【R18】狂愛の獣は没落令嬢の愛を貪る

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 朝の光で目を覚ました椿が身体を起こすと、白い背の上を射干玉の髪が滑り落ちていく。
しなやかに身体をくねらせると、縄の跡の残る手足を擦りながら、ぼんやりと考え込んだ。

(清一郎は、もう仕事に向かったの……?)

 もはや曜日の感覚も分からない程に、彼女は抱かれては眠る毎日を繰り返していた。
 わけもわからないまま身体を暴かれていた彼女だったが、最近気になることがあった。

(どうして私はこんな目に合うようになったの……?)

 猪股家は今流行の文化住宅(※和洋折衷の近代的な建物)である。
 以前はしっかりとした資金もあったため、時代の変遷に合わせて、屋敷を新調することだって出来ていたのに――どうして元婚約者に資金援助を乞う程に貧しくなってしまったのだろうか――と。

 物思いに耽っていると――。

「椿様」

 愛人になった清一郎が、椿の前に姿を現した。
 もう彼女の身体は、彼の声を聴くだけで、勝手に彼を求めて蜜を零すようになり果てている。
 朝から彼に抱かれるのだろうか――?
 そう思っていた椿だったけれど、想像とは違う問いが投げられた。

「どこか行きたいところはないですか?」

「え?」

 そうして――椿と清一郎は外に出かけることになったのだった。

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