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第4章 兄弟が愛した女性
21-4※
しおりを挟むこれまでの言動の数々から――それが本命に向けられているのものなのか、遊び相手の女性に対して向けられているものなのかも判然とはしていない。
けれども、女性としては意識されているようなのが分かって、少しだけ自分たちの関係性が一歩前進したような気もして、なんだか嬉しくなってしまう。
(ちょっとちょろすぎるかな……?)
ひとまず異性として見られているのは分かって良かった。
単純すぎるかもしれないけれど……。
(少しずつよね、慌てすぎは禁物な気がする)
今はまだ――無理に自分たちの関係性を型に嵌めてしまう時期ではないのかもしれない。
来たるべき時に分かればそれで良い。
(どことなく享楽的なところがある恭司さんの影響を受けているから? お気楽すぎるかな?)
けれども、無理やりどうにかしようとして――せっかく築かれつつある関係性を自分の手で壊してしまうのが怖かった。
本来の臆病な美桜の心がそうさせてきているのは間違いない。
「あんた、俺以外の奴のことを考えてはないだろうな?」
「え?」
美桜は浮かれすぎてぼんやりしていたようだ。
「違いますよ」
「だったら、何を考えていた?」
「それは……」
自分たちの関係が何か――?
まだまだ口にするのは怖い。
「恭司さんのことです」
本人を前に話すのはやはり気恥ずかしい。
恭司が「ふうん」とだけ口にした後、ゆるりと口の端を吊り上げる。
「まあ、良しとするか。それで? あんたは俺の続きを脱がせるつもりはないのか?」
「……っ」
恭司が何やら得意げな表情を浮かべているのが、少々悔しかった。
「そんなに仰るんでしたら……」
そうして、美桜はそっと恭司の下衣のベルトにそっと手を伸ばす。
自分がベルトをつける時とは逆で、なんだかちょっと外しづらかった。
廊下にカチャカチャ音が鳴り響く。
ベルトのフロント部分を解放すると、そっと下衣の留め具に手を伸ばした。
手が震えてしまって、なかなかうまくいかない。
すると……。
「今日はここまでにしておいてやる」
恭司の手が美桜の頭にポンと乗ってきた。
「あんたが恥ずかしがってて、悪くなかった」
「……っ、恭司さんは意地悪ですっ……!」
すると、恭司が声を出して笑った。
「ハハッ、あんたのそういう顔を見るのが好きなんだよ、俺は」
「むう」
美桜は少々唇を尖らせてしまった。
すると……。
「きゃっ……」
視線がぐんと高くなる。
美桜は恭司からお姫様抱っこされてしまう。
「じゃあ、ここからが本番だ。風呂に行くぞ」
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