空き地で拾った物語

たまごころ

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願いの代償

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三村は小さな町工場で働く平凡な男だった。夢も希望もなく、ただ毎日をやり過ごすだけの日々。

ある夜、酒に酔いながらふと立ち寄った神社で、見たことのない奇妙な石像を見つけた。
「願いを一つだけ叶える」
石像にはそう書かれていた。

「どうせインチキだろう」
そう思いながらも、三村は石像に向かって心の中で願った。
「金が欲しい。とにかく一生困らないくらいの大金をくれ。」

その瞬間、石像の目が赤く光った気がしたが、酔いのせいだと思って気に留めなかった。


翌朝、目を覚ますと玄関の前に巨大なトランクが置いてあった。中には信じられないほどの札束が詰まっている。
「これが俺の金か……!」

三村はその金を使って、贅沢な生活を始めた。豪邸を建て、高級車を買い、美しい恋人を囲った。
彼の生活は一変し、三村はついに「勝ち組」として注目される存在になった。

だが、次第に奇妙なことが起こり始めた。

買った物が次々と壊れるのだ。家は雨漏りがし、車はエンジンが止まり、恋人も病気になって離れていった。
さらには、街で見知らぬ人たちから奇妙な視線を向けられるようになった。

「これじゃ金があっても意味がない……!」
三村は、再びあの神社を訪れた。


「おい、石像!あの願いを取り消してくれ!」
三村が怒鳴りつけると、石像の目が再び赤く光り、低い声が響いた。

「叶えた願いを取り消すことはできない。ただし、代わりにもう一つだけ願いを叶えよう。」

「……今度こそ失敗はしないぞ。」
三村は慎重に考えた末、こう願った。
「俺の人生を完璧なものにしてくれ。」

石像は何も答えず、その場に静寂が訪れた。


三村が目を覚ますと、見知らぬ部屋にいた。だが、それは立派なベッドと家具が揃った豪邸だった。
「これが新しい人生か……?」

鏡を見ると、完璧なスーツに身を包んだ自分が映っていた。電話が鳴り響き、執事の声が聞こえる。
「旦那様、会議の時間です。」

すべてが完璧だった。理想の生活、理想の容姿、理想の環境――だが、彼はあることに気づいた。

その瞬間、冷たい汗が全身を流れる。
口を開こうとするが、声が出ない。指を動かそうとしても体が動かない。

彼はただの「完璧な彫像」として、理想の部屋に飾られているだけだったのだ――。
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