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2 アイザックの本心
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しおりを挟む騎士になった時に家庭持ちでないと格好がつかないから。
そんな理由で、王都に住んでいた頃のアイザックは妻マリーンを娶ることになった。
騎士見習いの時の先輩バッシュの勧めだったのだ。
飴色のゆるい長い髪の妻マリーンは、いわゆる女性らしい女性だ。
家事をそつなくこなして、非の打ちどころがない。
性の相性としては、女性側がやや淡白だったのが気になった。とはいえ、相手は処女なわけだから、仕方がないとアイザックは思っていた。
周囲からの勧めで結婚したのだが、なんだかんだで、アイザックはマリーンを妻として徐々に認めるようになったのだ。
だけれど、どうしても気になることがあった。
妻マリーンの先輩バッシュを見る時の目が――どうしてもアイザックに向けるものよりも、女性らしいものだったのだ。
(いや、気のせいだろう……)
だが、やはり妻のバッシュに向ける瞳は異常だった。
人から勧められたことだったけれども、彼女を娶ると決めたのは自分だ。
疑いたくはなかったし、離縁する気もなかった。
だが、風の噂を耳にしたのだ。
――バッシュにフラれたマリーンが、自棄を起こして、あてつけがましく後輩のアイザックと結婚したのだ、と。
バッシュは短い紅い髪の持ち主で、いわゆる気さくなイケメンで仕事も出来る男だ。
アイザックの雰囲気と似ているとたまに言われることもあった。
アイザックは、結婚前の妻の想い人にまで口は出したくなかった。
形骸的な結婚だったけれど、時間がいつか解決するだろう。
そう思っていたけれど――。
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