、大好物を味わって楽しんでいる。
いつの間にか、アンネマリーが隣にきていた。彼女もまた、巨体の黒馬が小さな黒砂糖の塊を目を細めて嬉しそうに舐めるのを、驚愕の眼差しで見つめていた。
「二人とも、口を閉じたらどうだ」
ぽかんと口を開けていたらしいクローディアとアンネマリーに、ローレンスが笑いを堪えるように言った。
「バリオスでしょう」
「心の中ではブラッキーだわ」
「心の声が口から出ているわよ」
その日は朝から天気が良くて、夏の空気が清々しい日だった。
あれだけ匂いだなんだと嫌がっていたアンネマリーが、バリオスに会いたいと言い出したのは、夏の青空に誘われたのだろう。
ローレンスの朝は早い。騎士を退いてからも彼は剣の稽古を怠らないし、暑くなる前に馬たちの下へ向かう。
そんなローレンスに合わせて、クローディアも随分と早起きになっていた。
王都の貴族夫人の起床は遅い。
それは茶会の他に夜会や晩餐会といった社交が多いからで、夜更けに帰宅して翌日は正午の少し前に起きるということも珍しくない。
だが、この家は社交から随分長いこと離れており、クローディアが嫁いでからも二人揃って夜会に出席したことは一度もなかった。
流石にクローディアは、お茶会には出席していたが、それだって片手で数えるほどだ。
曰く付きの伯爵家に、曰く付きの伯爵令嬢が嫁いだことを、周囲は興味を抱いていたようだが、ローレンスは領主として手堅く事業の運営をしていたし、何より王家が結んだ縁に茶々を入れる愚かな家は貴族の中でもそれほど多くはなかった。
つまり、居るには居る愚かな家から届いた茶会や夜会の招待状は、そのまま厨房の熾火に焚べられ処分されていた。
そんな訳で、夫妻の朝が早ければアンネマリーもまた早起きだった。それで、朝からバリオスに会いたいと言い出した。
ローレンスは、出掛ける前にバリオスの世話をする。汚れることも厭わずに、嘗て戦場を駆け抜けた黒馬の毛を丁寧に梳いてやる。
クローディアはアンネマリーに強請られてバリオスに会いにきた際に、そんなローレンスの姿に睦事の最中にクローディアの髪を梳く彼を思い出した。
クローディアの黒髪を指先で梳きながら、自分と黒馬を一緒にしているのだろうかと、朝っぱらから艶事を思い浮かべてしまった。
バリオスが雄馬で良かったなどと思ったところで、馬にそんな感情を抱くなんて自分は可怪しくなったのかと戸惑った。
そこで想像してしまったのは、もし仮に、ローレンスがどこかクローディアの知らないところで他の女の髪を梳いたら、どんな気持ちになるのだろうということだった。
考えた先から、何故そんなことを考えているのかと困惑した。だがそれも、
「ブラッキー!」
アンネマリーの大声に遮られた。
「バリオスよ、アンネマリー。心の声が漏れてるわ」
「でも振り向いたわ」
あれだけ大声で呼べば、耳の良い馬なら気づくだろう。
アンネマリーを連れて行くことはローレンスに話していたから、厩舎を囲む柵の前に立つ二人にローレンスはもっと近くへと手招きした。
「臭いって言っちゃ駄目よ。貴女が自分で来たいと言ったのだから。何よりバリオスは耳も良ければ目も良いわ。貴女が失礼な態度を取ったら、きっと彼、貴女のことを無視するわ」
「真逆」
「馬は賢いのよ。それにバリオスは神馬の名を与えられた馬よ。神通力くらい持ってるのではないかしら」
十歳の少女にこれほど脅しをかける自分のほうが幼稚に思うも、ローレンスの前で匂いが嫌だなどと言ったなら、アンネマリーは厩舎出禁になるかもしれない。
クローディアは、用心に用心を重ねてアンネマリーに釘を刺したのであった。
「ブラッキー」「バリオスよ」
可怪しな二人が来たことを、バリオスは耳だけこちらに向けて偵察するようだった。
ローレンスに毛を梳かれているのがよほど気持ちが良いのか、自分と同じ黒髪の夫人と少女をすっかり無視していた。
「アンネマリー、良いこと。見てらっしゃい」
実のところ、クローディアは怖かった。
バリオスは巨体である。軍馬としては務めを果たせずとも、見上げるほどの大きな身体をしており、家畜などという言葉は彼には当て嵌まらないと思った。
大きな身体は瞳も大きく、涙を湛えたようなあの瞳を見つめていると、本当に彼が神の遣いに思えてくる。
畏怖にも似た恐怖感を胸の奥に押し込めて、クローディアは一歩また一歩とバリオスに近付いた。そんなクローディアを、アンネマリーははっきりとわかるほど尊敬の眼差しで見ている。あの瞳の前でもう後戻りなどできはしない。
ローレンスは、そんなクローディアを面白そうに見ていた。クローディアが内心ではおっかなびっくりビビりまくっているのを知りながら、敢えて止めようとはせずに静観している。
「んっんっ。ご機嫌よう、バリオス」
どこの貴族に挨拶しているのかという言葉に、脇に控えていた使用人が小さく吹き出した。だが彼を窘める余裕は、今のクローディアには無かった。
そんなクローディアを、バリオスはじっと見ていた。あの歯で噛まれたなら、物理で大怪我をしそうだと思う。クローディアは気合を込めてワンピースのポケットに手を入れた。
「あ、貴方に贈り物があるの」
吃ってしまった。堪らずローレンスが横で吹き出した。
そんなローレンスを横目でキッと睨んで、それからクローディアは恐る恐る手を差し出した。拳を差し出すクローディアを、賢いバリオスは彼女がこの先することを、ちゃんとわかっていた。
バリオスの鼻先で、クローディアは差し出した拳をひっくり返し、そのままゆっくり手の平を開いた。その手の中には飴玉ほどの黒い塊がある。黒砂糖の欠片だ。
バリオスは、黒砂糖が大好物なのだと使用人が教えてくれた。ローレンスには内緒で黒砂糖を用意していたのだが、彼は既に知っているようだった。
べろんと手の平を舐められた。
《ぎゃー》
心の声は胸のうちに押し込めた。腹に力を込めて恐怖を耐えたが、上手に黒砂糖を舐め取ったバリオスは、カランコロンと口の中で黒砂糖を転がして、もうクローディアなどどうでも良いというようだった。
「た、楽しんでる……」
馬なのに、大好物を味わって楽しんでいる。
いつの間にか、アンネマリーが隣にきていた。彼女もまた、巨体の黒馬が小さな黒砂糖の塊を目を細めて嬉しそうに舐めるのを、驚愕の眼差しで見つめていた。
「二人とも、口を閉じたらどうだ」
ぽかんと口を開けていたらしいクローディアとアンネマリーに、ローレンスが笑いを堪えるように言った。
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