ヴィオレットの夢

桃井すもも

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婚約1

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晩餐の終わり掛け、
行き成りの父王の命に、ヴィオレットは目眩がした。

何故、今、此処で。


ヴィオレットは帰国に当たって幾つか覚悟を決めてきた事がある。
そのうちの一つが婚姻である。

六年の歳月を、王国が無駄にする筈は無い。

旨味も無く使い勝手が悪かろうが、王女は王女である。

帝国で少々箔を付けて来た。

国に戻ったのならば、遊ばせておく暇など無いのだ。

姉達は皆全て、父王の命で嫁いだ。

唯一、直ぐ上の姉だけは爵位の低い貴族との恋愛による婚姻であったが。

だから、当然の事と覚悟をしてはいたが、ヴィオレットが王宮に戻って僅か数時間。

大切なことならば、もっと早目に、若しくはもう少し落ち着いてからでも..と、考え思考を止めた。

彼らにとって、ヴィオレットの婚姻など、ヴィオレットの立場など、ヴィオレットの気持ちなど、考慮の材料にはならないのだ。

腹を括れ、ヴィオレット。
覚悟の為所(しどころ)よ。


ヴィオレットは、小さく息を吸ってから

「承知致しました。お伺いできるのであれば、それはどちらの方でしょう。」

そう父に問うた。

父が視線を移す。
視線の先は兄である。
いや、兄ではなくて、その後ろ兄に侍る

「ノーフォーク小公爵だ。」

デイビッドを見た。



********



どうやって部屋に戻ったろう。
多分誰かが付いて来てくれたと思う。

どうやって帰って来たか分からない内に、ヴィオレットは居室で一人になっていた。

侍女も既に下がっている。

あれから父には何も聞かなかった。
聞いても無駄な時間を過ごすだけと分かっている。

もう既に物事は進んでおり、ヴィオレットがそのレールに乗るばかりなのだから。

嫌と言ったとして、縄を掛けてでも乗せられる。

受けるも何も...、そこまで考えて、 

デイビッド、貴方はそれで良いの?

貴方こそ、私で良いの?!

彼の人を、今直ぐ問い質し(といただし)たくなった。

貴方はあの日、近付くなと言った。
私に、近付くなと言って顔を背けたのよ?

貴方は、私を疎ましいと思っているのでしょう?


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