【R18】冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
206 / 228
最終章 一途な愛で孕みました

最終話ー5

しおりを挟む

 恭司が美桜に声をかけてくる。

「俺よりも美桜の方が親父とは仲が良さそうだな」

「恭司さんに似てますよね」

「俺に? 似てないだろう? あんな陽気な表情しない」

「そうですか? 昨日今日は嬉しそうですよ」

「そうか?」

「ええ、最初に出会った時はそんな感じでした」

 ――今にして思えば、実母が亡くなったばかりで、恭司としても空元気だったのかもしれない。

「俺の母親、どうやら小さい頃に俺を見に新宮本家のイベントに乗じて現れたことがあったらしくてな。その時に、どうやら小さな女の子に会って絵本をプレゼントしたらしい。俺の母親としては、俺に渡したかったらしいけれど渡せなかったらしい」

 譲之助の読み通り、恭司は恩師が実母だと気づいていたようだ。

「ドイツの古城が描かれている絵本だ。母親としては自分がドイツに渡る話を遠回しに息子の俺に伝えたかったみたいだが、勇気が出なかったみたいでな。黒猫みたいな女の子に渡したって話していたんだ」

「そうだったんですね」

「だが、ちゃんと俺にはその絵本の内容は届いていたんだ。お前のおかげだよ、美桜」

 恭司が黒曜石のような瞳を和らげながら美桜のことを見つめてきていた。

「その絵本って、もしかして……」

 けれども、恭司は何も答えなかった。

「母親が嫌がったから看取らせてはもらえなかったが、最後に会った時にこう言ってたんだ」

「何て、ですか?」

「『どうか、奇跡が起きて、小さい頃のあの女の子みたいな、ありのままの貴方のことを愛してくれる女性と巡り合えますように』ってな」

 そうして、恭司が少しだけ寂しそうに呟いた。
 だけど、慈しむような眼差しを美桜に送ってくる。

「母さんが……俺の元に連れてきてくれたのかもな」

 そうして、コートの胸ポケットから黒い箱を取り出した。
 中に入っているのは――大小二つの銀の結婚指輪だ。

「ダイヤモンドの婚約指輪ももらったばかりなのに……!」

「指輪よりも首輪が良かったかもな。あんた、すぐにフラフラどっかに行くし」

「いきませんよ。恭司さんに出会ってから自由になったんです。恭司さんの性格が移ったんですよ」

「俺もあんたに会ってから、少しだけ平和主義になれたよ」

 お互いに顔を見合わせる。
 黒猫ミオが腕をすり抜け、地面に降り立った。
 そうして、美桜がそっと自身の下腹に手をやった。

「まだ実感が湧きませんが、来年の今頃にはもう一人家族が増えていますね」

「幸せな家族とやらになれるように善処する」

「恭司さんは私のことも会社のことも大事にできる人だから絶対大丈夫です」

「人を大事にする組織や人に人は集まるってやつだな」

「む? 小難しい話になりましたが、それです?」

「ハハッ、あんたはやっぱり面白いな。上に立つ奴らなら知ってることを、自分の経験で分かってるんだからな」

 恭司が蕩けるような笑みを浮かべながら、美桜の下腹の手に自身の手をそっと宛がった。
 まだ胎動はないけれど、お腹の赤ん坊も両親に喜んでもらえて、嬉しそうな気がする。
 冷たい風が頬に触れてくるけれども、触れ合った手から互いの熱が伝わってきて、ぽかぽか温かい。

「恭司さん、私はもう幸せですけれど、もっと可愛がって、幸せにしてくださいね」

「ああ、俺があんたを愛せたように、子どものことも愛してみせるよ。美桜」
 
 恭司と美桜の唇がそっと重なり合った。
 飾り付けられてキラキラと輝く木の下、黒猫ミオに見守られる中、美桜と恭司は永遠の愛と幸せな家族になる約束を誓いあったのだった。

(本編終わり)
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

処理中です...