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甘い囁きは最強です
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「お父様、私、婚約破棄されそうです」
気分はもう解消→破棄よ。
ぶほっと何か吹いたわ。お父様、汚い。
「ああ~フルール、何かあったのかな?」
お父様が私と話してるのに、何故かシリルに目配せしている。
人と話すときには目を見るものと私に教えたのはお父様でしょ。
「エドワードが浮気を起こして私を捨てるらしいの」
お父様がシリルに目配せする。
お父様、私とお話ししてるんですけど!
「ああ~フルール、それはどうしてかな?」
「今日、図書室で愛の告白を受けていたのを見たの」
ね、シリルと同意を求めると、シリルが俺に振るな的な視線を寄こす。
「ああ~フルール、それでエドワード君は?」
何故かお父様がシリルに視線を向けながらお話しになる。
お父様、私はこちらよ。
「私の事は、彼女が思う程には嫌いではないらしいわ」
「彼女とは?」
「ウイリアム商会の御令嬢よ」
キャロライナ嬢は、王都でも人気の商会の令嬢だ。
甘く可憐な容姿が男子に人気なのよね。名前まで甘そうって何それ。
「だからといって、破棄とは大袈裟では……」
「お父様。お父様は何も解ってないわ」
「甘く可憐な御令嬢に愛を囁かれて、靡かないなんて男は居ないのよ」
そうなのか?と、お父様がシリルを見る。
そうなんです!
巷で話題の小説も、令嬢達に人気の演劇も。
甘く可憐な御令嬢の愛の囁きは最強なのです!
そうなのか?と云う風に、お父様がシリルを見る。
ですから、お父様。私はこちらです!
何だか有耶無耶に誤魔化された会話が終わり食事も終わった。
「こら、お前、俺を巻き込むな」
シリルがうんざりしたと言わんばかりに顔を顰める。
「貴方が勝手に巻き込まれてるのでしょう?私は何もしてないわ」
ふん!と顎を上げてすたすた歩く。
そのままシリルを放ってとっとと部屋に戻った。
ベッドに入って目を瞑る。
思い出すのは貴方の事。
艶のある黒い髪。くるくるとうねる癖のある、貴方の黒い髪。
真っ青な蒼い瞳。サファイアよりも綺麗な貴方の瞳。
スラリと伸びた靭やかな身体。細身なのに剣を持つと力強い立回りがかっこいい貴方の体躯。
はあぁ、好き、好き、大好き、全部好き。
悲しい位、貴方の事が好きなの。
だから、お別れはお手柔らかにお願いしたい。
ちょっとの間は、物陰から貴方を覗く位は許してほしい。
貴方が愛する人がいるのなら、貴方が幸せになれるなら、
私、きっと貴方を手放せるわ。
気分はもう解消→破棄よ。
ぶほっと何か吹いたわ。お父様、汚い。
「ああ~フルール、何かあったのかな?」
お父様が私と話してるのに、何故かシリルに目配せしている。
人と話すときには目を見るものと私に教えたのはお父様でしょ。
「エドワードが浮気を起こして私を捨てるらしいの」
お父様がシリルに目配せする。
お父様、私とお話ししてるんですけど!
「ああ~フルール、それはどうしてかな?」
「今日、図書室で愛の告白を受けていたのを見たの」
ね、シリルと同意を求めると、シリルが俺に振るな的な視線を寄こす。
「ああ~フルール、それでエドワード君は?」
何故かお父様がシリルに視線を向けながらお話しになる。
お父様、私はこちらよ。
「私の事は、彼女が思う程には嫌いではないらしいわ」
「彼女とは?」
「ウイリアム商会の御令嬢よ」
キャロライナ嬢は、王都でも人気の商会の令嬢だ。
甘く可憐な容姿が男子に人気なのよね。名前まで甘そうって何それ。
「だからといって、破棄とは大袈裟では……」
「お父様。お父様は何も解ってないわ」
「甘く可憐な御令嬢に愛を囁かれて、靡かないなんて男は居ないのよ」
そうなのか?と、お父様がシリルを見る。
そうなんです!
巷で話題の小説も、令嬢達に人気の演劇も。
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そうなのか?と云う風に、お父様がシリルを見る。
ですから、お父様。私はこちらです!
何だか有耶無耶に誤魔化された会話が終わり食事も終わった。
「こら、お前、俺を巻き込むな」
シリルがうんざりしたと言わんばかりに顔を顰める。
「貴方が勝手に巻き込まれてるのでしょう?私は何もしてないわ」
ふん!と顎を上げてすたすた歩く。
そのままシリルを放ってとっとと部屋に戻った。
ベッドに入って目を瞑る。
思い出すのは貴方の事。
艶のある黒い髪。くるくるとうねる癖のある、貴方の黒い髪。
真っ青な蒼い瞳。サファイアよりも綺麗な貴方の瞳。
スラリと伸びた靭やかな身体。細身なのに剣を持つと力強い立回りがかっこいい貴方の体躯。
はあぁ、好き、好き、大好き、全部好き。
悲しい位、貴方の事が好きなの。
だから、お別れはお手柔らかにお願いしたい。
ちょっとの間は、物陰から貴方を覗く位は許してほしい。
貴方が愛する人がいるのなら、貴方が幸せになれるなら、
私、きっと貴方を手放せるわ。
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