海岸通り黄昏ランデブー

tommynya

文字の大きさ
3 / 6

美術室の秘め事

しおりを挟む
翌日、遼は美術の授業中に、八神先生に呼ばれた。

「晴矢、ちょっといい?備品室に来てくれる?」

「はい。何か手伝いですか?」

 備品室に遼は入っていく。

「あの~お願いがあるんだけど、君にモデルを頼みたいんだ、いいかな?」

「えっなんで俺?」

「どうしても、君の身体を描いてみたくて…」

「えっ、もしかして裸ですか?」

「上半身だけね。バイト代出すからお願いできないかな?」

「えっ、嫌です」

「そっか、じゃあ、真行寺にでも頼むかな」

「えっ、乃亜はダメです。俺がやります。でも背中だけで良いですか?」

「いいよ。じゃあ、明日から宜しくね。放課後美術室で待ってる。真行寺には秘密だよ」

「はい…」

    ⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙⁙

 翌日の放課後。遼のクラスに顔を出す乃亜。

「遼、今日部活ないから、俺図書館で課題やって待ってる。帰るときメールして~じゃあね~」

「あぁ。了解」

 美術室に入る遼。八神が待ち構えている。

「本当に来てくれたんだ!晴矢、入って入って」

「それじゃあ、脱いだらいいですか?」

「うん。頼むよ」

 さっと、服を脱ぎ、八神に背中を向ける遼。

「なんて綺麗な肩甲骨なんだ…この美しい骨と筋肉は誰のもの?」

「誰のものでもありません。俺のものです」

 八神は遼の肩甲骨を、乾いた筆でなぞり、首の付け根から背骨を一つ一つ確認するように、筆を下に移動させる。遼はビクっと身体をふるわせる。

「ガタッ。ごめんなさい…せっ先生、何しているんですか?」

 美術室の物置を整理していた乃亜が、物置から出てきて備品を落とす。遼と八神の秘密のやりとりを見てしまったのだ…

「真行寺、居たのか…」

「部活が休みなので、備品の整理をしていました…」

「晴矢服を着なさい。今日はもう帰っていいよ」

 そう言って、バイト代が入っている茶封筒を遼に渡し、八神は部屋を出ていった。

「遼、大丈夫?」

「お前ずっと見ていたのか?」

「うん…出て行きにくくて…先生、遼の事好きなんじゃない?性的な意味で」

「ハハッ、でもお前あの先生の事好きだよね?凄い変態だぞ」

「好きではないよ。推しに似ているから憧れていただけだし。変態すぎてちょっと引いてる…」

「先生に頼まれて、モデルのバイトしていただけ。俺が断ったらお前にこれ回されそうだったから…やるしかなかった…」

「そっそうなんだ…断ればいいのに…筆で触られていたよね?セクハラじゃない?」

「あぁそうだな…お金貰っているから我慢したけど、気分は最悪だ」

「遼は被害者だよ。傷ついている?」

「うん。大丈夫、お前じゃ無くて良かった…」

「え?」

「うん何でもない…」

 この日以来、八神先生は暫く学校を休んでいる。学校に報告すると事が大きくなりそうなので、遼と俺と先生の、三人だけの秘密にしておく事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

happy dead end

瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」 シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。

悪役Ωは高嶺に咲く

菫城 珪
BL
溺愛α×悪役Ωの創作BL短編です。1話読切。 ※8/10 本編の後に弟ルネとアルフォンソの攻防の話を追加しました。

林檎を並べても、

ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。 二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。 ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。 彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

処理中です...