【R18】狂愛の獣は没落令嬢の愛を貪る

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
16 / 25

16※

しおりを挟む



 清一郎に抱っこされたまま、活動写真館の中へと入る。
 西洋風の白磁の柱が立ち並んでおり、だだっ広い館内には千近い椅子が階段式に並べられていて、絨毯は美しいビロウド張りだ。
 ところどころに飾られた花が芳しい香りを放つ。
 映写機が投影される幕にはまだ何も映されてはおらず、カタカタと調整中の音が聴こえてきていた。
 夜の最後の公演だからか、館内の収容人数に対して、観客たちはまばらに着席している。

「椿様、こちらのようだ」

 階段を登って中央付近の椅子へと二人して移動すると、清一郎から紅い革張りの椅子へと、ふんわりと降ろされる。
 彼は隣にドカリと着席すると、ひじ掛けに肘をついて脚を組んだ。
 しばらくすると映写機が回りだし、白黒の映像が投影されはじめると、男女の声が流れはじめた。

(移る男女は米国人だけれど、声を当てているのは日本人なのね……少しだけ違和感があるけれど、活動弁士だってそうだものね……)

 元々恋人同士だった男女が再会し、紆余曲折を経て、再び愛を育むというような内容の恋愛映画だった。

(この活動写真の恋がうまくいくなんてことが、もしあったら……)

 ついつい白黒画面の中の抱きしめ合う男女と、清一郎と椿の姿を重ねてしまう。

(清一郎はどんな気持ちでこの映画を見ているの――?)

 そう思った椿が左隣に座る清一郎へと視線を移そうとしたところ――。

(え――?)

 彼の手が、袴の上から太腿を撫で擦りはじめたのだ。
 衣越しだというのに、大きく撫でられると、ぞくぞくと快感が腰から背をかけはじめる。

「あ……せ……っ……!」

 時と場所を弁えろと清一郎に訴えようとした椿だったが、 袴の帯の下、前後の間の隙間に――彼の手が侵入して、今度は白い襦袢越しに太腿を撫で擦りはじめたのだ。
 女性の芯がきゅうっと疼いて、じわじわと両脚の間を濡らしていく。

「あっ……」

 思わず声を上げそうになって、椿は小さな両手でさっと口を隠した。
 ちょうど、白黒画面では、男女が濡れ場に入ったところだった。
 少ない観客だが、皆が活動写真に集中している中、おかしな声を上げるわけにはいかない。
 どうにかして清一郎の動きを止めたいのに、彷徨った大きな手が、白襦袢を割り入って、彼女の濡れた花弁へと到達した。

(誰かに気付かれるんじゃ……)

 ちょうど人気の真ん中の席ということもあって、人がわりと密集している場所でもある。
 椿は覆わず視線をキョロキョロと動かし、周囲のことを確かめてしまった。
 そんな中、彼女の芽を探し出した長い指が、くちゅりと水音を立てて、ゆっくりと芽を刺激させはじめる。

「……っ……!」

 彼に視線を移すと、知らんぷりしたままだ。
 
(清一郎、何を考えているの……?)

 芽を刺激され続け、じわじわと蜜を溢れさせ、快楽に耐えられず、自然と脚が弛緩してしまう。

(とにかく絶対に皆にはばれないように……しなきゃ……)

「あっ……ん」

 ――椿の清一郎との攻防が始まったのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

処理中です...