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兄の言葉
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ああ、ヴィオレット、よく来たね。
大丈夫だよ、丁度休憩しようかと思っていたところだ。
いよいよ明日だね。お目出度う。
君が嫁ぐだなんて、何だか感慨深いよ。
デイビッドは筋金入りの朴念仁だから解り難いが、あれと一緒ならば幸せになれるよ、約束する。
信じてないね?まあ、そのうち分かるだろう。
良い機会だから話しておこうかな。
母上だけれど、
あの方は愛らしくお生まれになって、愛でられ愛され、只々可憐にお育ちになった方だ。
愛らしいだけで、腹に何かを含む事が出来ない。所詮、王妃の器ではないよ。
父上が多忙であられるのは、母上の政務も肩代わりなさっておられるからだ。
それでも、思惑まみれの王宮で側妃腹でお生まれになった父上には、心から安堵できる女子(おなご)だったのだろうね。
民にも、一見可憐で優しげな国母は人気がある。
考え足らずな人ではあるが、愛が無い訳ではないのだよ。お前の事も、あの方なりに愛していたさ。
疑ってるね?
考え足らずな方だから、いつも一歩及ばなくて誰かが手を加えてしまう。だから分かり難いのだよ。
君が居なくなった後、一人残った五の姫を案じて、愛らしいドレスを幾つも造っていた。母上に似たあれには、とても良く似合っていたよ。
そうそう、あれが子爵家に嫁ぎたいなどと言い出した時も、後押しをしたのは母上だよ。真実の愛だとかなんとか仰っていた。
あれは母上への孝行のつもりで、あんなドレスを着ていたが、好みなどではなかったろうよ。
嫁入りの際に全部置いて行った。
金に替えて子爵家で使えば良いものを、妙な処で潔癖だね。
ああ、ドレスの事は許してやってくれ。
母上は、五の姫と年の近い君にも、きっと似合うと真から思っていたのだよ。
王女の宮の部屋がそのまま残されているのはね、王女たちの思い出を無くしたくなかったからだろうよ。まあ、深く考えてはおられないだろうけどね。
父上を知りたければ、君の夫を見ると良い。デイヴィッドは父上と良く似ている。
父上は朴念仁の王様だからね。言葉足らずが過ぎるけれど。
君を帝国に送ったのも、君には自由を与えたかったのだろう。折角、政略の旨味が薄く生まれたのだから。ああ、すまない、悪い意味ではないよ?
父上は、幼少の頃から政略の駒にされることに慣れていらっしゃった。父上なりの愛情だよ。
ああ、長期休み云々の文だけど、そのままの意味だよ。好きにしろ、楽しめと。
朴念仁だから直球だよね。あれを君に伝えるのは、流石に私も迷ったよ。
言葉足らずに考え足らず、丁度良い夫婦だよね。
ああ、私の婚約かい?
有難う、祝ってくれて嬉しいよ。
朴念仁と考え足らずの間に生まれた王子など、高が知れている。年上のしっかり者が妃になってくれるのなら丁度良いよ。
空いている姫の部屋を埋めねばならないから、妃には頑張ってもらわねばね。
君の婚礼と私の婚約。
祝い事が続いて民も喜んでいるだろう。
婚礼景気で沸いてくれると良い。
来年の税収が楽しみだよ。
大丈夫だよ、丁度休憩しようかと思っていたところだ。
いよいよ明日だね。お目出度う。
君が嫁ぐだなんて、何だか感慨深いよ。
デイビッドは筋金入りの朴念仁だから解り難いが、あれと一緒ならば幸せになれるよ、約束する。
信じてないね?まあ、そのうち分かるだろう。
良い機会だから話しておこうかな。
母上だけれど、
あの方は愛らしくお生まれになって、愛でられ愛され、只々可憐にお育ちになった方だ。
愛らしいだけで、腹に何かを含む事が出来ない。所詮、王妃の器ではないよ。
父上が多忙であられるのは、母上の政務も肩代わりなさっておられるからだ。
それでも、思惑まみれの王宮で側妃腹でお生まれになった父上には、心から安堵できる女子(おなご)だったのだろうね。
民にも、一見可憐で優しげな国母は人気がある。
考え足らずな人ではあるが、愛が無い訳ではないのだよ。お前の事も、あの方なりに愛していたさ。
疑ってるね?
考え足らずな方だから、いつも一歩及ばなくて誰かが手を加えてしまう。だから分かり難いのだよ。
君が居なくなった後、一人残った五の姫を案じて、愛らしいドレスを幾つも造っていた。母上に似たあれには、とても良く似合っていたよ。
そうそう、あれが子爵家に嫁ぎたいなどと言い出した時も、後押しをしたのは母上だよ。真実の愛だとかなんとか仰っていた。
あれは母上への孝行のつもりで、あんなドレスを着ていたが、好みなどではなかったろうよ。
嫁入りの際に全部置いて行った。
金に替えて子爵家で使えば良いものを、妙な処で潔癖だね。
ああ、ドレスの事は許してやってくれ。
母上は、五の姫と年の近い君にも、きっと似合うと真から思っていたのだよ。
王女の宮の部屋がそのまま残されているのはね、王女たちの思い出を無くしたくなかったからだろうよ。まあ、深く考えてはおられないだろうけどね。
父上を知りたければ、君の夫を見ると良い。デイヴィッドは父上と良く似ている。
父上は朴念仁の王様だからね。言葉足らずが過ぎるけれど。
君を帝国に送ったのも、君には自由を与えたかったのだろう。折角、政略の旨味が薄く生まれたのだから。ああ、すまない、悪い意味ではないよ?
父上は、幼少の頃から政略の駒にされることに慣れていらっしゃった。父上なりの愛情だよ。
ああ、長期休み云々の文だけど、そのままの意味だよ。好きにしろ、楽しめと。
朴念仁だから直球だよね。あれを君に伝えるのは、流石に私も迷ったよ。
言葉足らずに考え足らず、丁度良い夫婦だよね。
ああ、私の婚約かい?
有難う、祝ってくれて嬉しいよ。
朴念仁と考え足らずの間に生まれた王子など、高が知れている。年上のしっかり者が妃になってくれるのなら丁度良いよ。
空いている姫の部屋を埋めねばならないから、妃には頑張ってもらわねばね。
君の婚礼と私の婚約。
祝い事が続いて民も喜んでいるだろう。
婚礼景気で沸いてくれると良い。
来年の税収が楽しみだよ。
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