【R18】四天の占星術士は、龍帝から不埒に愛される

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第1章 出会い――彭候――

3※

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 風呂から上がり、髭を剃り、紫がかった黒髪を整えて現れた青年・天狼の姿を見て、蘭花は目を見張る。


「ああ、驚いたかい? 素顔の私は、このように美しい姿だから、なかなか外を歩くことができない。仕方なく、山男のような身なりに徹していたのだよ」


(自分で自分のことを美しいだなんて、よっぽどの自信家だわ……それにしても……)

 あまりにも人間離れした甘い顔立ちの青年に、蘭花は衝撃を隠せない。
 弓なりの眉は凜々しく、角度によって碧玉にも翡翠にも見える鋭い瞳。
 すっと通った鼻梁に薄い唇。
 流線を描く長い、紫がかった黒髪は女性と見間違いかねないほどに美しい。

(それに彼の碧の瞳……)

 宝石のような目に見つめられ、彼女自身が目を離せなくなってしまった。

(まずい、初対面の見ず知らずの男性をじっと見てしまうなんて……)

 あげく、満月の夜も近いからか、蘭花の下腹部が疼くではないか――。

(呪いの類だろうとは言え……これじゃあ、盛りの犬と変わらないわ……)

 悩まし気な表情を浮かべた蘭花は、青年から距離を取ろうと、外に出ようとした。


「待て、我が花嫁、蘭花よ――このような寒冷地の夜の外へとお前は何をしに行こうとしている――?」

 彼の腕がすっと伸びてきた。
 流れるような優美な所作に見とれてしまう。
 気づけば、彼女の身体は、彼の腕に絡み取られていた。

「いつの間に、あなた――」

 
 そうして、彼の碧の瞳が、彼女の黄金の瞳を覗く。

「あ……」


(どうしよう……何なのいったい……? 呪い……? この人の碧の瞳を見ていたら、身体が……おかしくなって……)


 ――この男に逆ってはいけない。

 否、逆らえない。

 
 本能的な勘が蘭花にそう告げてくる。


「運命の花嫁……私が欲しくてたまらないだろう――? 僕も同じだよ――さあ、私に身を委ねてごらん――」


(いや……こんな自己陶酔の激しい人ナルシストの言うことなんて……)


 聞きたくないのに――。


 手慣れた手つきで、天狼は蘭花の裳の帯を解いてくる。

 しゅるりと音を立て、ぼろ小屋の床に衣服が落ちていく。

 
 生まれたままの姿にされた蘭花の唇の中に、天狼が舌を差し入れかき回し始める。

「んぅっ……は……あ……」

 口の中を犯されただけなのに、だらしなく蜜が溢れてしみ、彼女の両脚と土間を汚していった。


「さて、君の疼きは、私にしか止められない。大切な私の花嫁――妙な輩に手を付けられる前に、はやく私の者にしてやろう」


 いつ狼が牙を向くかは分からないのだから、やはり、見知らぬ男を小屋に招いてはいけない。

 ――肌を愛撫されながら、蘭花はそんなことを思ったのだった。


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