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再会4
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晩餐では、会話が弾むと云う事は無かった。
主に兄が、あちらはどうであったか、とあれこれ話題を振ってくれて、それで場が漸く保っているという具合であった。
カニンガム侯爵邸での和やかな晩餐が脳裏に浮かぶ。
父王が唯一問うたのは、帝国での成人の祝福に於いて、何故私が聖人から祝福を受けられたのか、その経緯であった。
帝国第二皇子の婚約者である公爵令嬢からのお誘いであったと答えるも、反応は特段無かった。
ただ、疎遠であった弟のみが、頬を染めて何か聞きたそうな仕草をするも、母を気遣ってか、結局会話に入る事は無かった。
弟こそ帝国へ行くべきだと思う。
彼は兄のスペアである。
将来兄に後継の男子が産まれれば、彼は臣席降下して王族から席が外れる。
弟の将来を思うなら、帝国での学びは彼の未来にプラスになるだろう。
母はそこを、果たして何と考えているのだろう。
何とも云えない空気の後、餐のみは滞ること無く進み、ヴィオレットは数年ぶりの故郷の食材を楽しんだ。
会話が無いのは幼い頃からで、それを今更語りましょうと云うのもお互いに無理がある。
父母にしてみれば、六年経って漸く思い出した末姫で、寧ろこれからの使い道に頭を悩ます事だろう。
そんな事を考えている内に、場は御開きとなった。
疲れた。漸く横になれるわ。
心の内で些かほっとしていると、父が爆弾投下をした。
「お前には嫁いでもらう。そのつもりで。」
主に兄が、あちらはどうであったか、とあれこれ話題を振ってくれて、それで場が漸く保っているという具合であった。
カニンガム侯爵邸での和やかな晩餐が脳裏に浮かぶ。
父王が唯一問うたのは、帝国での成人の祝福に於いて、何故私が聖人から祝福を受けられたのか、その経緯であった。
帝国第二皇子の婚約者である公爵令嬢からのお誘いであったと答えるも、反応は特段無かった。
ただ、疎遠であった弟のみが、頬を染めて何か聞きたそうな仕草をするも、母を気遣ってか、結局会話に入る事は無かった。
弟こそ帝国へ行くべきだと思う。
彼は兄のスペアである。
将来兄に後継の男子が産まれれば、彼は臣席降下して王族から席が外れる。
弟の将来を思うなら、帝国での学びは彼の未来にプラスになるだろう。
母はそこを、果たして何と考えているのだろう。
何とも云えない空気の後、餐のみは滞ること無く進み、ヴィオレットは数年ぶりの故郷の食材を楽しんだ。
会話が無いのは幼い頃からで、それを今更語りましょうと云うのもお互いに無理がある。
父母にしてみれば、六年経って漸く思い出した末姫で、寧ろこれからの使い道に頭を悩ます事だろう。
そんな事を考えている内に、場は御開きとなった。
疲れた。漸く横になれるわ。
心の内で些かほっとしていると、父が爆弾投下をした。
「お前には嫁いでもらう。そのつもりで。」
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