【R18】冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

おうぎまちこ(あきたこまち)

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後日談 クリスマス〜日本とドイツ〜

2-2 恭司side

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 恩師はぽつぽつと語った。

『実は一度だけ日本に帰ったことがあるのよ』

『日本に?』

『ええ、子どもの顔をどうしても見たかった』

 恭司は何も答えなかった。

『子どもを遠くで見ていたら、女の子にあったの……そうしたら、女の子に話し掛けられたの。お兄ちゃんのこと、じっと見ていますね、って』

 恩師は続けた。

『貴方のことが好きだって話していた黒猫の女の子、あの子……』

 恭司のことを好きだと話していた女の子。

(誰だ?)

 恭司が思い出そうとすると靄がかかったかのように思い出すことが叶わない。

『絵本、私があの女の子に渡したの。あの黒猫のような女の子が、私と貴方とひき合わせたのよ』

 臨死期を迎えて、幻覚でも見ているのだろうか? それとも真実なのだろうか?
 だが、恭司も断言できる、その絵本は――騎士と姫の絵本だと。
 うっすらと過去の記憶が思い出されそうだったが、どうしても思い出すことができない。

『どうか、奇跡が起きて、ありのままの貴方のことを愛してくれる女性と巡り合えますように』

 ――結局奇跡なんか起こらずに、母は母だと名乗ってくれずに息を引き取った。
 学生時代の友人たちの支援もあって、恩師は――恭司の実母は安らかに眠って行った。




***



 そうして、葬儀の後から数日後、恭司は橋の上に佇んでいた。

「結局、母親だって名乗らずに死んだな」

 ふと、生前の恩師――実母の言葉が脳裏を過る。

『貴方が好きだって話していた黒猫の女の子、あの子……』
『絵本、私があの女の子に渡したの。あの黒猫のような女の子が、私と貴方とひき合わせたのよ』
『どうか、奇跡が起きて、ありのままの貴方のことを愛してくれる女性と巡り合えますように』

 奇跡だとか、そういう類の話は信じていない。
 奇跡を起こすのはいつだって自分の力だと思っているからだ。
 だけど、漠然と少女のことを覚えている気がした。
 けれども、思い出そうとすると靄がかかったかのように思い出すことが叶わない。
 橋の上、母の言葉と少女の面影が重なって。涙が溢れてくる。
 その時。
 一人の女性がハンカチを手渡してくる。

『あの、こちらをどうぞ』

 涙が流れた後、話しかけてきた女性の顔を見て、もう一筋の涙が溢れた。
 どこかで会っただろうか――?

『その……泣いていらっしゃるようなので、気になってしまいました』

 これまでの自分の人生には縁のないような純真無垢な女性――美桜。

 その後に起きる奇跡を――初めて女性のことを愛して、愛されることになる未来なんて知らないままに――普段ならば自分から女性のことを追ったりしないのに、恭司は彼女の後を追いかけて行ったのだった。

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