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アンドリューの瞳2
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視察の全行程が終了した翌日、アンドリューはウォルポール侯爵邸から帝国の皇宮へ移った。
来たのも突然だったが、去るのも突然であった。
貴賓であるアンドリューが侯爵邸に滞在する事の方が例外なのだ。
それとともに、オフィーリアは学園に戻った。
授業も通常通り受けている。
学園視察の際に、オフィーリアが他国の王族の婚約者であることは、広く知られた事だろう。
それでも、帝国の学園にあってはそれ程珍しい事でも無く、概ね今迄通りの生活に戻っている。
寮に帰って一人になると、改めてこの数日が時間も人も密に過ごしていた事に思い至る。
ウォルポール侯爵邸でも、漸く落ち着いて家族の時間を過ごしている事だろう。
そっと目を閉じると、蒼い瞳が瞼に浮かぶ。
オフィーリアと名を呼ぶ声が耳に蘇る。
そんな事、ある訳ない。
己の心が囚われている事に気付いて、ああ、今更なのだと諦める。
今更なのだ。
ずっと前から分かっていたのだ。
もう随分と前から、もしかしたら初めて会ったその時から、私の心は囚われているのだ。
あの澄んだ蒼い瞳に。
彼の瞳に自分が映る。
それは、とりも直さず、彼が私を見つめているということだ。
それに気付くと、胸の奥からキリキリと締め付けられて、こんな思いは手放さなければと心の声に耳を塞いだ。
"君は耳が良いそうだね"
そんな事はないのだ。
もうずっと、心の声に耳を塞いでいるのだから。
貴方の声の届かぬ所へ逃げて来たのだから。
来たのも突然だったが、去るのも突然であった。
貴賓であるアンドリューが侯爵邸に滞在する事の方が例外なのだ。
それとともに、オフィーリアは学園に戻った。
授業も通常通り受けている。
学園視察の際に、オフィーリアが他国の王族の婚約者であることは、広く知られた事だろう。
それでも、帝国の学園にあってはそれ程珍しい事でも無く、概ね今迄通りの生活に戻っている。
寮に帰って一人になると、改めてこの数日が時間も人も密に過ごしていた事に思い至る。
ウォルポール侯爵邸でも、漸く落ち着いて家族の時間を過ごしている事だろう。
そっと目を閉じると、蒼い瞳が瞼に浮かぶ。
オフィーリアと名を呼ぶ声が耳に蘇る。
そんな事、ある訳ない。
己の心が囚われている事に気付いて、ああ、今更なのだと諦める。
今更なのだ。
ずっと前から分かっていたのだ。
もう随分と前から、もしかしたら初めて会ったその時から、私の心は囚われているのだ。
あの澄んだ蒼い瞳に。
彼の瞳に自分が映る。
それは、とりも直さず、彼が私を見つめているということだ。
それに気付くと、胸の奥からキリキリと締め付けられて、こんな思いは手放さなければと心の声に耳を塞いだ。
"君は耳が良いそうだね"
そんな事はないのだ。
もうずっと、心の声に耳を塞いでいるのだから。
貴方の声の届かぬ所へ逃げて来たのだから。
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