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「アメリアは、息子が出来たらもう夜の営みはしないつもりなの?」

 少しだけ彼の声音が低い気がした。

「好き同士じゃないのに、続けて良い行為だとは思えなくて」

 やってみて気づいたが、愛がなくても出来る行為なのだろうが――。

 ――やはり愛があっての方が良いと思うのだ。

 すると、彼の腕の力が強くなった。

「好き同士なら良いの?」

「はい、もちろんです」

 きっぱりと答える。

「その……どうかな? 女性は抱かれた男のことを好きになると言うけれど――初めてこういうことして、俺のことが気になってきたりした?」

 シャーロック様の質問に対して唸る。

(昨日と今日で変わったこと……)

 眉間に皺を寄せながら考えた。

 思いついた答えを口にする。

「その……確かに身体の結びつきはありましたけど……たった一日で、シャーロック様への気持ちが変わったりはしてなくて……」

 ――他のご令嬢だった女性たちは、たった一夜でころりと気持ちが変わるのだろうか。

(よく分からない……だけど――優しいシャーロック様のことを、私も嫌いではなくて……)

 異性と接したのが幼馴染のエドワードぐらいしかいないので、正直なところよく分からない。

「そうか、残念だ」

 背後でシャーロック様が苦笑しているのが分かる。
 またもや彼の腕の力が強くなった。

「アメリア、俺のことを好きになってもらうためには、今までのご令嬢とは違う行動をとらないとダメみたいだね」

「――?」

(契約結婚だから、私の気持ちがシャーロック様に向かわなくても問題はないはずなのに……)

 こういう言い回しをされると、彼は私に好意を抱いているのではないかと錯覚してしまうのだ。

(別にシャーロック様は私のことを好きなわけじゃないのに……ずるい言い方をする方だわ)

 彼が首筋に顔を埋めてきた。


「やっぱり、最初に生まれてくる子は女の子の方が良いな」


 彼の言葉の意味が分からないまま、しばらく彼に抱きしめられたまま過ごしたのだった。


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