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第二十五章
「こう?」
「そうではなくてよ、アンネマリー」
クローディアはそこでアンネマリーの横に立って、デイドレスの裾をほんの少し持ち上げた。
「目線は前。それからこうよ、こう」
正面を見据えたまま、左脚のつま先を横へスッと出した。
「良いこと。踏まれる覚悟が必要よ」
「踏まれるの?」
「確率で言うなら五分と五分かしら」
「ごぶとごぶ?」
「半分ずつということよ」
「それって多いの?少ないの?」
「確率で言うなら多いわね。危険を伴うけれど得られる成果は大きいわ」
アンネマリーは、そこでクローディアをじっと見つめた。それから、意を決したように正面に向き直り、
「こう?」
スッと左脚のつま先を横に伸ばした。
二人の背後からカチャカチャ小さな音がする。それは紅茶を淹れるのに、侍女のルーシーの肩が揺れているからで、どうやら彼女は笑いを堪えるあまり震えているらしかった。
クローディアは、アンネマリーに夕べのことを話して聞かせた。
アンネマリーは眠らずに、二人が帰ってくるのを待っていた。子供が起きているには遅い時間であったのに、玄関ホールにある来客用のソファの上で、パジャマ姿でブランケットにくるまり待っていた。
侍女頭のエレノアが珍しく眉を下げて、
「どうしても旦那様と奥様がお戻りになるまで待っていると仰られて」
そう言った。
アンネマリーは子供らしい我が儘をほとんど言わない。そして、子供らしくないほど頑固である。一度心に思ったことは曲げないから、彼女は今も黒馬のバリオスをブラッキーと呼んでいる。
「眠かったのでしょう?アンネマリー」
「眠くはなかったわ」
「嘘おっしゃい」
やれやれと思いながらも叱れない。一人寝に慣れている子が、そうできずに待っていたのだ。きっと淋しくもあったろうし、待ち遠しくもあったのだろう。なにせ舞踏会へ親が行くのは初めてで、その話を聞きたくて堪らずにいたのだろう。
「わかったわ。今夜は一緒に寝ましょう」
「なんだって?」
透かさず割り込んできたローレンスを無視して、クローディアは続けた。
「舞踏会のことを聞きたいのね?良いわ、寝ながらお話ししてあげるから。私が着替えるまでベッドに入って待っているのよ」
アンネマリーはこの時、クローディアが知る限り、一番子供らしい顔をしたと思う。
夜会の装いを解くには時間が掛かる。クローディアの寝支度が整うまでに、きっとアンネマリーは眠ってしまうだろう。
そう思って言ったのだが、それにローレンスが難色を示した。
「アンネマリーは一人で寝られる」
子供が一人寝できるのに、なぜ三十路を迎える大の大人が一人寝を嫌がり文句を言うのか。
「旦那様。アンネマリーは寝落ちしちゃいます」
アンネマリーに聞こえないように、ローレンスの耳元で耳打ちをすれば、ローレンスは耳を押さえて無言になった。
ああ、旦那様。耳が弱いんだ。
ローレンスの弱点を一つ見つけたようで、クローディアはしめしめと思った。
子供と侮ったクローディアは愚か者だった。
アンネマリーは薄暗がりの寝台の中で、ぱっちり瞳を開けて待っていた。ご丁寧に寝台の端に寄って、クローディアのスペースを空けてじっと待っていた。
その姿は、生家の末っ子の異母妹が絵本を読んでほしいと強請るのに似ていて、久しく会っていない小さな妹を思い出した。それから気がついたのは、アンネマリーは多分、誰かと一緒に眠ったことがないのだということだった。
ローレンスの両親が、どんな風に幼いアンネマリーを育てたのかはわからない。だが、貴族夫人はそうそう添い寝はしない。
「アンネマリー、もっとこっちに来ても大丈夫よ」
端に寄るアンネマリーを呼び寄せて、二人で寝台の真ん中で向かい合わせになって横になる。
額がぶつかりそうなほど顔を寄せ合えば、アンネマリーの瞳が好奇心に揺れて見えた。堪らずその頬を撫でると、アンネマリーはくすぐったそうな顔をした。
それから、王城の門兵の立ち姿から始まり、侍女や女官の様子に外回廊から見えた庭園の風景や、ホールの煌めく照明に、着飾る貴族たちの華やかさ。忘れてはいけない、偉そうな王様と可憐なお姫様の姿について。
絵本や物語と違わぬ夢のようなお城の様子を話して聞かせた。
アンネマリーは興奮していた。口数こそ少ないが、クローディアの語ることを一言だって聞き漏らさないというように、目を爛々と輝かせて聞き入っていた。
《しまった。興奮させ過ぎたかしら》
思いつく限り話して聞かせて、それでもまだ聞き足りない様子に、クローディアは最後の最後、リリベットの婚約者を転ばせた足技についてを話して聞かせた。
「だって、旦那様にご挨拶をしなかったのだもの」
アンネマリーはそこでうんと頷いた。
「どうやったの?」
ただ、つま先を引っ掛けただけなのだが、寝物語らしく少しばかり大袈裟に表現すれば、アンネマリーは「私も覚えたい」と言い出した。
それで翌日に、相手をコケさせる足技を伝授することを約束したのであった。
因みに、ローレンスは一人まんじりともせずに、クローディアが寝かしつけを終えて戻ってくるのを待っていた。
だが、妻は朝になっても戻ってこなかった。
翌朝、珍しく不機嫌な顔で憮然としたまま、何を話し掛けても「ああ」とか「うん」としか答えなかった。
それでもアンネマリーが楽しかったと言ったのには、「そうか」と言って笑みを浮かべた。
ルーシーが淹れてくれたお茶で喉を潤しながら、クローディアの教授は続く。
「やられっぱなしはいけないわ。やられる前に防がないと。これは攻めと防御を併せ持つ技なのよ」
令嬢の頃は泣き寝入りばかりだったくせに、どの口が言う。
だが子供相手であるから、クローディアは幾分気が大きくなっていた。
アンネマリーが数年後に、躾のなっていない愚かしい男子生徒を蹴散らすのに、密かにこの技を駆使するなどと、この時には思いもしないことだった。
「そうではなくてよ、アンネマリー」
クローディアはそこでアンネマリーの横に立って、デイドレスの裾をほんの少し持ち上げた。
「目線は前。それからこうよ、こう」
正面を見据えたまま、左脚のつま先を横へスッと出した。
「良いこと。踏まれる覚悟が必要よ」
「踏まれるの?」
「確率で言うなら五分と五分かしら」
「ごぶとごぶ?」
「半分ずつということよ」
「それって多いの?少ないの?」
「確率で言うなら多いわね。危険を伴うけれど得られる成果は大きいわ」
アンネマリーは、そこでクローディアをじっと見つめた。それから、意を決したように正面に向き直り、
「こう?」
スッと左脚のつま先を横に伸ばした。
二人の背後からカチャカチャ小さな音がする。それは紅茶を淹れるのに、侍女のルーシーの肩が揺れているからで、どうやら彼女は笑いを堪えるあまり震えているらしかった。
クローディアは、アンネマリーに夕べのことを話して聞かせた。
アンネマリーは眠らずに、二人が帰ってくるのを待っていた。子供が起きているには遅い時間であったのに、玄関ホールにある来客用のソファの上で、パジャマ姿でブランケットにくるまり待っていた。
侍女頭のエレノアが珍しく眉を下げて、
「どうしても旦那様と奥様がお戻りになるまで待っていると仰られて」
そう言った。
アンネマリーは子供らしい我が儘をほとんど言わない。そして、子供らしくないほど頑固である。一度心に思ったことは曲げないから、彼女は今も黒馬のバリオスをブラッキーと呼んでいる。
「眠かったのでしょう?アンネマリー」
「眠くはなかったわ」
「嘘おっしゃい」
やれやれと思いながらも叱れない。一人寝に慣れている子が、そうできずに待っていたのだ。きっと淋しくもあったろうし、待ち遠しくもあったのだろう。なにせ舞踏会へ親が行くのは初めてで、その話を聞きたくて堪らずにいたのだろう。
「わかったわ。今夜は一緒に寝ましょう」
「なんだって?」
透かさず割り込んできたローレンスを無視して、クローディアは続けた。
「舞踏会のことを聞きたいのね?良いわ、寝ながらお話ししてあげるから。私が着替えるまでベッドに入って待っているのよ」
アンネマリーはこの時、クローディアが知る限り、一番子供らしい顔をしたと思う。
夜会の装いを解くには時間が掛かる。クローディアの寝支度が整うまでに、きっとアンネマリーは眠ってしまうだろう。
そう思って言ったのだが、それにローレンスが難色を示した。
「アンネマリーは一人で寝られる」
子供が一人寝できるのに、なぜ三十路を迎える大の大人が一人寝を嫌がり文句を言うのか。
「旦那様。アンネマリーは寝落ちしちゃいます」
アンネマリーに聞こえないように、ローレンスの耳元で耳打ちをすれば、ローレンスは耳を押さえて無言になった。
ああ、旦那様。耳が弱いんだ。
ローレンスの弱点を一つ見つけたようで、クローディアはしめしめと思った。
子供と侮ったクローディアは愚か者だった。
アンネマリーは薄暗がりの寝台の中で、ぱっちり瞳を開けて待っていた。ご丁寧に寝台の端に寄って、クローディアのスペースを空けてじっと待っていた。
その姿は、生家の末っ子の異母妹が絵本を読んでほしいと強請るのに似ていて、久しく会っていない小さな妹を思い出した。それから気がついたのは、アンネマリーは多分、誰かと一緒に眠ったことがないのだということだった。
ローレンスの両親が、どんな風に幼いアンネマリーを育てたのかはわからない。だが、貴族夫人はそうそう添い寝はしない。
「アンネマリー、もっとこっちに来ても大丈夫よ」
端に寄るアンネマリーを呼び寄せて、二人で寝台の真ん中で向かい合わせになって横になる。
額がぶつかりそうなほど顔を寄せ合えば、アンネマリーの瞳が好奇心に揺れて見えた。堪らずその頬を撫でると、アンネマリーはくすぐったそうな顔をした。
それから、王城の門兵の立ち姿から始まり、侍女や女官の様子に外回廊から見えた庭園の風景や、ホールの煌めく照明に、着飾る貴族たちの華やかさ。忘れてはいけない、偉そうな王様と可憐なお姫様の姿について。
絵本や物語と違わぬ夢のようなお城の様子を話して聞かせた。
アンネマリーは興奮していた。口数こそ少ないが、クローディアの語ることを一言だって聞き漏らさないというように、目を爛々と輝かせて聞き入っていた。
《しまった。興奮させ過ぎたかしら》
思いつく限り話して聞かせて、それでもまだ聞き足りない様子に、クローディアは最後の最後、リリベットの婚約者を転ばせた足技についてを話して聞かせた。
「だって、旦那様にご挨拶をしなかったのだもの」
アンネマリーはそこでうんと頷いた。
「どうやったの?」
ただ、つま先を引っ掛けただけなのだが、寝物語らしく少しばかり大袈裟に表現すれば、アンネマリーは「私も覚えたい」と言い出した。
それで翌日に、相手をコケさせる足技を伝授することを約束したのであった。
因みに、ローレンスは一人まんじりともせずに、クローディアが寝かしつけを終えて戻ってくるのを待っていた。
だが、妻は朝になっても戻ってこなかった。
翌朝、珍しく不機嫌な顔で憮然としたまま、何を話し掛けても「ああ」とか「うん」としか答えなかった。
それでもアンネマリーが楽しかったと言ったのには、「そうか」と言って笑みを浮かべた。
ルーシーが淹れてくれたお茶で喉を潤しながら、クローディアの教授は続く。
「やられっぱなしはいけないわ。やられる前に防がないと。これは攻めと防御を併せ持つ技なのよ」
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